「親でも使える」を基準に設計された地域コミュニティの秘訣:和歌山県白浜町の運用術を公開

「DAOマネ勉強会」で深まる地域活性化の知見

地域おこし協力隊の活動は、それぞれの自治体でミッションや環境が大きく異なり、まさに「正解のない仕事」と表現されることがあります。しかし、全国各地の現場には、数字だけでは測れない貴重な実践知や、時には失敗から得られた教訓、そして人との関わり方といった、再現性のある学びが豊富に存在しています。

株式会社あるやうむは、隊員一人ひとりの経験を個人の枠に留めず、横断的な学びへと昇華させることを目的に「DAOマネ勉強会」を開催しています。この勉強会では、現場で実際に成果を上げている協力隊員自身が講師を務めることで、これから着任する隊員や、現在活動中で課題に直面している隊員にとって、より実践的で現実に基づいた学びの場を提供しています。

白浜町「ゆうとさん」が語る、現地活動とSNS発信の融合

今回の勉強会では、和歌山県白浜町で地域おこし協力隊として活動する「ゆうとさん」が登壇しました。ゆうとさんは、LINEオープンチャット「シラハマニア」の立ち上げから運用、Instagram・TikTok・Xを目的別に使い分けたSNS発信、そして現地での地道な営業活動まで、現場で培われた地域密着型のSNS戦略を具体例を交えながら共有しました。

勉強会のテーマは、単なるノウハウ共有に留まらず、自治体から求められるミッションの整理、日々の活動の裏側、地域住民や役場との信頼関係の築き方、SNS発信や関係人口創出の実践例、そしてうまくいかなかったことや現在の課題といった、「成果が出るまでのプロセス」に焦点を当てています。参加者は「自分の地域ならどう応用できるか」を考えながら、熱心に耳を傾けました。

「自分の親でも使えるか」を基準にしたコミュニティ設計

ゆうとさんの取り組みで特に注目を集めたのは、Web3コミュニティで一般的に用いられるDiscordをあえて選ばず、「自分の親でも使えるか」という明確な基準でLINEオープンチャットを選定した点です。長野県白馬村の先行事例を徹底的にリサーチし、自身の地域に最適化することで、地域住民を主役にしたコミュニティ運用を実現しました。

白浜町公認コミュニティ【シラハマニア】では、白浜町の最新情報、スポット、グルメなど、地域内外の皆さんが情報交換を楽しんでいます。
Webメディア「シラハマニア」

実践事例1:現地での信頼構築は「協力隊感」を出さないことから

ゆうとさんが現地での信頼構築で大切にしているのは、初対面で「協力隊である」という肩書きを前面に出さないことです。まずは一人の客としてお店を訪れ、食事を楽しみ、会計時の何気ない会話の中で「実は協力隊で、岩手から移住してきたんです」と自己紹介するのです。関西圏で標準語を話すことから「どこから来たんですか?」と自然に聞かれる流れを作り、そこから関係性を築いていきます。「岩手から来ました」という一言は、和歌山という土地で強い驚きと興味を引き出し、お店の方との関係性、そしてオープンチャットへの自然な誘導へと繋がっているそうです。

実践事例2:「親でも使える」LINEオープンチャットの選定理由

コミュニティの基盤として、Web3界隈で一般的なDiscordではなくLINEオープンチャットを選んだのは、ゆうとさんの戦略の核となる部分です。判断基準は「自分の親でも紹介してすぐに入ってもらえるか」というものでした。NFTやDAO層がターゲットであればDiscordも選択肢になりますが、地域住民をメインターゲットに据える場合、アプリのインストールから始まるDiscordはハードルが高いと判断したのです。参考にしたのは、長野県白馬村で個人が運営し、2〜3年で2,000〜3,000人規模に成長したオープンチャットの事例です。運営者が地域内でインフルエンサー的存在になっている点や、「3分以内の返信」「毎朝の天気予報配信」「ノートを使った観光スポットまとめ」といった運用ルールまで、徹底的にモデリングし、白浜町に最適化して導入しました。

実践事例3:観光客リピーターを巻き込むターゲット設計

白浜町は年間約300万人の観光客が訪れる観光地であり、リピート率が高いという特徴があります。ゆうとさんは「白浜が好きで、住んでいるか観光で来ている人」というシンプルなターゲット設定のもと、リピーター層を既に存在する強力なファンベースと位置づけ、彼らをコミュニティの中核に巻き込む設計を行いました。一方で、立ち上げ初期にはあえてNFT・Web3層への宣伝を控えました。地域の話題が日常的に流れる場を作るには、まず地域住民100名規模を先に集めることが不可欠であるという判断からです。

実践事例4:X・Instagram・TikTokを目的別に使い分けるSNS戦略

SNS発信においては、媒体ごとに役割を明確に切り分けて運用しています。

  • X(旧Twitter):当初は「白浜の課題発信」で関係人口を集めていましたが、現在は「地方ビジネス・地方移住」をテーマに、将来一緒に活動できる仲間との接点を作る発信に切り替えています。

  • Instagram:地域に興味を持つ層との相性が最も高い媒体と判断し、白浜町の飲食店紹介を中心に運用しています。撮影依頼時に「フォローしています」とお店の方から声をかけられる確率が約8割に達するそうです。

  • TikTok:Instagramと同じ素材を活用し、若年層へのリーチを補完する役割を担っています。

リサーチの軸は「リアルタイムで伸びている発信者を参考にすること」です。フォロワー1万人を超えていても直近のエンゲージメントが低下しているアカウントは参考にせず、今まさに伸びている発信者の型を徹底的に分析する姿勢が共有されました。

講師紹介

ゆうとさん

ゆうとさん
和歌山県白浜町 地域おこし協力隊/LINEオープンチャット「シラハマニア」運営
岩手県出身。2024年4月にLINEオープンチャット「シラハマニア」を立ち上げ、観光客と地域住民をつなぐコミュニティを運営しています。日々の現地活動と並行して、X・Instagram・TikTokを目的別に使い分けたSNS発信を実践し、白浜町の魅力を地域内外へ届けています。役場のX運用や地域活性化起業人とのプロジェクト、週2回のラジオ出演など、オンラインとオフラインの両面から地域に関わる活動を展開中です。

ゆうとさんからは、「自分から『教えます』と言うのはなかなか難しいので、皆さんから聞いていただけると嬉しいです。コンセプト作り、特にSNS周りは比較的得意としているので、もしコミュニティ設計や発信戦略で迷っている方がいれば、ぜひざっくばらんに相談していただきたいです」との温かいメッセージが寄せられました。

参加者からのコメント

北海道増毛町DAOマネージャー Haruさん

北海道増毛町DAOマネージャー Haruさん

「SNSに非常に詳しいゆうとさんから客観的なご意見をいただき、大変勉強になりました。この勉強会で改めて学びになったのは『パクれる力』と『リサーチ力』です。どんな仕事においても、結果を出せる人はこの2つの力が強いように感じます。改めてここを意識して、今後の仕事を頑張りたいと思いました。」

▼ 北海道増毛町コミュニティはこちら
https://discord.com/invite/tYYs7Z4rF8

熊本県あさぎり町DAOマネージャー はるっくまさん

熊本県あさぎり町DAOマネージャー はるっくまさん

「ゆうとさんの1日のスケジュールを具体例に挙げたロールモデル解説が非常に分かりやすかったです。媒体ごとにリーチの狙いを分けて、自分のゴールに対してどこを重点的に運用するかという話も学びが多かったです。『観光地ではない町ではどうするか』という突然の質問にも、地域特性を起点にした設計に変える、という視点で丁寧に答えていただけて、自分の活動にも引きつけて考えることができました。」

▼ 熊本県あさぎり町コミュニティはこちら
https://discord.com/invite/V9wafg5K8k

今後の展望

株式会社あるやうむは、今後も地域おこし協力隊員同士の知見を共有する勉強会を継続し、各地域で生まれた実践を横断的に活かすことで、地域全体の価値向上に貢献していく予定です。

各地域のDAOに参加して、地域活性化に貢献しませんか?お住まいの地域や興味のある地域のDAOに、ぜひお気軽にご参加ください。

▼ DAOへの参加リンクはこちら
https://lit.link/alywamu-dao

株式会社あるやうむについて

DAOやNFTによる地方創生を推進するため、全国の自治体向けにふるさと納税NFT、観光NFT、地域おこし協力隊DAOソリューションを提供する札幌発のスタートアップです。地域の魅力をのせたNFTをふるさと納税の返礼品とすることや、地域でDAOを運営することを通じて、新たな財源を創出し、シティプロモーションや関係人口の創出に繋げています。

社名「あるやうむ」はアラビア語で「今日」を意味します。今日、いますぐチャレンジをしたい自治体・地域の皆様にNFTという先端技術を提供し、応援され続ける地域づくりを支援しています。

株式会社あるやうむ 会社情報