ムーンショット型研究開発制度 目標9「前向き」プロジェクトについて
ムーンショット型研究開発制度は、国内発の破壊的イノベーションの創出を目指し、挑戦的な研究開発を推進する国の大型研究プログラムです。そのうちの目標9では、「2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現する」ことを目指しています。
山田真希子プロジェクトマネージャーが率いる「前向き」プロジェクトでは、逆境やストレス負荷の中でも心の安らぎと活力を保ち、前向きに生きるための脳・生体メカニズムの理解と、非侵襲的な支援・訓練技術の開発を進めています。
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ムーンショット型研究開発制度:https://www.jst.go.jp/moonshot/index.html
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「前向き」プロジェクト 特設サイト:https://maemuki.org/
「メンタルジム」構想とは
本共同プロジェクトでは、山田PMプロジェクトが有する科学的知見と、セガXDが有するゲーミフィケーション※1および体験設計のノウハウを融合します。具体的には、脳・生理・行動データなどを用いて心の状態を定量的に推定・可視化する研究知見を活用しながら、科学的根拠に基づくメンタルトレーニング体験の設計を進めます。
身体を鍛えるジムが社会に定着しているように、集中力やレジリエンス(精神的回復力)、前向きに行動する力を日常的に整え、高めるための新しい場として、「メンタルジム」の社会実装を目指します。
メンタルジムのコンセプトは以下の通りです。
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脳と心を整え、高めるトレーニング型ウェルビーイング施設
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科学的データに基づくフィードバック
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ゲーミフィケーションを活用した継続設計
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医療行為ではなく、日常的なウェルビーイング支援・能力拡張支援としてのメンタルトレーニング
※1「ゲーミフィケーション」とは:ゲームのメカニズムを非ゲームの分野に応用することで、ユーザーのモチベーションを高め、その行動に影響を及ぼすこと(https://segaxd.co.jp/gamification/overview/)
メンタルジム構想の背景
世界のメンタルウェルネス市場※2は拡大していますが、その多くはアプリケーションや個人向けプログラムなどの自己管理型サービスにとどまっています。身体を鍛える文化が社会に定着した背景には、単なる知識提供だけでなく、継続できる体験設計と習慣化を促す場の存在がありました。本共同プロジェクトでは、心を整えることに加え、人が続けたくなる仕組みを組み込むことで、メンタルトレーニングを日常的な習慣として社会に根づかせることを目指します。
世界では10億人以上がメンタルヘルス上の課題を抱えているとされており、うつ病や不安症による生産性損失は年間約1兆ドルにものぼると言われています。知識労働化やデジタル化の進展により、注意制御、創造性、ストレスへの対応力といった認知・情動機能は、個人のウェルビーイングだけでなく、企業や社会の持続的な発展にもかかわる重要な要素として注目されています。
こうした流れの中で、メンタル領域は「治療」だけでなく、「予防」「セルフケア」「能力発揮支援」へと広がりつつあります。Global Wellness Instituteによると、メンタルウェルネス市場は2024年に約2,683億米ドル規模に達し、2019年から2024年にかけて年平均12.4%で成長していると報告されています。
※2.メンタルウェルネス:単に病気ではない状態(メンタルヘルス)を目指すだけでなく、日常的なセルフケアや行動を通じて、前向きに心の健康を維持・向上させ、よりよい生活(QOL)を追求する能動的なプロセス
関連情報:
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World Health Organization (2025). WHO releases new reports and estimates highlighting urgent gaps in mental health. https://www.who.int/news/item/02-09-2025-who-releases-new-reports-and-estimates-highlighting-urgent-gaps-in-mental-health
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World Health Organization (2022). WHO guidelines on mental health at work. https://www.who.int/publications/i/item/9789240053052
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Global Wellness Institute (2025). 2025 Global Wellness Economy Monitor. https://globalwellnessinstitute.org/industry-research/2025-global-wellness-economy-monitor/
今後の展開
本共同プロジェクトでは、まず実証フェーズとして、国内においてメンタルジムの実証拠点の開設を目指し、脳科学・認知科学・心理学の知見に基づくメンタルトレーニングプログラムの有用性、利用体験、継続性、事業モデルについて検証を進めます。
その後、実証結果を踏まえ、スポーツ・eスポーツ分野、企業研修、教育機関などへの応用可能性を検討する予定です。また、医療機関等との連携可能性も視野に入れ、がん患者等の心理的支援への応用については、倫理面・安全性・有効性を慎重に検証していくことでしょう。
中長期的には、リアル施設とデジタルサービスを組み合わせたハイブリッド型のメンタルトレーニング基盤を構築し、誰もが日常的に心を整え、高めることができる社会の実現を目指します。
代表者コメント
株式会社セガ エックスディー エクスペリエンスデザイン部 プロデューサー 三ツ橋 秀和氏
「本プロジェクトにおいて、セガXDはこれまで長年のゲーム開発で培ってきた『人を夢中にさせる力』のノウハウを、心のトレーニングという領域に活用できると考えています。『前向き』プロジェクトのこれまでの研究成果に加え、思わず没頭してしまうような体験設計と、自然と継続したくなる習慣化の仕組みを掛け合わせることで、誰もが『困難に立ち向かう力』を、楽しく、日常的に養える体験を創出してまいります。」
ムーンショット目標9 プロジェクトマネージャー 山田 真希子氏(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 所属)
「ムーンショット目標9では、逆境の中でも人々が前向きに生きられる社会の実現を目指し、心の状態を科学的に理解し、支援・訓練するための研究開発を進めています。心の支援技術を社会に広く届けるためには、科学的妥当性だけでなく、人々が日常の中で自然に使い続けられる体験設計が不可欠です。セガXDとの連携を通じて、これまでの研究成果を社会実装につなげ、誰もが自分の心を整え、高めることができる新しい文化の創出を目指します。」
国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST) 概要
量子科学技術による未来社会の創造を目指し、量子技術基盤、量子生命科学、放射線医学・医療、フュージョンエネルギーなどの研究開発を推進する国立研究開発法人です。
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会社名:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
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理事長:小安 重夫
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所在地:千葉県千葉市稲毛区穴川4丁目9番1号
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設立:2016年4月1日
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事業内容:放射線医学・医療、量子技術基盤、核融合、量子生命科学 など
株式会社セガ エックスディー 会社概要
セガ エックスディーは、ゲーミフィケーションで企業や社会の課題を解決するゲーミフィケーションカンパニーです。人々の“感情を動かす”ノウハウを強みに、事業戦略から大規模開発・プロモーションまで、一気通貫で企業課題・社会課題の解決に取り組んでいます。
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会社名:株式会社セガ エックスディー
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代表者:代表取締役 社長執行役員CEO 谷 英高
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所在地:東京都新宿区西新宿6-18-1 住友不動産新宿セントラルパークタワー 20階
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設立:2016年8月1日
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事業領域:ゲーミフィケーション
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事業内容:エクスペリエンスデザイン事業、マーケティングプラットフォーム事業
