名城大学経営学部山岡ゼミにて、コピーライター川上徹也氏が「AI時代のクリエイティブ」をテーマに講演

AI時代に求められるクリエイティブとは

2026年6月18日、名城大学経営学部の山岡ゼミで、湘南ストーリーブランディング研究所代表であり、コピーライター兼作家として活躍する川上徹也氏による講演会が開催されました。テーマは「AI時代のクリエイティブ」。58冊の著書を持ち、数々のベストセラーを生み出してきた川上氏が、急速に進化する生成AIが仕事や創作活動に与える影響、そしてその時代に人間だからこそ発揮できる価値について語りました。

AI時代のクリエイティブをテーマに講演する川上徹也氏

記憶に残る「101点」の価値を追求する

講演の冒頭、学生たちには「最近、いちばん記憶に残っているシーンは?」「最近、いちばん記憶に残っている言葉は?」「なぜそのシーンや言葉は記憶に残り、心が動いたのか?」という問いが投げかけられました。

川上氏は、世の中に溢れる「空気コピー」は記憶に残らず、コピーとしての価値がないと説明しました。人の記憶に残り、心を動かすものでなければ、何を語っても意味がないというメッセージは、学生たちの心に深く響いたことでしょう。大学業界にも「世界」「グローバル」「地域」といった汎用的な言葉が多く使われる「空気コピー」が多いと指摘されました。

講演で学生に問いかける川上徹也氏

AIが汎用的な表現を容易に生成できる現代において、差別化はますます困難になっています。川上氏は、これからの時代に求められるのは「101点」の価値であると強調しました。80点の優秀さだけでは不十分であり、キャリアも企画も同様に、いかに独自の光を放つかが重要であると説きました。

自分にしか生み出せない価値を創造するためには、「体験」「視点」「偏愛」「違和感」といった個人ならではの要素を掛け合わせることが大切です。AIには生み出せない、自分自身の経験や感情に根ざした発想こそが、今後のクリエイティブの源泉となるでしょう。また、企画づくりにおいては、机上の発想だけでなく、実際の現場を観察することの重要性にも触れられました。実体験から得られる細かな発見や違和感が、人の心に響く企画やアイデアにつながるといいます。

AI時代のキャリア形成:偶然を味方につける「川下り型」

キャリア形成についても、AI時代に即した新たな視点が提示されました。明確な目標に向かって計画的に進む「山登り型」のキャリア構築から、偶然の出会いや機会を柔軟に生かす「川下り型」への転換が重要であると説明されました。予測できない体験の掛け合わせが、その人ならではの独自の強みを生み出し、AIには作り出すことのできない付加価値につながるとの考えは、学生たちにとって未来を考える上で貴重な示唆となったはずです。

参加した学生たちは、クリエイティブの基本に加え、AI時代に求められる企画のあり方やキャリア形成について深く学びました。自分自身にしか出せない独創的な強みや体験を大切にすることの重要性を再認識する、有意義な時間となりました。

熱心に耳を傾ける名城大学の学生たち

講演者プロフィール:川上徹也氏

コピーライター兼作家の川上徹也氏

大阪大学人間科学部を卒業後、大手広告代理店勤務を経て独立。東京コピーライターズクラブ新人賞、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞など、多数の受賞歴があります。特に「企業理念」や「商品コンセプト」を1行に凝縮して旗印として掲げる「川上コピー」を得意としています。

「物語」の持つ力をマーケティングに取り入れた「ストーリーブランディング」という独自の手法を開発した第一人者としても知られ、現在では企業・団体の広告・広報アドバイザーも多く務めています。

著書には『物を売るバカ』『1行バカ売れ』(角川新書)、『キャッチコピー力の基本』(日本実業出版社)、『ザ・殺し文句』(新潮新書)、『仕事で大切なことはすべて尼崎の小さな本屋で学んだ』(ポプラ社)など多数。数多くのベストセラーを生み出し、海外6か国で30冊以上が翻訳され、台湾・中国ではベストセラーとなっています。

川上徹也氏の多数の著書を紹介するスライド