調査概要
この調査は、α世代のAI利用実態を把握するために実施されました。対象は10〜12歳の男女(α世代)と16〜29歳の男女(Z世代)で、インターネット調査と一部オンラインインタビュー調査を併用し、合計4,237サンプルからデータを収集しました。調査期間は2026年3月20日から2026年3月22日です。
α世代のAI利用実態:日常インフラとしてのAI
調査結果によると、α世代のAI利用率は約6割(60.5%)に達しており、すでに主要なツールとして定着していることが示されています。

さらに、1日あたりの平均AI利用時間は31分と、Instagram(28分)やX(旧Twitter、24分)といった主要SNSの利用時間を上回る結果となりました。年齢制限のあるSNSに代わり、AIが日常の主要な接触メディアとして台頭している様子がうかがえます。

AIは「気を使わずに話せる友達」
α世代にとってAIは単なる便利な道具にとどまらないようです。AIがどのような存在かという問いに対し、42.9%が「気を使わずに話せる友達」と回答し、「便利な道具」(21.6%)を大きく上回りました。これは、AIとの間に情緒的なつながりを求めていることを示唆しています。

特に興味深いのは、恋愛に関する悩み相談相手として「AI(ChatGPTなど)」と「友達」が同率1位(21.6%)を占めたことです。「親」(10.8%)の倍という結果から、友達には話しにくいデリケートな悩みも、心理的なハードルが低いAIになら気軽に打ち明けられるという、新しい対人・対AI関係が始まっていると言えるでしょう。

AIは「会話をしながら答えを見つけるパートナー」
α世代はAIに対して、単に指示を出すだけでなく、対話を通じて共に答えを見つけ出すパートナーとしての役割を期待しているようです。AIから納得のいかない回答が返ってきた際、α世代の72.9%が「指示(プロンプト)を変えて何度でもやり直させる」と回答しました。これはZ世代(62.2%)を大きく上回る数字です。

また、「一緒に考えたりおしゃべりしたりする『友達やパートナー』に近い」と捉える割合も56.7%に上ります。彼らにとってAIとの対話そのものが、友達とのコミュニケーションと同様に楽しまれているプロセスであることが浮き彫りになりました。

「思考力低下」への強い不安
AIの便利さを享受する一方で、α世代はAI利用に対する強い懸念も抱えています。「AIを使うことによる懸念」として、「AIに頼りすぎて、自分で考える力がなくなること」に対し、43.2%が「とても不安である」と回答しました。この数字はZ世代(22.6%)の約2倍に達します。

具体的な不安の理由としては、「高校生になって課題を全部AIに聞くと何もできない人になりそうで怖い」「AIとばかり話してたらリアルな友達と会話をする機会が減りそう」といった声が聞かれました。これは、親やニュースなどのメディアからAI利用に対する制限や思考力の重要性を問われていることが一因と考えられます。α世代は、AIを頼りにしたい気持ちと、自立性を守りたいという葛藤の中で日々AIと向き合っているのです。

α世代の精神的パートナーになりつつあるAI
今回の調査結果は、α世代がAIを単なるテクノロジーとしてではなく、精神的なパートナーとして高度な関係性を築いている実態を明確に示しています。AIが「親以上、友達と同等」の相談相手となり、日常の第一接触メディアとなっている点は、AIそのものが対話の相手となる「オルタナティブフレンズ」として機能し始めたパラダイムシフトを意味すると考えられます。
大人やビジネスパーソンにとってAIは時間・労力削減の側面が強いのに対し、α世代は対話を通じて答えをブラッシュアップするプロセスそのものを楽しんでいます。しかし、彼らはAIに盲目的に依存しているわけではなく、「自分で考える力がなくなるのではないか」という強い葛藤と危機感を抱いています。これは、人類史上最も早くAIとの倫理的な距離感に直面している世代の、リアルな心理を象徴していると言えるでしょう。
解説者紹介

αFindメンバー 山田晶子
株式会社 東急エージェンシー ソリューション推進本部 ストラテジーデザイン局に所属するストラテジックプランナー。大手飲食チェーンや化粧品会社など、多数の企業のマーケティング戦略立案に携わっています。αFindの創立メンバーとして、企業活動やコミュニケーションの観点からα世代の研究に従事しています。
※ 「α世代デザインファーム αFind」(登録商標第7044629号)は株式会社東急エージェンシーの登録商標です。

