株式会社DroR、組織変革を「構造的介入」で再定義する「臨床組織科学(COS)」を国際学術誌で発表

株式会社DroR、組織変革の新たな視点「臨床組織科学(COS)」を国際学術誌で発表

株式会社DroRは、代表取締役である山中真琴氏を筆頭著者とする論文「Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations(臨床組織科学:複雑組織における構造的介入のための統合的フレームワーク)」が、国際学術誌『Frontiers in Psychology』のOrganizational Psychologyセクションに2026年4月30日付でオープンアクセス公開されたことをお知らせしました。

この論文は、複雑系科学、神経科学、組織心理学、行動科学を統合し、「臨床組織科学(Clinical Organizational Science、以下COS)」という新しい理論的フレームワークを提唱するConceptual Analysis(概念分析)論文です。

臨床組織科学論文の冒頭部分

臨床組織科学(COS)とは?

COSは、組織の安定状態を能動的に再生産する相互作用構造を理論化し、その構造に介入するための統合的フレームワークです。従来の「個人の行動変容」に焦点を当てるのではなく、「組織アトラクターの遷移」として組織変革を捉え、持続的な変化を目指します。中核技法として、Field Gradient Theory、Loop Conversion Design、Neural Base Designを提示し、個人の習慣化と組織レベルの変化をつなぐ概念として「emergence bridge(創発の橋)」を提案しています。

本論文が問い直すのは、組織変革における支配的な前提です。多くの変革は「人の意識・態度・行動が変われば組織は変わる」という前提に基づきますが、COSはこのアプローチだけでは不十分だと考えます。組織内で日々繰り返される会議や意思決定などは、単なる個人行動の集まりではなく、相互作用パターンとして再帰的に再生産されています。そのため、個人が一時的に変わっても、組織の相互作用構造が変わらなければ、変化は既存の安定状態へと引き戻されてしまうというのです。

COSは、組織の安定状態を「受動的な惰性」ではなく、能動的かつ再帰的に再生産される動的な状態と捉え、持続的な組織変革を、表面的な行動の変更ではなく、組織の安定状態を生み出す構造メカニズムへの介入として再定義しています。

「Clinical(臨床)」という言葉の意味

COSの名称に含まれる「Clinical(臨床)」は、医療的処置や臨床神経科学を意味するものではありません。ここでいう臨床とは、対象となるシステムの外側から助言するのではなく、内側に継続的に関与し、観察と介入を反復しながら理解を深める姿勢を指します。医療における臨床が、患者の具体的な状況に寄り添いながら調整を重ねる実践であるように、COSにおける臨床もまた、組織の内側で相互作用を観察し、構造に介入し、効果を見ながら反復的に調整する姿勢を意味します。

株式会社DroRでは、この臨床的姿勢を、BPO(Business Process Outsourcing)契約を通じて組織内部に継続的に関与する実践として実装しています。単発の研修や外部診断ではなく、日々の業務、会議、フィードバック、意思決定の中に入り続けることで、組織の相互作用構造を観察し、設計していくとのことです。

4つの科学領域と3つの介入技法、倫理的ガバナンスのフレームワーク

4つの科学領域の統合

COSは、以下の4つの科学領域を統合しています。

  1. 複雑系科学(Complexity Science): 組織を、非線形性、経路依存性、創発、アトラクターを持つ複雑適応系として捉えるためのマクロ理論基盤を提供します。
  2. 神経科学(Neuroscience): 個人レベルでの習慣形成、信頼形成、身体的気づき、動機持続を説明するためのミクロ基盤を提供します。ただし、COSは神経測定や神経刺激、薬理学的介入は行わず、組織介入を神経へ還元するのではなく、行動実践の設計を理論的に支える説明層として用いられます。
  3. 組織心理学(Organizational Psychology): 心理的安全性、場の理論、センスメイキング、組織ルーチンなど、個人心理と集合的組織現象をつなぐメゾレベルの概念を提供します。
  4. 行動科学(Behavioral Science): 個人行動、習慣形成、フィードバック設計、組織リズムの実装原理を提供します。

3つの構造的介入技法

3つの構造的介入技法と階層的アーキテクチャ

本論文は、COSの中核として以下の3つの介入技法を提示しています。これらは独立した並列ツールではなく、階層的なアーキテクチャとして構成されています。

  1. Neural Base Design(神経基盤設計)──基盤層: 習慣形成、信頼形成、心理的安全性、身体的気づき、動機持続を支える日次・週次・月次の組織リズムを設計する技法です。他の2技法が機能するための関係的・行動的な基盤を形成します。
  2. Field Gradient Theory(場の勾配理論)──上層技法: 2-on-1 configuration(2対1構造)などを通じて、既存の相互作用パターンに非対称性を導入し、組織アトラクターの遷移確率を高める技法です。説得や強制ではなく、場の構造を変えることで行動の確率を変えることを目指します。
  3. Loop Conversion Design(ループ変換設計)──上層技法: 3Good1Moreなどの構造プロトコルを通じて、批判と防衛が自己増幅するフィードバックループを、自己修正可能なフィードバック構造へ変換する技法です。

これら3技法を貫く統合概念として、本論文は「emergence bridge(創発の橋)」を提示します。これは、個人レベルで習慣化された行動が、相互作用レベルで反復され、組織レベルのアトラクター遷移へと接続されるメカニズムを説明する概念です。

個人、相互作用、組織レベルでの変革のメカニズム

COSは「神経を操作する理論」ではない

本論文では、神経科学を組織介入に導入する際の倫理的リスクについても明確に扱っています。COSは、神経活動の測定、神経刺激、薬理学的介入、隠れた影響操作、組織メンバーの自律性を迂回する介入を含まないことを強調しています。

COSが対象とするのは、神経状態そのものではなく、神経プロセスが展開される行動的・社会的条件です。すなわち、相互作用の構造、フィードバック・アーキテクチャ、習慣化された実践、組織リズムを設計対象とします。倫理ガバナンスとして、Autonomy(自律性)、Transparency(透明性)、Participation(参加)、Revocability(撤回可能性)の4原則が提示されています。

本論文の位置づけ:概念分析としての理論提唱

本論文は、Conceptual Analysis(概念分析)として発表された理論提唱論文です。COSの各技法は、現時点で効果が実証済みであると主張するものではありません。既存の分散した科学的知見を統合し、組織変革を構造的介入の問題として捉え直すための理論枠組みと、今後検証・反証されるべき命題を提示するものです。

代表・山中真琴氏のコメント

株式会社DroR代表取締役の山中真琴氏は、「組織変革の多くが、一度は動いても元の状態へ戻ってしまう。この現象に対して、私たちは『人の意識や行動を変える』だけではなく、『組織の安定を生み出している相互作用構造そのものに介入する』という視点を提示しました」とコメントしています。

また、「臨床組織科学(COS)は、既存の組織開発や行動変容アプローチを否定するものではありません。それらが機能する条件を、構造的に捉え直すための理論的土台です」と述べ、「今回の論文は、あくまで理論提唱の段階にあります。私たちは、ここで提示した3つの技法や創発の橋の概念が、今後、独立した研究者や実務家によって検証され、場合によっては反証されることを歓迎します」と、今後の研究と実践への期待を語っています。

DroRでは、BPOや組織開発の現場で組織の内側に入り続け、観察と実装を往復させながら、理論と実践をともに育んでいくとのことです。

今後の情報公開について

株式会社DroRでは、本論文の公開およびEurekAlert!での英語ニュースリリース配信を起点として、臨床組織科学(COS)の定義、理論的背景、3つの構造的介入技法、既存理論との位置関係、日本国内の組織論との接続、検証可能命題、倫理的境界について、2026年5月から6月にかけて計30本のリリースで段階的に公開していく予定です。

まず、2026年5月7日から5月18日までは、COSの理論的中核として、組織変革が元に戻る理由、複雑適応系としての組織、アトラクター、神経科学の位置づけ、Field Gradient Theory、Loop Conversion Design、Neural Base Design、emergence bridge、倫理ガバナンスを解説するとのことです。

掲載誌『Frontiers in Psychology』について

本論文が掲載された『Frontiers in Psychology』は、スイスに拠点を置くFrontiersが刊行する、心理学分野における大規模な国際査読オープンアクセス誌です。Impact Factor 2.9、CiteScore 6.3を誇り、PubMed Central、PubMed、Scopus、Web of Science Social Science Citation Index、DOAJ、PsycINFO等に収録されています。東京大学や京都大学を含む国内主要大学の研究者による発表実績もあり、日本の研究者コミュニティからも利用されている国際査読誌の一つです。

また、本論文に関する英語ニュースリリースは、AAAS(米国科学振興協会)が運営する国際学術ニュースリリース配信プラットフォーム「EurekAlert!」でも、2026年5月7日午前9時(日本時間)に配信されました。EurekAlert!は、大学、学術出版社、研究機関などが査読済み論文や研究関連ニュースを国際的に発信するプラットフォームです。

論文情報

  • タイトル: Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations

  • 和題: 臨床組織科学:複雑組織における構造的介入のための統合的フレームワーク

  • 著者: Makoto Yamanaka, Masaya Nakamori (両名とも株式会社DroR所属)

  • 掲載誌: Frontiers in Psychology, Section: Organizational Psychology, Volume 17 (2026)

  • 論文種別: Conceptual Analysis(概念分析)

  • DOI: 10.3389/fpsyg.2026.1827324

  • 公開日: 2026年4月30日

  • 査読: 編集者および査読者による国際的な査読プロセスを経て採択

  • ライセンス: Creative Commons Attribution License (CC BY) ※オープンアクセス

  • 掲載URL: https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1827324

株式会社DroRについて

株式会社DroRは、複雑系科学と神経科学を基盤に、組織の「見えない相互作用構造」を観察し、設計する研究実践ファームです。臨床組織科学(COS)を理論的支柱とし、高度専門BPO(財務・HR・PM)、組織開発、ウェルビーイング、DX支援を統合的に提供しています。研究と実践を分離せず、現場から理論を生み、理論を現場へ返す循環を重視する「臨床的」スタンスを特徴としています。

  • 会社名: 株式会社DroR(ドロア)

  • 所在地: 〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-4-8 ウィンド恵比寿ビル8F

  • 代表: 代表取締役 山中真琴

  • 設立: 2023年8月

  • 資本金: 10,000,000円

  • 事業内容:

    • 組織ディープテック:複雑系科学×神経科学を基盤とした組織OSの設計・実装

    • 高度専門BPO:財務・HR・PMなど企業の核となる業務の伴走・代替

    • 組織開発/ウェルビーイング:MVV・文化醸成・1on1設計・コーチング

    • DX支援/補助金・認証支援:IT導入補助金、レジリエンス認証 他

  • 認証: 国土強靱化貢献団体認証(レジリエンス認証)、経済産業省 IT導入支援事業者

  • パートナー: 株式会社マネーフォワード

  • コーポレートサイト: https://dror.co.jp

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