東京都写真美術館「ふたたびくみたてる 日本の新進作家 vol.23」開催:多様な技術で新たなイメージを創造する5名の作家たち

東京都写真美術館「ふたたびくみたてる 日本の新進作家 vol.23」

東京都写真美術館では、2026年9月30日(水)から2027年1月17日(日)まで、写真・映像の可能性に挑戦する「ふたたびくみたてる 日本の新進作家 vol.23」展を開催します。本展では、AIやCG、コマ撮りアニメーションといった多様な技術や素材を駆使し、作品を制作する注目の5名の作家が紹介されます。

抽象画、デジタルアート、街並み、水辺、建物、反射、グリッチアート、風景

展覧会のテーマ:イメージを「ふたたびくみたてる」

写真や映像は、物事を写し、記録するメディアですが、編集や文脈によって異なる意味を帯びることがあります。これにより、存在しない記憶や記録さえも想起させる力を持っています。イメージの中の見えるものと見えないもの、実存と虚構の境界線が曖昧になる現代において、本展は作家たちが実際に存在した記憶や素材、技術、そしてそれぞれのコンテクストを汲み取り、新たなイメージへと組み立てていくプロセスに焦点を当てます。

真偽に惑わされることが多い日常の中で、私たちは情報とどのように向き合い、何を信じ、どのように世界を捉えているのか。この問いを改めて考える契機となる作品群が展示されます。

本展のみどころ

多彩な技術が生み出す新たな表現

本展に参加する5名の作家は、AI、CG、コマ撮りアニメーション、独自の撮影・編集手法など、多様な技術や素材を用いて作品を制作しています。これらの技術は、写真や映像を単なる記録や再現としてではなく、それぞれの経験や思考を通して再構築し、豊かな新たなイメージとして提示するための表現手段として活用されています。異なるアプローチから生まれた作品を見比べることで、現代における写真・映像表現の広がりを体感できるでしょう。

いま注目の5名の作家、新たなイメージの可能性を探る

自身の記憶や経験、時間をテーマに彫刻的なオブジェクトを制作する市田小百合(いちださゆり)、生成AIの手法を取り入れ人間の知覚とイメージを視覚化する苅部太郎(かりべたろう)、写真や彫刻、機械装置など多様なメディアを用いる野村在(のむらざい)、自作の装置や道具を用いたコマ撮りアニメーションで視覚表現を探求する橋本麦(はしもとばく)、実写映像や3DCG、AIを用いて架空の都市を映像化する藤倉麻子(ふじくらあさこ)。いま注目のこれら5名の作家の作品が一堂に会し、記録されたものと想像されたもの、その境界で生まれる新たなイメージの可能性を深く探ります。

空間全体で体験するインスタレーション

本展では、写真作品に加え、映像や立体を組み合わせたインスタレーション作品が多数紹介されます。作品の前に立つだけでなく、空間を歩きながら鑑賞することで、イメージや記憶、時間との関係性を身体的に体験できることも大きな魅力です。それぞれの作品世界に身を置くことで、写真や映像の新たな鑑賞体験を楽しむことができます。また、橋本麦氏によるコマ撮りアニメーションの公開制作も会期中に実施され、完成作品だけでは見ることのできない制作プロセスを体験できる貴重な機会となります。

出品作家と主な出品作品

市田 小百合 (いちだ さゆり)

1985年生まれ。自身の記憶や経験を起点に、複雑で多層的な感情のあり方を、身体や彫刻的なオブジェクトを通して探求しています。本展では、学校という場所に積み重ねられた時間をテーマに、黒板を支持体として校舎の断片を再構成し、シルクスクリーンでプリントしたインスタレーション作品を日本で初めて展示します。

美術展、ギャラリー、現代アート、写真、建築、建物、コラージュ、白黒写真、インスタレーション、抽象的

苅部 太郎(かりべ たろう)

1988年生まれ。画像生成AIを「形而上のカメラ」と見立てて意図的に誤用しながら、「見る」ことや「信じる」ことを支配する不可視のシステムを問い直しています。本展では、テレビの受信部を接触不良にし、グリッチノイズを発生させてできたイメージを撮影・加工し、生成AIの風景認識システムに読み込ませた作品シリーズを紹介。認識システムを撹乱することで、人間とAIに共通する「見立て」の働きを引き出し、意味を見いだそうとする認識の過程や、誤認から新たなイメージが生成される可能性を探ります。

都市景観、水辺の街、抽象画、デジタルアート、フラグメント、ピクセルアート、密集地、建築物、現代アート、風景画

野村 在(のむら ざい)

1979年生まれ。「存在」と「記憶」の関係を主題に、写真や彫刻、機械装置など多様なメディアを用いて制作しています。物質の消失や変容、時間の経過によって揺らぐ記憶のあり方に着目し、日常の中に残された痕跡や見過ごされがちな現象を可視化することを試みています。本展では、作家が収集したポートレイト写真を燃焼させ、その炎の光を長時間露光で記録することで、写真というメディアの物質性に着目し、イメージが新たなかたちへと再構成される過程を探ります。

抽象画、グラデーション、青色、赤色、オレンジ色、現代美術、アート、ギャラリー、ミニマリズム、壁掛け

橋本 麦(はしもと ばく)

映像作家。モーショングラフィックスやハッカー文化、実験映像の影響を背景に、3DCGやコマ撮りアニメーション、ミュージック・ビデオなど多岐に渡り個人で制作を行っています。作品ごとにワークフローやツールの設計から取り組み、技術的な試行やエラーをも含めたプロセスから独自の視覚表現を探求しています。本展では、自作の装置や道具を用いたコマ撮りアニメーションにより、イメージが立ち上がる過程を探る新作インスタレーション作品を展示。会期中には公開制作も実施し、作品が生まれるプロセスもあわせて紹介されます。

ピンク、赤、グラデーション、抽象、質感、マクロ、液体、混色、化粧品、口紅、クローズアップ、アート

藤倉 麻子(ふじくら あさこ)

1992年埼玉県生まれ。都市・郊外を横断的に整備するインフラストラクチャーや、それらに付属する風景の奥行きに注目し、主に3DCGアニメーションの手法を用いた作品を制作しています。本展では、実写映像やCG、AIなどを用いて架空の都市とそこにある社会を構築するインスタレーション作品を展示します。

砂漠、青い空、木、赤いゲート、コンクリート管、パイプ、ミニマリズム、シュールレアリズム、構造物、人工物、自然、対比、幾何学的

関連事業

会期中には、出品作家とゲストによるトークイベントや、担当学芸員によるギャラリートークが開催されます。

出品作家とゲストによるトークイベント

  • 10月4日(日) 14:00–15:30 市田小百合(出品作家)×本橋仁(金沢21世紀美術館 キュレーター)

  • 10月18日(日)14:00–15:30 野村在(出品作家)×岡部あおみ(美術評論家、インディペンデント・キュレーター)

  • 11月1日(日) 14:00–15:30 苅部太郎(出品作家)×下西風澄(哲学者)

  • 12月13日(日)14:00–15:30 橋本麦(出品作家)×辻川幸一郎(映像作家)

  • 1月10日(日)14:00–15:30 藤倉麻子(出品作家)×南後由和(社会学者、法政大学教授)

会場:東京都写真美術館1階ホール
定員:190名 入場無料・要入場整理券(当日10:00より1階総合受付にて整理券配布)
※手話通訳・文字表示支援付き。

担当学芸員によるギャラリートーク

  • 10月9日(金)14:00– 文字表示支援付き

  • 11月13日(金)14:00– 手話通訳付き

  • 12月11日(金)14:00– 手話通訳付き

※当日有効の本展チケット、または展覧会無料対象者の方は各種証明書等をお持ちのうえ3階展示室入口にお集まりください。

展覧会図録

『ふたたびくみたてる 日本の新進作家 vol.23』が2026年9月30日に発行予定です。東京都写真美術館 学芸員による論考や、出品作家5名によるステートメント等が収録されます。

開催概要

  • 展覧会名:ふたたびくみたてる 日本の新進作家 vol.23

  • 会期:2026年9月30日(水)~2027年1月17日(日)

  • 会場:東京都写真美術館 3階展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)

  • 開館時間:10:00-18:00(木・金曜日は20:00まで)※入館は閉館30分前まで

  • 休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館、翌平日は休館)、年末年始(12/28-1/1)

  • 観覧料:一般700円(560円)、学生560円(440円)、高校生・65歳以上350円(280円)

  • 公式サイトhttps://topmuseum.jp/exhibition/5423/

※観覧料の( )内は有料入場者20名以上の団体料金。中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は無料です。第3水曜日は65歳以上無料。1月2日・3日は無料。11月5日~27日の木・金曜日17:00~20:00は夜間特別開館による割引料金が適用されます(学生・高校生は無料、一般・65歳以上は団体料金)。

事業内容は諸般の事情により変更となる場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。