第5回 鈴木三郎助全広連地域広告大賞、岩手日報社「最後だとわかっていたなら教育プログラム」が最優秀賞に輝く

第5回 鈴木三郎助全広連地域広告大賞、岩手日報社が最優秀賞を受賞

日本各地の地域活性化に貢献した優れた広告コミュニケーション活動を顕彰する「第5回 鈴木三郎助全広連地域広告大賞」の選考委員会が4月15日に開催され、最優秀賞が決定しました。

27広告協会および一般からの145作品の応募の中から、岩手日報社による「最後だとわかっていたなら教育プログラム 3月11日を大切な人に「ごめんね」を言う日にも」が最優秀賞とキャンペーン部門賞を同時に受賞しました。贈賞式は5月13日、第74回全日本広告連盟静岡大会の式典にて執り行われる予定です。

最優秀賞・キャンペーン部門賞:岩手日報社

「最後だとわかっていたなら教育プログラム 3月11日を大切な人に「ごめんね」を言う日にも」は、新聞、動画、WEBサイト、授業教材を組み合わせた多角的な広告企画です。

東日本大震災から14年が経過し、震災の記憶の風化や未経験世代への継承が全国的な課題となる中、教育現場での復興教育の負担を軽減するため、学習指導案を含むパッケージを無料で提供しました。このプログラムは全国90以上の学校・団体で活用され、高い評価を得ています。特に、3月11日を大切な人に「ごめんね」を伝える日と呼びかけるWeb施策では、関連動画のインプレッションが約700万回に達し、「ごめんねポスト」には約50件の後悔が寄せられるなど、震災の風化防止と心理的な防災意識の喚起に大きな反響を呼びました。

広告が「一過性の表現」に留まらず、「全国で使用される教育インフラ」へと拡張された取り組みは、震災の記憶を風化させないという強い決意と、感情喚起力を持つ新聞広告や映像を教材として再設計した点が評価されました。

プリント部門賞

中国新聞社・長崎新聞社・協賛各社「PEACE FOREVER PROJECT」

PEACE FOREVER PROJECT

被爆80年を迎えるにあたり、広島と長崎の二つの被爆地から平和を同時に発信するプロジェクトです。これまでになかった被爆地同士のメディア連携により、世界のイラストレーターIC4design氏が広島・長崎の日常、歴史、文化、復興の歩みを緻密に描いた作品を両紙に同時掲載。二つの紙面を並べると「∞(無限大)」のマークが、90度傾けると「80」の数字が浮かび上がる仕掛けも施されました。特設サイトや塗り絵コンテストなど展開を広げ、約67万人にリーチし、平和への想いを未来へつなぐ継続的な取り組みとなっています。広告表現を通じて平和へのメッセージを「共有財産」として発信した点、そして活気に満ちた現代の両都市を描くことで、未来の平和を目指す明るく力強い表現となった点が評価されました。

小泉八雲・セツのドラマをイカしてバケる松江推進協議会「あげ、そげ、ばけ。 小泉八雲とセツが出会ったまち松江」

あげ、そげ、ばけ。 小泉八雲とセツが出会ったまち松江

2025年度後期のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」の舞台となる島根県松江市が、番組タイトルに頼らず独自の観光誘致を図る企画です。松江で出会った小泉八雲とセツの後ろ姿をモチーフにしたシンボルマークと、松江の方言に由来するキャッチコピー「あげ、そげ、ばけ。」を開発。ロゴマークを無償・許可制で開放し、事業者や市民が自由に使える環境を整備した結果、学校給食や金融商品、伝統行事など多様な分野で活用が広がり、使用申請は365件にのぼりました。方言とビジュアルを起点に地域の物語性を可視化し、ロゴマークを“開かれた資産”として開放することで、広告を参加型の仕組みへと転換し、地域内外に自走的な広がりを生んだ点が評価されました。

フィルム・オーディオ部門賞

トヨタ自動車株式会社「あおり運転 囲み取材」

あおり運転 囲み取材

交通量が多く、交通事故死者数が長年全国ワースト上位にあった愛知県が、あおり運転対策として実施したWEB動画です。「あおる人」と「あおられる人」双方を囲み取材し、感情がぶつかり合う生々しい会話劇として描かれました。動画にはあおり運転抑止につながる正しい知識や視点が盛り込まれ、視聴者が思わず見続けてしまう構造となっています。総再生回数は1,121万回を超え、SNSでは1万件以上のコメントが寄せられるなど、社会的議論を喚起する成果を得ました。加害者・被害者という二項対立を超え、双方の心理に真正面から向き合う表現で社会的議論を生むことに成功した点、そして対話と可視化によって行動変容を促す広告の力を示した点が評価されました。

イオンフィナンシャルサービス株式会社「AEON Pay 支払いドラマ」

AEON Pay 支払いドラマ

福岡県の若年層を含む生活者に対し、決済サービス「AEON Pay」の認知向上と利用促進を図ることを目的とした取り組みです。福岡エリアで高い認知度を持つタレントを起用し、縦型ショート動画による“支払いドラマ”を制作。身近な買い物シーンでのAEON Pay利用を描くことで、ダウンロードや利用への心理的・操作的ハードルを下げました。出稿後の調査では動画視聴による態度変容率が50%を超え、福岡県単独のキャンペーンながらアプリのインストール数は1万件を突破しました。地域タレントを起用し、福岡県民が共感する地域性の強いクリエイティブで決済サービスを「日常の選択肢」へと引き寄せた点が評価されました。

キャンペーン部門賞

広島県「OK!!広島(おいしいけぇ、ひろしま)」

OK!!広島(おいしいけぇ、ひろしま)

広島県の多彩な食の魅力を県内外に伝えるプロジェクトです。県外からの高い評価と県民による控えめな評価のギャップ、そして首都圏での認知が定番グルメに限られるという課題に対応するため、「おいしいけぇ、広島に来てほしい」「おいしいから、広島に行ってみたい」という双方向の想いを込めた「OK!!広島」を開始。応援団長に広島出身アーティストの奥田民生さんと吉川晃司さんのユニットOoochie Koochieを起用し、キービジュアルやスペシャルムービーで「ひろしまは美味しさの宝庫」であることを全国へ発信しました。SNSキャンペーンやポップアップストアなどを展開し、SNSインプレッション500万超、関連投稿の想定リーチ約164億を記録。県民と県外の人という二つの視点を一つのコンセプトで束ね、多様な人を巻き込むソーシャルメディアを核としたキャンペーン設計が高く評価されました。

チャレンジ部門賞

株式会社 秋田魁新報社「秋田活性化中学生選手権」

秋田活性化中学生選手権

人口減少率が全国ワーストの秋田県において、若年層の県外流出と地域産業の担い手不足という課題に取り組むコンテストです。県内中学生が地元企業を訪問し、地域活性化策を提案する「秋田活性化中学生選手権」を全県規模で開催。新聞社が仲介役となり、中学校と企業をマッチングし、中学生による提案過程や内容を新聞紙面で特集しました。中学生の視点が大人や企業を動かし、実際の商品化や事業化につながる事例も生まれるなど、次世代と地域を結ぶ新たな循環を生み出しています。地域を変える力にあふれた中学生のプレゼンテーションは、次代のビジネス界のスターが生まれる期待を抱かせ、企画を具現化した広告主の熱量に大きな賞賛が集まりました。

株式会社マリモ「片手でスルリとはける くつした ほのん」

片手でスルリとはける くつした ほのん

体が不自由になり一人で靴下を履けなくなった創業者の祖父の存在をきっかけに開発された、片手で簡単に履ける靴下「ほのん」のプロジェクトです。加齢やケガ、妊娠などにより靴下の着脱が困難な人の悩みを解決するため、機能性とデザイン性を両立。限られた予算の中で売上実績を作り、百貨店や専門店での取り扱いにつなげるため、グッドデザイン賞の受賞、商品の特性が一目で伝わるビジュアルコミュニケーション、機能を端的に伝えるパッケージデザインの開発を行いました。これらの取り組みが大型生活雑貨店のバイヤーの目に留まり、レギュラー商品化を実現しました。デザインの力を梃子にした見事なD2C成長モデルであり、地域ビジネスの未来において学びや勇気を与えられるものとなっていた点が評価されました。

デジタルコミュニケーション特別賞

株式会社ワイドレジャー「でっかい学校」

でっかい学校

全国90店舗のアミューズメント施設を展開する同社が、巨大クレーンゲームの景品のマンネリ化を打破するために開発したオリジナル景品「でっかい学校」のプロジェクトです。誰もが学校生活で親しんできたアイテム(えんぴつ、消しゴム、上履きなど)を超巨大化し、「思わず手に取りたくなる」「触った瞬間に笑ってしまう」ユニークな景品としました。景品そのものが語りたくなる、シェアしたくなる存在となることで、クレーンゲームから景品を使って遊んでシェアする体験までをエンターテインメント化。中高生をはじめとする新たな若年層の流入を促し、SNS動画の総再生数は800万回、総いいね数は11万超を記録しました。プロダクト開発でマンネリの壁を突破し、SNSでの爆発的な拡散と新規客層の開拓、話題化を同時に実現した点が評価されました。

鈴木三郎助全広連地域広告大賞について

鈴木三郎助全広連地域広告大賞

本賞は、全日本広告連盟第三代理事長 鈴木三郎助氏の寄付金を基に制定されたもので、地域の産業・経済・文化スポーツに関する広告活動を通じて、日本各地の地域活性化に貢献した優れた広告コミュニケーション活動を顕彰することを目的としています。2022年度より名称を「鈴木三郎助全広連地域広告大賞」と変更し、内容をリニューアルしました。

「プリント部門」「フィルム・オーディオ部門」「キャンペーン部門」「チャレンジ部門」の4部門に加え、第5回からはデジタル・WEBを使用した優れたコミュニケーション活動を対象とする「デジタルコミュニケーション特別賞」が増設されています。

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