スペースデータ、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain」で宇宙空間の脅威を統合監視

宇宙空間における脅威とリスクの拡大

近年、人工衛星の増加による軌道の混雑やスペースデブリ(宇宙ごみ)の増加、さらには衛星への妨害といった事象が発生し、宇宙空間における脅威とリスクが拡大しています。日本政府も「宇宙基本計画」や「宇宙安全保障構想」において、宇宙空間の安全かつ安定的な利用の確保を重点課題としています。

従来の宇宙状況把握の仕組みは、用途や組織ごとに分断されており、全体を俯瞰する共通の「宇宙の見取り図」が存在しないという課題がありました。これにより、状況把握から判断までに時間がかかり、変化の速い宇宙環境への対応が困難でした。

SpaceBrainの主な特徴

1. 共通(作戦)状況図への統合

SpaceBrainは、地球低軌道から静止軌道、地球と月の間のシスルナ圏までといった空間、SSA・SDA・STM・惑星防衛・宇宙天気・飛翔体把握といった用途、そして人工衛星・ロケット・スペースデブリ・小惑星・飛翔体といった対象に関する多様なデータを、一つの基盤に統合します。これにより、包括的な「共通(作戦)状況図」を提供し、宇宙空間の全体像を把握できるようになります。

2. 宇宙安全および宇宙安全保障への貢献

観測データの統合と可視化に加え、SpaceBrainは異常の検知、接近イベント(コンジャンクション)の予測、そして人による意思決定の支援までを一貫して提供します。これまで分断されていた「観測 → 判断 → 行動」のプロセスをシームレスにつなぎ、宇宙安全保障を強力にサポートします。

3. AIによる高速・軽量なデータ統合とユーザーインターフェースの向上

スペースデータが持つAIアルゴリズムの強みを活かし、広域のデータを高速に処理する技術を応用しています。これにより、衛星、デブリ、小惑星、宇宙天気、飛翔体など、異なる種類の膨大な宇宙データを高速かつ軽量に統合し、ユーザーが迅速に判断できる形へと変換します。

デモ環境のご紹介

SpaceBrainのデモ環境は、https://spacebrain.org にて公開されています。軌道上の人工衛星やスペースデブリ、接近イベント(コンジャンクション)、宇宙環境の状態を一つの画面で確認できる「共通(作戦)状況図」のイメージを体験できます。

SpaceBrainデモ画面

オープンな基盤と段階的な機能提供

SpaceBrainの構想では、機能を段階的に提供していく予定です。第一段階として「宇宙データの統合・可視化」の基盤レイヤーは無償で公開され(一部ソースコードも公開)、個人、教育機関、非営利団体での利用が可能です。これにより、研究機関や民間企業が参加するエコシステムの形成を促進します。今後は「分析・予測」、そして「運用・自律化」へと機能を拡張し、将来的には、人による確認を前提とした自律的な宇宙安全・宇宙安全保障の運用も視野に入れています。

SpaceBrainのDEMO機能のオープンソースコードは、以下のURLからダウンロードできます。
https://github.com/spacebrain-oss/core

有識者からのコメント

兵頭 龍樹 博士(最高科学責任者/パリ大学・東京科学大学・立教大学 惑星科学・AI科学者)

「地球を取り巻く人工衛星の増加、そして宇宙デブリの存在を正確に把握し、継続的に管理・監視することは、衝突事故の防止だけでなく、宇宙安全保障の観点からも重要性を増しています。宇宙観測技術の進歩により、人類の『視力』は飛躍的に向上しており、太陽活動の監視や宇宙天気予報、地球衝突リスクを持つ小惑星の監視(プラネタリーディフェンス)にも直結します。

今後、人類の活動圏が月・火星へと拡張していく中で、広範な宇宙環境を把握し、AIと物理モデルを組み合わせて未来を予測することは、宇宙大航海時代の重要な指針となるでしょう。スペースデータが提供するSpaceBrainは、分散する宇宙関連情報を統合し、監視・分析・予測から意思決定支援までをつなぐ基盤です。これは宇宙安全保障と宇宙レジリエンスの向上を支えるだけでなく、人類が宇宙を安全かつ持続的に利用するための意思決定基盤として期待されます。」

岩本 和也 氏(元防衛省 航空自衛官、内閣サイバーセキュリティセンター GSOC長等)

「現代の安全保障環境において、宇宙を含む地球周辺の空間情報を迅速かつ正確に把握し、各種兵器システムへ信頼できる情報をリアルタイムで提供することは不可欠です。しかし、防衛に携わる指揮官や意思決定者が処理すべき情報量は、人間の認知能力を超えつつあります。

SpaceBrainは、シスルナ領域を含む地球周辺の宇宙空間を把握・分析する宇宙AIプラットフォームとして、多様な宇宙情報をAIによって統合し、必要な形で提供します。このプラットフォームが、現場から政策レベルに至る意思決定者に対し、統合された状況認識と将来予測を提供することで、より早く、より確かな判断を支える基盤となることを期待しています。これは、誤認や判断の遅れを減らし、危機を未然に抑止し、適切な対応を可能にすることで、結果として人々の安全と世界の平和を守ることにつながると考えます。」

今後の展望

スペースデータは、SpaceBrainを通じて「宇宙レジリエンス」の実現を目指します。これは、軌道の混雑やスペースデブリ、宇宙天気といった脅威の中でも、宇宙が安全に機能し続ける状態を指します。立ち上げにあたっては、2029年に地球へ最接近する小惑星アポフィスへの対応など、国際的に共通の課題であるプラネタリーディフェンス(地球防護)といった社会的意義の大きい領域から取り組みを広げ、対象を月・火星、さらに太陽系へと段階的に拡張していく予定です。スペースデータは、SpaceBrainを宇宙の安全な利用を支える社会基盤として発展させ、宇宙とデジタル技術の力で人類の意思決定を支えていくでしょう。

株式会社スペースデータについて

株式会社スペースデータは、「宇宙を誰もが活用できる社会へ」という理念のもと、宇宙とデジタル技術の融合により新たな産業や社会基盤を創造するテクノロジースタートアップです。地球・宇宙環境を精密に再現するデジタルツイン技術を活用し、宇宙から都市開発、防災、安全保障まで、未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を目指しています。さらに、宇宙ロボットや宇宙ステーションの運用基盤開発を通じて、宇宙社会の実現に向けて取り組んでいます。

スペースデータの公式サイトでは、最新の取り組みや発表が紹介されています。
詳細はこちらからご覧ください:
https://spacedata.jp/news

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