第2弾助成監督、カンヌ国際映画祭で発表
今回新たに助成を受けることになったのは、モハメド・アメル氏、アンマリー・ジャシル氏、アクオル・デ・マビオル氏、バオ・グエン氏、リティ・パン氏の5名です。彼らの中には、昨年の東京国際映画祭(TIFF)でグランプリを受賞したアンマリー・ジャシル監督や、審査委員特別賞を受賞したリティ・パン監督など、既に国際的に評価されている映画制作者も含まれています。
新たな物語を紡ぐ監督たちとそのプロジェクト
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モハメド・アメル氏(パレスチナ/アメリカ)
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コメディアン、脚本家、演出家として活躍。ネットフリックスの半自伝的ドラマシリーズ『Mo/モー』で主演を務める。
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プロジェクト:『Return to Sender』(仮題)— 難民旅行証明書でワールドツアーに挑むパレスチナ出身のスタンダップコメディアンの奮闘を描く。
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アンマリー・ジャシル氏(パレスチナ)
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パレスチナ出身の映画制作者、脚本家、プロデューサー。作品はベルリン、ヴェネチア、カンヌなどでプレミア上映され、最新作『パレスチナ36』は東京国際映画祭グランプリを受賞。
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プロジェクト:『Deconstruction』(仮題)— 存在と不在、記憶と刷新が重なり合う都市ハイファを舞台に、過去が再構成されていく中で生きる男の姿を描く。
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アクオル・デ・マビオル氏(南アフリカ/南スーダン)
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キューバ生まれ、ケニア育ちの南スーダン国籍の映画制作者。長編デビュー作『南スーダンで生きる ~ある家族の物語~』はベルリン国際映画祭で初上映された南スーダン映画。
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プロジェクト:『Traces of a Broken Line』(仮題)— 戦争によって断ち切られた系譜を懸命に保とうとする母親の物語。
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バオ・グエン氏(アメリカ/ベトナム)
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ベトナム系アメリカ人の映画制作者でEAST Films共同創設者。記憶、移住、アイデンティティを探求する作品を手がける。
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プロジェクト:『How to Ride a Bike』(仮題)— ベトナム難民の父親が自転車の乗り方を息子に教えようとする中で、自身の少年時代の恥の感情と向き合う物語。
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リティ・パン氏(フランス/ドイツ)
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カンボジアの映画制作者、脚本家、プロデューサー。クメール・ルージュ時代の記憶やトラウマを探求する作品で知られ、『消えた画 クメール・ルージュの真実』はカンヌ国際映画祭「ある視点」賞を獲得。
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プロジェクト:『Time… Speak』(仮題)— 亡命中の映画制作者が記憶の断片を拾い集め、消え去ったものたちが語りかける映像世界を再構築する。
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これらの監督は、ジャーナリスト・ドキュメンタリー制作者のワアド・アル=カティーブ氏や映画監督のアグニェシュカ・ホランド氏などが参加する指名委員会によって候補が作成され、ケイト・ブランシェット氏が委員長を務める選考委員会によって最終的に選出されました。
第1弾助成作品、東京国際映画祭で日本初上映決定
また、第1弾助成作品の短編5作品が、2026年10月に開催される東京国際映画祭(TIFF)で日本初上映されることも発表されました。これらの作品は、2026年のロッテルダム国際映画祭(IFFR)でワールドプレミアを迎え、満席になるほどの大きな反響を呼び、国際的に高い評価を得ています。
第1弾助成による短編5作品
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『Allies in Exile』(40分/イギリス、シリア)
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監督:ハサン・カッタン
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14年間の戦争と制作の日々を歩んだシリア出身の作家たちが、イギリスの亡命希望者施設での日常を記録し、撮影が生き延びる手段へと変わる過程を映し出します。

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『Rotation』(12分/ウクライナ)
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監督:マリナ・エル・ゴルバチ
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市民生活から兵役へと日常が一変した若いウクライナ女性が、催眠療法の儀式を通じて現実に対応しようとする姿を描きます。

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『Sense of Water』(30分/イラン、ドイツ)
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監督:モハマド・ラスロフ
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亡命先で異国の言葉と対峙するイラン人作家が、再び書く力を手にするため、記憶と忘却、失われた言語と新たな言語の間を往来する心の旅路を描きます。

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『Super Afghan Gym』(14分/ドイツ)
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監督:シャフルバヌ・サダト
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カブール中心部のジムで、女性のみが利用できる限られた時間に集まった主婦たちが、トレーニングに励みながら理想の体型や日常を語り合います。

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『Whispers of a Burning Scent』(27分/ソマリア、オーストリア、ドイツ)
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監督:モ・ハラウェ
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裁判と結婚式での演奏を控えた寡黙な男が、私生活を衆目にさらされ、献身と尊厳、喪失の狭間で揺れ動く内面を静かに見つめます。

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東京国際映画祭プログラミングディレクターの市山尚三氏は、「このプロジェクトは、現在の不安定な政治状況の中、極めて重要な問題を提起するものです。そして、才能ある監督たちによって生み出された5本の作品は、さまざまな意味で映画的な冒険にあふれ、驚きに満ちています。この多様な作品たちが日本の観客にどのように受け入れられるか、今から楽しみです。」とコメントしています。
難民映画基金とは
「難民映画基金」は、避難を余儀なくされた映画制作者、または避難民としての経験を描いた実績のある映画制作者の活動を支援・助成することを目的として、2025年のロッテルダム国際映画祭(IFFR)で創設が発表されました。俳優で国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)親善大使でもあるケイト・ブランシェット氏とIFFRのヒューバート・バルス基金が共同で立ち上げ、ユニクロは創設パートナーとして毎年10万ユーロを寄付し、活動を支援しています。
ファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員の柳井康治氏は、「ユニクロは20年以上、難民支援に取り組んできました。お客様をはじめ多くの皆さまに支えていただき、支援の輪が広がっていることに深く感謝しています。難民問題に関する関心や理解は、特に日本国内ではまだ十分に届いていません。映画には人々の意識を動かす力があると信じています。」と述べ、映画を通じた難民問題への理解促進に期待を寄せています。
ユニクロの難民支援活動のあゆみ
ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングは、2001年から難民支援活動を開始し、UNHCRとのグローバルパートナーシップ締結、難民雇用、自立支援プロジェクト、チャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」の展開など、多岐にわたる支援を継続しています。難民映画基金への継続的な支援を通じて、「Made for All」の理念のもと、より多くの人々に難民の物語を伝え、世界の難民問題への理解と関心を深めていくことを目指しています。
映画が持つ力で、世界の難民問題への関心と理解がさらに深まることが期待されます。難民映画基金の今後の活動にも注目が集まります。
