現代美術家 土佐尚子氏の大規模個展が京都市京セラ美術館で開催、MoMA収蔵作品から新作まで一堂に

約40年にわたる活動の代表作から最新作までを展示

近年、生成AIやメディアアートに関する議論が活発になる中で、土佐尚子氏の活動はその先駆性から国際的な注目を集めています。特に1985年に制作され、2011年にMoMAに収蔵された「An Expression」は、その代表的な作品の一つです。

An Expression

本展では、映像、音、身体、自然現象、人工生命、カルチュラル・コンピューティングといった多岐にわたる領域を横断してきた土佐氏の約40年間の実践を総覧します。土佐氏は、日本文化に内在する美意識を構造として再解釈し、音と映像、身体と自然現象の関係を通して「生成の原理」を探求してきました。

展示される作品には、MoMA収蔵作品「An Expression」のほか、初期作品「ECSTASY」、そして「Sound of Ikebana」、「Genesis」、「うつろひ」といった代表作が含まれます。これらの作品を通じて、土佐氏が一貫して追求してきた「かたちが生まれる条件とシステム」に光を当て、その創作と思想の深さに触れることができるでしょう。

Sound of Ikebana
液体アート
散る花

音、身体、流体、重力、偶然、かたちが生まれる条件をめぐる探求

土佐氏の関心は、完成されたイメージそのものではなく、かたちが立ち上がる以前の力の動き、すなわち音、身体、流体、重力、偶然といった要素に一貫して向けられてきました。彼女にとって作品とは、完成された対象ではなく、現象が発生するための条件であり、世界が生成する瞬間を経験するための場であると捉えられています。

抽象的な身体表現

1986年にMoMAキュレーターのバーバラ・ロンドンが企画した「NEW VIDEO JAPAN」への参加以降、土佐氏はビデオアート、インタラクティブアート、人工生命、カルチュラル・コンピューティングへと領域を広げながら、生成をめぐる表現活動を展開してきました。

本展では、「四季」「身体」「音」「花」「水」「宇宙」を軸に構成された展示空間を通じて、日本文化の根底にある生成の理論を現代美術の視点から提示します。

抽象的な色彩と形
金色の流動的なアート

開催概要

「現代美術家 土佐尚子展」の詳細は以下の通りです。

  • 展覧会名: 現代美術家 土佐尚子展

  • 会期: 2026年11月7日(土)~11月22日(日)

  • 開館時間: 10:00~18:00

  • 休館日: 月曜日

  • 会場: 京都市京セラ美術館 本館1階 光の広間

  • 入場料: 無料

  • 後援: 京都府、京都市、京都大学防災研究所土佐研究室

  • 主催: 現代美術家 土佐尚子展実行委員会

  • 企画: 京都大学防災研究所 土佐研究室

  • 公式サイト: https://naokotosa.co.jp/ja/

土佐尚子氏 略歴

土佐尚子氏は、1980年代初頭にビデオギャラリーSCANで開催された公募展での受賞をきっかけに現代美術家としてのキャリアをスタートさせました。その後、MoMAでの展覧会「NEW VIDEO JAPAN」で国際的なデビューを果たしています。

土佐尚子氏

土佐氏は、宇宙における「生成の原理」に焦点を当て、日本の美意識を構造として再解釈する「カルチュラル・コンピューティング」を提唱しています。音、身体、自然現象に隠された日本美をテクノロジーを用いて形態として取り出し、作品に結集させるのが彼女の創作の特徴です。

1990年代には武蔵野美術大学映像学科で教育に携わりながら、ATR(国際電気通信研究所)で研究を行いました。1999年には人工知能を用いた感情音声対話に関する研究で東京大学より工学博士号を取得。2001年から2004年にはマサチューセッツ工科大学(MIT)先端視覚研究センターでアーティストフェローとして研究し、作品「ZENetic Computer」を制作しました。

2005年からは京都大学で教育・研究に従事し、現在は防災研究所(DPRI)にて、流体を用いた自然現象と人間との関係性に関する表現について研究を続けています。

2025年大阪・関西万博のFuture Life Experienceパビリオンでは、体験型作品「Zero Gravity Art」を常設展示する予定です。また、2026年2月にはJapan Society NYで、伝統的な日本の美意識を最新テクノロジーにより構造化し、普遍的な情動や祈りの表象へと昇華させた「カルチュラル・コンピューティング」の実践としてコスチュームを創作したパフォーマンスを実施しました。

初期のキャリアでは、ビデオアート、インタラクティブアート、AIを通して、音、身体、無意識の関係性を探求し、1997年にロレアル大賞グランプリを受賞。2004年にはユネスコとの関連で「ZENetic Computer」が高く評価されました。

2016年には文化庁から文化交流使に任命され、8カ国10都市を表敬訪問。ニューヨークではタイムズスクエアで「Sound of Ikebana(Spring)」を発表し、都市空間における生成型ビデオ表現の可能性を示しました。

タイムズスクエアの夜景

土佐尚子氏の公式サイトはこちらです: https://naokotosa.co.jp