税理士サイトのAI検索対応、現状はわずか5.8%
AIによる情報検索が日常となる現代において、WebサイトがAIに適切に認識されることは非常に重要です。しかし、全国の税理士事務所・税理士法人公式サイト1000件を対象とした調査で、驚くべき現状が明らかになりました。
Webサイトの企画・制作・LLMO対策を手がけるプリズムゲート株式会社が2026年7月29日に実施した調査によると、生成AIの検索・回答に「対応できている」と判定された税理士サイトは、全体のわずか5.8%(58件)に過ぎませんでした。

情報の「不足」ではなく「形」が課題
この調査で浮き彫りになったのは、税理士サイトが情報不足であるという問題ではありません。多くの事務所はすでに実績や専門性をサイトに記載しています。しかし、その情報がAIに「読める形」になっていないことが大きな課題でした。
例えば、事務所の住所を掲載しているサイトは94.9%に上る一方で、AIに「これは所在地です」と伝わる「構造化データ」の形式で示していたのは、わずか3.5%でした。これは、人間には理解できても、AIには単なる文字列としてしか認識されない可能性があることを意味します。
「AIに読ませる」とは、どういうこと?
Webサイトに「神奈川県横浜市中区弁天通6-85」と記載されていれば、人間はすぐにそれが事務所の住所だと理解できます。しかし、AIにとっては、これが単なる文字列の並びであり、所在地なのか、支店なのか、提携先なのかを確実に判別することは難しいのです。
ここで役立つのが「構造化データ」という仕組みです。これは、Webページの文字列に「これは所在地である」といった情報をAIが理解できる形で付加する作業です。まるで荷物に「割れ物注意」のシールを貼るように、中身は同じでも、その情報があるかないかでAIによる扱われ方が変わってきます。

情報を「載せる」ことと、AIに「読ませる」ことは、異なる作業です。この認識がまだ広く共有されていないことが、今回の調査から見えてきました。
調査結果から見えてきた現状
9割超が同じ地点に留まる
調査結果では、AI検索対応(LLMO対策)が「出来ている」サイトは5.8%、「不十分である」が92.6%、「全くされていない」が1.6%という内訳でした。上位と下位に大きく分かれる二極化ではなく、実に9割以上のサイトが「不十分である」という同じ地点に集まっていることがわかります。

ほとんどの事務所が何もしないわけではなく、説明文や住所、代表者紹介ページなどを設定しています。しかし、それが「出来ている」レベルには達していないのが現状です。これは裏を返せば、まだ多くのサイトが改善の余地を残しており、早期に着手することで大きな差をつけられる領域とも言えます。
情報はあるのにAIに読ませられていない実態
AIクローラーを拒否していたサイトは1000件中1件(0.1%)のみでした。つまり、ほとんどのサイトがAIのアクセスを許可しているにも関わらず、情報が引用されない原因は、サイト内の情報の提示方法にあると考えられます。

上記の表が示すように、会社概要の住所は94.9%が掲載しているものの、構造化データで示しているのは3.5%に過ぎません。代表者プロフィールも49.0%が掲載しているのに対し、構造化データは8.6%に留まります。FAQは30.5%に対して3.3%、沿革は11.1%に対して14.4%です。
従来の検索エンジン対策(SEO対策)の基本とされるメタ情報(ページの説明文)は96.3%が設定済みですが、AI対応(LLMO対策)の色が濃くなるほど実装率は低下しています。これは、多くの事務所が従来のSEO対策で止まっており、AI対応へのシフトが追いついていないことを示唆しています。

実績を数字で示している事務所は3.1%、構造化データは0件
「関与先○○社」「相続税申告○○件」といった具体的な数字で実績を記載している事務所は、わずか3.1%(31件)でした。さらに、その実績を構造化データで示していた事務所は0件という結果です。
AIが「この地域で相続に強い税理士は?」と尋ねられた際、根拠となるのは具体的な情報です。取扱件数や対応年数、専門分野の内訳などがそれに当たります。しかし、現在の税理士業界全体では、そうした具体的な材料がほとんど提示されていないのが現状です。

「豊富な経験と実績で、お客様に寄り添います」といった抽象的な表現は、人間の依頼者にもAIにも、具体的な情報としては届きにくいでしょう。「豊富な実績」を「相続税申告 累計320件」のように数字に書き換えることで、人間にもAIにも、初めて意味のある情報となるのです。
自分のサイトが92.6%側かどうか、3分で確認できます
今回の調査で使われた判定項目の中から、専門知識なしで確認できる簡単な方法をいくつかご紹介します。ぜひご自身のサイトで試してみてください。
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「豊富」「多数」で検索してみる
ご自身のサイトを開き、ブラウザの検索機能(Ctrl+F/⌘+F)で「豊富」「多数」「数多く」といった抽象的な表現を探してみてください。もしヒットした場合、そこは具体的な数字に書き換えられる可能性のある箇所です。この時点で、96.9%の事務所がまだ対応できていない状態と言えます。 -
Googleの「リッチリザルトテスト」にURLを入れる
Googleで「リッチリザルトテスト」と検索し、ご自身のサイトURLを入力してみてください。「検出されたアイテムはありません」と表示された場合、構造化データが未設置である可能性が高いです。住所を掲載しながらも、ここが空欄だった事務所は916件ありました。 -
自社URLの末尾に「/llms.txt」を付けてアクセスする
ブラウザのアドレスバーにhttps://ご自身のドメイン/llms.txtと入力してアクセスしてみてください。エラーになる場合は未設置です。設置済みだったのは4.3%でした。 -
FAQの見出しを読み返す
FAQの見出しが「顧問料」のように単語で終わっている場合、改善の余地があります。AIに聞かれるのは「顧問料はいくらですか?」という質問文の形です。見出しを質問文に直すだけであれば、ご自身で今日からでも着手できます。 -
ページの説明文(メタディスクリプション)は、あっても差がつかない
これは96.3%のサイトが設定済みであり、従来のSEO対策としては必須項目です。しかし、ここが出来ているだけでは他の事務所と横並びのままであり、AI検索対応においては差別化にはつながりにくいでしょう。
優先度の高い5つの打ち手
上記のチェック項目で改善点が見つかった場合でも、一度に全てを解決する必要はありません。効果の大きさと着手しやすさを考慮し、次の順序で取り組むことをおすすめします。

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実績を数字で書く(実施率3.1%/自社で今日から)
「豊富な実績」を「相続税申告 累計320件」のように具体的な数字に書き換えましょう。これはAIにも依頼者にも届く唯一の項目であり、書いた時点で上位3%に入ることができます。 -
事務所情報を構造化データにする(実施率3.5%/制作会社へ)
すでに掲載されている事務所名、住所、電話番号、営業時間、対応エリアなどを構造化データとして記述し直します。見た目は変わりませんが、AIの認識精度が向上します。 -
FAQを質問文にして構造化データにする(実施率3.3%/前半は自社で)
「顧問料」といった見出しを「顧問料はいくらですか?」のような質問文に直します。見出しの書き換えはご自身でできます。その後、構造化データ化は制作会社に依頼すると良いでしょう。 -
代表者プロフィールを構造化データにする(実施率8.6%/制作会社へ)
氏名、資格、登録番号、経歴などを代表者の情報として明確に示し、構造化データとして実装します。これは専門性の根拠となります。 -
見出しの順番を整える(実施率34.8%/制作会社へ)
一番大きな見出し(h1)は1ページに1つとし、その下の見出し(h2、h3など)は内容の階層通りに整理します。これは本の目次と同じ考え方で、サイト構造の理解を助けます。
まとめ:情報を「載せる」から、AIに「読ませる」へ
多くの税理士事務所に不足しているのは情報そのものではありません。住所も、代表者の経歴も、専門分野も、すでにWebサイトに記載されています。足りないのは、それをAIに向けて「差し出す形」です。
そして、このAIに読ませる工夫は、AIのためだけの作業ではありません。実績の数字は依頼者の安心感を高め、整った見出しは読み手の理解を助けます。AIに伝わりやすいサイトは、そのまま人にも伝わりやすいサイトへと繋がるのです。
現在、これができているサイトは20件に1件という状況です。今から着手すれば、残る94%のサイトとの差を大きく広げることができるでしょう。
プリズムゲート株式会社の代表取締役である芝田弘美氏は、「1000件を見て一番驚いたのは、AIを締め出していたサイトが1件しかなかったことです。扉は開いているのに引用されない。理由は中身の示し方でした」とコメントしています。さらに、「税理士の先生方は、すでに十分な情報をサイトに書いています。ただ『豊富な実績』という一言に、20年分の仕事が押し込められている。これは人間の依頼者にとっても損です。数字に書き換えるだけで、AIにも依頼者にも届く情報に変わります」と、具体的な改善の重要性を強調しています。
今日、ご自身のサイトを開いて「豊富」という言葉を検索してみることから、最初の一歩を踏み出してみませんか。
プリズムゲート株式会社は、コーポレートサイトの制作・運営、Webコンサルティング、LLMO/SEO対策支援を行っており、LLMO対策コンサルティングも提供しています。詳細は以下のURLでご確認いただけます。
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プリズムゲート株式会社: https://prismgate.jp/
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LLMO対策コンサルティング: https://prismgate.jp/llmo/
調査概要
| 調査対象 | 全国47都道府県の税理士事務所・税理士法人の公式サイト |
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| 調査件数 | 1000件(人口比を基準に配分し、各県10件以上を確保) |
| 収集方法 | TKC全国会の会員名簿 844件/検索エンジン経由 155件/その他 1件 |
| 調査日 | 2026年7月29日 |
| 評価方法 | 独自の7項目(AIクローラー非ブロック/メタ情報/見出し構造/FAQの自然文表現/構造化データ/llms.txt/一次情報)を各1点・7点満点で採点し、3段階で判定 |
| 調査主体 | プリズムゲート株式会社(監修:代表取締役 芝田弘美) |
