ビジネスの未来を拓くAIエージェント技術:産総研グループとストックマークが「共創プロジェクト」を始動

共同研究から共創プロジェクトへの進化

本プロジェクトでは、大量かつ高度な知識を持つ人間でなければ生み出せないような、新たなアイデアを発想できる「自律型アイデア発想AIエージェント」による事業価値創出を目標に研究開発を進めます。生成AIの応用は、知識探索や文章生成に留まらず、「アイデア発想」や「知的創造」といった高度な人間の創造的活動へと急速に期待が広がっています。

ストックマークの生成AI技術と産総研の研究リソース、専門知識を戦略的に組み合わせることで、新たな大規模言語モデル(LLM)の開発とビジネスにおける先行事例の創出を目指します。

「自律型アイデア発想AIエージェント」の研究開発

産総研グループとストックマークの共同研究は、初期の「文書要約」から発展し、現在は実際のビジネスシーンで厳密なビジネスプラン策定に有用なアイデアを発想できる「AIエージェント」の開発に注力しています。

関連情報:実現性の高いビジネスプランを策定する自律型アイデア発想AIエージェントを研究

これまでの研究成果の大きな特徴は、決まったルールや枠にとらわれない自由な発想ではなく、自社の技術(シーズ)の特徴や提案背景などを前提条件として、複数のAIエージェントが議論を重ねることでアイデアを導き出す「マルチAIエージェント技術」などの最先端生成AI技術を活用している点です。ビジネスにおける意思決定では、単に斬新なアイデアを並べるだけでは不十分であり、それが自社の戦略や市場環境に照らして「実行に値するか」という厳密な評価が不可欠です。

独創的な創造を担う「発想エージェント」と、論理的整合性や市場妥当性を検証する「評価エージェント」が両輪となって機能することで、複雑なビジネス環境の厳しい要求水準に耐えうるAIエージェントが実現します。産総研グループとストックマークは、この新たな「共創プロジェクト」を通じて、「発想」と「評価」のプロセスを自律的に繰り返すことで、人間によるブラッシュアップを最小限に抑えつつ、高い実現性を備えたビジネスプランを導き出す「自律型アイデア発想AIエージェント」の確立を目指します。

これまでの産総研グループとストックマークの取り組みの実績

産総研グループとストックマークは、ビジネスプランを導き出すLLMの確立に向けて、着実に実績を積み上げてきました。文書要約技術の研究から始まり、「QA自動生成技術」の確立、独自LLM「Stockmark-13b」の開発、そして強制発想法やマルチAIエージェント技術を活かした「自律型アイデア発想AIエージェント」へと発展しています。

2023年:情報の深掘りを可能にする「QA自動生成技術」の確立

共同研究の初期段階では、ビジネス文書から高精度な設問と回答を自動生成する技術に着目しました。この成果は「情報処理学会自然言語処理研究会」や国際会議「PACLIC 2023」で発表され、AIが単に文章を読むだけでなく、内容を深く理解し、示唆を抽出するための基礎を築きました。

2023年:国内屈指のビジネス特化型LLM「Stockmark-13b」の開発

同年、国内のビジネスドメインに特化した独自の大規模言語モデル(LLM)「Stockmark-13b」を共同開発し、「言語処理学会第30回年次大会」にてその成果を公開しました。これは、汎用AIでは難しかった「日本のビジネス文脈」の正確な把握を可能にする画期的な成果となりました。

2024年:鮮度の高い知識を維持する「継続学習」の実現

さらに、刻一刻と変化する経済情勢をLLMに反映させるため、ニュースデータを用いた継続学習による知識アップデート手法を研究し、その成果は「PACLIC 2024」に採択されました。「常に最新の知識を持つ」という特性は、現在のAIエージェント開発における重要なコア技術となっています。

2025年:多角的な議論を通じた「マルチAIエージェント技術」の確立と高度化

2025年には、複数のAIエージェントが議論を重ねることでアイデアを導き出す「マルチAIエージェント技術」を確立し、その成果は国際会議「SIGDIAL 2025」に採択されました。物理学者や心理学者など多様な専門領域のペルソナを持つエージェント同士が、相互に批評・改訂を繰り返すフレームワークにより、単一視点のバイアスを排除し、厳密性の高いビジネスプランの策定を可能にしました。

これらのプロセスを経て、産総研グループとストックマークは「情報の要約」という枠組みを超え、自律的に思考し、最新のビジネス環境に適応する「AIエージェント」という、より高度な社会実装のフェーズへと到達しました。今回の「共創プロジェクト」始動により、これらの知見を結集させ、AIエージェントによるビジネス変革をさらに加速させてまいります。

今後の展望

共創プロジェクトを通じ、発想と評価を自律的に繰り返すマルチエージェント構成の研究を加速し、企業の独自技術や市場環境に即した実現性の高いビジネスプランを導き出す「AIエージェント技術」を確立します。共創プロジェクトで得られた最先端の知見は、ストックマークのプロダクトである「SAT」へと速やかに実装し、顧客企業の技術シーズを起点とした戦略立案や新規事業創出を強力に支援してまいります。

産総研グループの強固なコミュニティを活かし、学術的な成果を国内外の主要学会で発表していく予定です。さらに、ワークショップの開催やShared Taskの実施などを通じ、AIエージェント研究に関するオープンなコミュニティを形成し、議論を先導することで、日本全体のイノベーション創出スピードを引き上げていくことが期待されます。