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企画展「上野駅と猪熊弦一郎の《自由》」が丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開幕

上野駅の象徴、壁画《自由》の歴史

1951年、戦後の混乱期に制作された大壁画《自由》は、東京の「北の玄関口」として親しまれる上野駅の象徴として、70年以上にわたり多くの人々の往来を見守ってきました。

物資が不足していた制作当時の状況と、駅という公共空間の特性により、壁画はこれまで三度にわたる修復を経て、その姿を保ってきました。2025年5月に始まった三度目の修復では、壁画前に設置された「『自由』を修復しています」という横断幕がSNSで話題となり、壁画自体にも改めて注目が集まりました。

修復作業中の上野駅中央改札

《自由》の修復を含むJR上野駅グランドコンコースのリニューアル工事では、クリエイティブユニットSPREADが《自由》から採集した色彩を現代的にアレンジした「フリーダムカラー」を用いて、空間全体の調和を図る計画も進行しています。

本展は、《自由》というタイトルや、「絵画は独占するものでなくより多くの人々を喜ばせ、みちびくもの、多くの人々のためになるべきもの」という猪熊弦一郎の言葉に込められた画家の思いを再考する貴重な機会となるでしょう。

企画展「上野駅と猪熊弦一郎の《自由》」の見どころ

上野駅と壁画《自由》の歩みをたどる

1883年に開業し、長い歴史を持つ上野駅と、1951年に制作された壁画《自由》。上野駅の歴史を年表で紹介するとともに、壁画《自由》が駅の一部としてどのように関わってきたのかをたどります。

壁画《自由》のスケールを体感する

幅約27メートル、高さ約5メートルに及ぶ壁画《自由》の壮大なスケールを体感できるよう、展示室の壁に原寸大の外枠が型取られます。また、猪熊弦一郎が北国の風物をモチーフに描いた壁画の一部が原寸大写真で展示されます。

緻密な修復作業の現場を紹介

三度目の大規模修復で行われた、普段は目にすることのできない緻密な修復作業の様子を、写真や実際に使用された道具とともに紹介します。

「フリーダムカラー」による空間の調和

クリエイティブユニットSPREADが壁画《自由》から採集した色彩「フリーダムカラー」を用いて、空間全体の調和を図る計画について紹介します。

展示構成の詳細

1章 上野駅について

1883年(明治16年)に開業し、2023年(令和5年)に開業140周年を迎えた上野駅は、東北や北陸方面行きの列車が発着する東京の「北の玄関口」として親しまれてきました。本章では、上野駅の歴史を年表でたどり、その役割や特徴を紹介するとともに、その歴史の中で猪熊弦一郎の壁画《自由》がどのように歩んできたかを概観します。

東日本旅客鉄道株式会社の協力により、JR上野駅構内で上映されていた映像《上野発の名列車》も特別に展示され、上野駅の魅力に迫ります。

2章 壁画《自由》について

壁画《自由》が制作された経緯、当時の制作風景、絵に込められた作者の思いなどが下絵や資料で紹介されます。

壁画《自由》の下絵

幅約27メートル、高さ約5メートルに及ぶ壁画の大きさを体感できるよう、壁画の外枠が原寸大で展示室の壁に型取られ、絵の一部が原寸大写真で再現されます。また、別の壁に一色で塗りつぶされたもう一つの原寸大の枠には、会期中の関連プログラムを通して、参加者が少しずつ線や色を加えていく予定です。

3章 これからの上野駅と壁画《自由》

現在進行中のJR上野駅グランドコンコースの大規模リニューアル工事に関連し、壁画《自由》に関わる二つのプロジェクトが紹介されます。

  1. 三度目の大規模改修
    巨大な壁画に対して半年以上かけて行われた緻密な修復作業の様子が紹介されます。この作業を担った「有限会社修復研究所二十一」は、2002年の修復も手掛けています。

    修復作業の様子

    壁画のひび割れを修復する様子

    有限会社修復研究所二十一は1972年創立で、全国の美術館や博物館の油彩画、水彩画、版画、デッサンなど多岐にわたる作品の修復を手掛けてきました。猪熊弦一郎作品の修復経験も豊富で、2008年には慶應義塾大学学生食堂の壁画《デモクラシー》の修復も担当しています。

  2. フリーダムカラー
    クリエイティブユニット「SPREAD」が《自由》から採集した色彩を現代的にアレンジした「フリーダムカラー」。空間全体の調和を図るこの色の組み合わせの制作プロセスが紹介されます。

    壁画から抽出された色彩のコラージュ

    SPREADは2004年に山田春奈と小林弘和が立ち上げたクリエイティブユニットで、「あらゆる記憶を取り込み『SPREAD=広げる』クリエイティブを行う」ことをモットーに、デザインやディレクションを手掛けています。2025年には四国村ギャラリー(高松)において「猪熊弦一郎 Form, People, Living 身の回りにある、秘密と美しさ」展のディレクションも担当しています。

関連プログラム

会期中には、本展をより深く楽しむための関連プログラムも開催されます。

  • キュレーター・トーク
    本展担当キュレーター(古野華奈子)が展示室で見どころを解説します。
    日時:2026年3月1日(日)、4月5日(日)、5月3日(日)、6月7日(日) 各日14:00〜
    参加料:無料(別途、本展観覧券が必要)、申込不要

  • 親子でMIMOCAの日
    高校生以下または18歳未満の観覧者1名につき、同伴者2名まで観覧無料となります。
    日時:2026年4月25日(土)、26日(日) 各日10:00〜18:00(入館は17:30まで)

その他関連プログラムは、開催が決まり次第、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館のウェブサイト等でお知らせされる予定です。

猪熊弦一郎について

アトリエで制作中の猪熊弦一郎

猪熊弦一郎(いのくまげんいちろう)は、1902年に香川県高松市で生まれ、少年時代を香川県で過ごしました。東京美術学校で藤島武二に学び、1936年には新制作派協会を結成。パリではアンリ・マティスに師事しました。三越の包装紙「華ひらく」のデザインや、1951年の国鉄上野駅大壁画《自由》の制作で知られています。ニューヨークでの活動を経て、1989年には丸亀市へ作品1000点を寄贈し、1991年には丸亀市猪熊弦一郎現代美術館が開館しました。1993年に90歳で逝去しましたが、その作品は今も多くの人々に影響を与え続けています。

開催概要

  • 展覧会名:上野駅と猪熊弦一郎の《自由》

  • 会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

  • 所在地:香川県丸亀市浜町80-1

  • 会期:2026年3月1日(日)ー6月28日(日)

  • 開館時間:10:00-18:00(入館17:30まで)

  • 休館日:月曜日(ただし、5月4日は開館)、5月7日(木)

  • 観覧料

    • 一般1,500円(団体割引1,200円、市民割900円)

    • 大学生1,000円(団体割引800円、市民割600円)

    • 高校生以下または18歳未満・丸亀市内に在住の65歳以上・各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料

    • ※同時開催の常設展「猪熊弦一郎展 20歳から90歳まで」の観覧料を含みます。

    • ※団体割引は20名以上の団体が対象です。

    • ※市民割は丸亀市民が対象です。チケットご購入時に証明する書類(運転免許証、保険証など)のご提示が必要となります。団体割引を含み、他の割引との併用は出来ません。

  • 主催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁

  • 問い合わせ先:0877-24-7755

本展の観覧券は、JR東日本が運営するオンラインチケット販売サイト「JRE MALLチケット」でも購入できます。販売開始日は決まり次第、同サイトにて案内される予定です。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)について

30年を超える活動

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の外観(夜景)

1991年11月23日、JR丸亀駅前に開館した丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(愛称:MIMOCA)は、30年以上にわたり活動を続けています。猪熊弦一郎が望んだ「同時代の新しい表現を積極的に紹介する『現代美術館』」という理念を受け継ぎ、猪熊作品を中心とした常設展、現代美術に焦点を当てた企画展、子どものためのワークショップなど、多彩なプログラムを展開しています。猪熊弦一郎が遺した絵画やドローイングなど約2万点の作品を所蔵し、猪熊の幅広い活動を深く紹介しています。

現代美術に特化した美術館として

現代美術を中心とし、国内外のアーティストの活動を展観する企画展を数多く開催してきました。これまでにヤン・ファーブル、マリーナ・アブラモヴィッチ、マルレーネ・デュマス、エルネスト・ネト、杉本博司、塩田千春、ホンマタカシ、石内都らの個展を開催する一方、金氏徹平、小金沢健人、志賀理江子、中園孔二ら気鋭のアーティストの紹介にも積極的に取り組んでいます。近年では若手作家を対象とした公募展「MIMOCA EYE」を立ち上げ、ファッションやファニチャーといったデザイン、現代建築にも活動を拡張しています。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の展示風景

谷口吉生設計による美しい建築

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の外観(昼景)

美術館の設計は、数々の美術館建築を手掛け高い評価を受ける谷口吉生氏によるものです。猪熊弦一郎との対話を通じて、アーティストと建築家の理念が細部に至るまで具現化された建築となっています。猪熊弦一郎の巨大な壁画《創造の広場》が目を引く伸びやかなファサードは、駅前広場と建築をゆるやかに結びつけ、館内は自然光をふんだんに取り込んだ開放的な空間が広がっています。2階には対照的なプロポーションを持つ2つの展示室があり、3階の天井高約7mの豊かなスケール感を持つ展示室へと続いています。また、正面左側の大階段はアートへの多様なアプローチを可能にするパブリックな空間へと接続しており、2階のアートセンターにはライブラリー、ホール、スタジオが備わり、3階最奥部にあるカスケードプラザとカフェも来館者に心地よい時間を提供しています。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に関する詳細は、以下の公式サイトをご覧ください。

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