AIと人間が織りなす新たな創造性:TAKUROMAN新作『ジャンル大航海時代』展、日本橋茅場町で開幕

AIで広げ、人が選び、手で形にする

この展覧会の特徴は、その制作プロセスにあります。一枚の手描きの原画から、AIとの対話を重ねることで831枚もの候補が生まれました。そこから最終的に人が108枚を選び出し、紙に印刷した後、一枚ずつ手で切り、画鋲でコルクボードに留めるという、手間をかけたアナログな工程を経て作品が完成しています。

TAKUROMAN氏は、「AIとの制作は、画面の中では終わりませんでした。831枚から108枚を選び、紙に刷り、一枚ずつ切って、画鋲で留める。最後に残ったのは、手の疲れでした。人間らしさは、案外そういうところに現れるのかもしれません」と語っています。

AIと人の協働に関する資料

木製のテーブルの上に散らばる白い紙の切れ端

選ばれた108枚は、額装の中で接着せず、あえて画鋲で留められています。これは、作品をまだ確定させず、画鋲を抜けば再び断片に戻り、別の並び方も可能であるという、柔軟な創造性を表現する意図が込められています。

一枚の原画が、108のジャンルへ

手描きのデジタルアート原画に描かれた船長「TAKUMI」は、AIとの協働によって、漫画、映画、音楽、ゲーム、フィギュア、キャラ弁、宇宙写真、主題歌など、108もの多様なジャンルを渡り歩きます。これは、表現の単位を一枚の作品に留めず、作品同士の関係性から物語と世界を立ち上げる試みです。

船長キャラクターが描かれたカード

108枚の作品は、「つくる(表現の形を変える)」「ひろげる(一人では届かなかった産業へ)」「AIとつくる(AIとの作業そのものを作品にしたもの)」「いきる(最後に残るもの)」という四つのパートに分かれています。最初の一枚と最後の一枚は手描きであり、その間をAIと共に旅した軌跡が示されています。

来場者の手書きで、作品の意味が増えていく

会場には、108作品を収めたフォトブックが設置されており、来場者は自由に感想や物語、落書きを書き込むことができます。壁面の作品そのものは変化しませんが、来場者の書き込みによって、作品に新たな意味が重ねられ、見る人、書く人の数だけその価値が深まっていく、参加型の展示となっています。

フォトブックとペン

昨年の「葬式」から、今年の「航海」へ

TAKUROMAN氏は、2025年8月に同ギャラリーで『人間の創造性の葬式』を発表しました。これは、生成AIの台頭によって創造する意味が失われるのではないかという危機感を、葬儀形式で表現した作品でした。しかし、一年後の本作では、AIを「作者の意思を拡張する存在」と位置づけ、脅威として見送るのではなく、共に新たな海を渡る存在へとその視点を転換しています。展示パネルには、「人で始まり、AIで広がり、人が育てる。方法は大きく広がる。それでも、舵を取るのはあなたです。」というメッセージが掲げられています。

現地でしか見られない、手と身体の痕跡

展覧会では、以下の要素を通じて、作品の物理的な存在感や来場者自身の参加を体験できます。

  • 一枚ずつ手で切り出された紙の縁と、108枚を留める画鋲の質感

  • 会期中に書き込みが増え、その時点ごとに姿を変えるフォトブック

  • 作品を眺めるだけでなく、自分の言葉を書き残し、作品の続きをつくる体験

RECTO VERSO GALLERYの入り口

開催概要

  • 展覧会名: Art & Graphic exhibition(2026.August)〜創造のイノベーション〜

  • 会期: 2026年8月4日(火)〜8月8日(土)

  • 開廊時間: 火〜金 12:00-18:00 / 土 12:00-15:30

  • 会場: RECTO VERSO GALLERY 東京都中央区日本橋茅場町2-17-13 第2イノウエビル401

  • アクセス: 東京メトロ日比谷線・東西線 茅場町駅「東改札」3番出口より徒歩2分

  • 入場料: 無料

  • 参加作家: イチカワユウイチ、やまだあいこ、okoroom、TAKUROMAN

ギャラリー内で作品を見る男性

イノウエビル外観

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