社会システムの大転換期における広島の可能性
イベントの冒頭では、叡啓大学ソーシャルデザインセンター(SDC)の早田吉伸センター長(教授)が、今回の出版に至った背景と今後の展望について語りました。早田センター長は、「社会システムの大転換期が到来しており、AI時代には価値を生み出すプロセスと場所が変化します。日本の縮図ともいえる多様性を持つ広島は、その価値の中心となる大きな可能性を秘めています。広島から世界へ、様々なステークホルダーの皆様と共に新しい人づくりを進め、広島を挑戦する人が育つ社会実装都市にしていきたいと考えています」と、熱い思いを伝えました。

続いて、ムック本の編集長を務めた株式会社角川アスキー総合研究所の井上裕信氏が登壇し、本の制作を通じて広島の多様性を強く実感したと述べました。「海、島、山、川、都市、中山間地域と、広島はとにかく多様です。それゆえに課題も多岐にわたり、一つの組織だけでは解決できません。皆で協力する共創の姿勢が不可欠であり、叡啓大学はそのハブとして、一つのモデルケースになりうると感じました」。

パネルディスカッション第1部:未来はなぜ広島から生まれるのか―次世代の変革者たちの挑戦―
イベントの主要コンテンツであるパネルディスカッションは2部構成で行われ、第1部では広島で活躍する次世代の変革者たちが登壇しました。登壇者の多くは広島出身で、一度は県外に出るものの、Uターンして起業したり家業を継いだりといった経験を持つ方々です。

株式会社DoTSの谷口千春社長は「広島は人との距離が近く、応援文化があるのが魅力」と広島で挑戦する理由を語りました。砂谷株式会社の久保宏輔副社長は「若い頃は早く広島を出たいと思っていましたが、帰ってきて初めて大事な場所だとわかりました」と、県外での経験が地元への愛着を深めたことを笑顔で話しました。

特定非営利活動法人PEACE CULTURE VILLAGEの住岡健太専務理事は、世界を旅した経験から「これまで広島の名を知らない人に出会ったことがありません。世界中から多くの人が訪れる広島だからこそできることがあると思います」と期待を寄せました。株式会社ビーライズの波多間俊之CEOは、「毛利元就が礎を築いた広島は、いつの時代もエネルギーにあふれています」と歴史的な視点から広島の魅力を語りました。

株式会社エイトノットの木村裕人CEOは、水の都である広島の水上交通インフラ整備に触れ、「広島は全国でも有人離島が多く、技術開発や社会実装に最適な条件が整っています」と述べました。

登壇者たちは事業内容は異なりますが、「広島は挑戦しがいのあるまちである」という共通認識を持っていました。どのような未来を創造したいかという問いに対し、それぞれが「過去を大事にしながら、未来を創造する人が活躍できるまちにしたい」(谷口氏)、「豊かな都市には豊かな周縁が必要。その一つに寄与したい」(久保氏)、「勇気をもらえる希望のまちというメッセージを発信したい」(住岡氏)、「ものづくり2.0のように、製造業を活性化させたい」(波多間氏)、「広島で社会実装した水上自動運転技術を、ゆくゆくは世界に持っていきたい」(木村氏)と、多様なビジョンを語り、変革者たちの挑戦が今後も続くことを示しました。
パネルディスカッション第2部:未来はなぜ広島で育つのか―共創が育む地域の力―
第2部では、共創をテーマに地域の力について議論が展開されました。

株式会社モルテンの民秋清史社長は、「ものづくりに代表される産業がどれだけ元気かは重要な要素。それでこそ面白い人が集まってきます」と、生活基盤の重要性を強調しました。株式会社サンフレッチェ広島の久保雅義社長は、「広島はいろいろなことにチャレンジしている人たちが多い、熱量のあるまち。その横のつながりや接点をどう作るか、仕組みづくりが大切になってきます」と、プロサッカー運営を通じて若い世代と関わる中で感じた実感を述べました。

ひろぎんホールディングスの部谷俊雄会長は、「広島は産業、スポーツ、観光など、ポテンシャルの大きなまち。それらを生かすためには、個々の力をまとめ、連携することで新たな価値を生み出していかなければなりません」と、次世代の夢を支えることの重要性を説きました。これらの発言を受け、横田美香広島県知事は、「チャレンジする人を周りが面白がる、そういう気持ちや土壌づくりも必要ではないでしょうか。広島にはその土壌がある。そしてそれを見えるようにしていくのも大事だと考えています」と、力強く語りました。

リーダーたちは10年後の広島と日本について、それぞれの展望を語りました。「日本をもう一度ハードウェア大国に、という思いがあります。ハードウェア産業は、ソフトウェア、AIなど様々なものを内包できます」(民秋社長)、「AIと上手に付き合いながらも、最終的にものをいうのは人です。広島の発展には人づくりが欠かせないでしょう」(久保社長)、「これまでリスクは極力排除されてきましたが、これからはリスクを軽減しながら新しい産業を育てていくかがカギになります。既存の組織も変わっていく必要があります」(部谷会長)、「大都市は大都市だけでは成立しません。今後、地方の役割はますます大きくなっていきます。地方は最先端のコミュニティであり、異なるものが集まり、創造性が発揮されることで、新たなものが生み出されます。そういう国のかたちであってほしいという願いとともに、皆さん一緒に広島を最先端のまちにしていきましょう」(横田県知事)。
人と人をつなぐプラットフォームとしての叡啓大学ソーシャルデザインセンター
パネルディスカッション後には、クロージング・フォトセッションを経て交流会が開催されました。会場では参加者の皆様が名刺交換をしたり、和やかに談笑したりする姿が見られ、活発な交流が生まれました。

叡啓大学ソーシャルデザインセンターは、このように人と人をつなぐプラットフォームとして機能しています。今回のムック本にご興味を持たれた方、また叡啓大学の活動に関心があり、学生や教員とプロジェクトに取り組んでみたい企業・団体の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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叡啓大学ソーシャルデザインセンター: https://eikei.ac.jp/sdc/
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早田吉伸センター長(教授)紹介: https://eikei.ac.jp/academics/researcher/details_00304/
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イベント開催報告詳細: https://eikei.ac.jp/news/16727/
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叡啓大学ウェブサイト: https://www.eikei.ac.jp

