仮想犬が介護施設に笑顔を届ける、国内初のMRアニマルセラピー「いつでもワンちゃん」が介護テクノロジーに認定

国内初のMRアニマルセラピー「いつでもワンちゃん」が介護テクノロジーに認定

レメディ・アンド・カンパニー株式会社が提供するMR(複合現実)アニマルセラピー「いつでもワンちゃん」が、公益財団法人テクノエイド協会が運営する「福祉用具情報システム(TAIS)」において、「介護テクノロジー」(認知症生活支援・認知症ケア支援分野)に認定されました。2024年5月時点の調査において、日本国内でXR技術を活用したアニマルセラピーとして初めての認定となります。

この認定は、厚生労働省および経済産業省が定める「介護テクノロジー利用の重点分野」を判断基準として行われました。その結果、「いつでもワンちゃん」は、認知機能の低下が見られる高齢者の自立した日常生活や、一人ひとりに応じた個別ケアを支援する介護テクノロジーとして評価されています。

今回の認定により、「いつでもワンちゃん」は原則として、厚生労働省が主導する「介護テクノロジー導入支援事業」に基づく補助対象となる可能性があります。実際の補助金交付の可否および条件は各都道府県の判断に基づきますが、介護事業者にとっては導入時の費用負担軽減が期待され、現場の状況に応じたテクノロジー活用の選択肢を広げることにつながります。

VRゴーグルを装着し、仮想犬との触れ合いを楽しむ高齢者の様子

高齢者の「心のケア」を支える「いつでもワンちゃん」

「いつでもワンちゃん」は、高齢者の「心のケア」が社会課題として指摘される中で、福祉・介護現場における「人とのつながり」や「感情への働きかけ」を、日々の暮らしの中でより自由に、より身近に感じていただきたいという想いから生まれました。利用者が前向きな気持ちや安心感を得られる体験にこだわり、現場の声と向き合いながら開発が進められてきました。

開発の背景とこだわり

シニア世代のデジタル活用が急速に広がる中、介護現場でも最新テクノロジーを活用した体験が求められる時代が訪れると考えられています。また、業務効率化や負担軽減を目的としたテクノロジー開発が進む一方で、高齢者の感情や体験に主軸を置いた取り組みには、まだ開拓の余地があると感じられていました。

特に、「癒し」や「つながり」といった数値化しづらい価値は、高齢者の心の安定に不可欠です。しかし、人手不足や運営上の制約から、介護現場でこれを継続的に提供することは難しい場面も少なくありません。

そこで着目されたのが「アニマルセラピー」です。実動物を介在させるケアは、アレルギーや衛生管理、人手不足といった課題から多くの現場で難しいのが現状でした。こうした現場の制約と、デジタル活用が広がるシニア世代の未来を見据え、アニマルセラピーが持つ「癒し」や「つながり」を、テクノロジーを使っていつでもどこでも届けたいという想いから、VRゴーグルで体験する「いつでもワンちゃん」が開発されました。

開発には、以下の3つのこだわりが込められています。

  • なぜ「犬」なのか
    アニマルセラピーの中でも特に親しまれている犬は、多くの方にとって身近な存在であり、個々の記憶や実体験と結びつきやすいと考えられています。犬という共通の話題がきっかけとなり、入居者同士やスタッフとの自然な対話が生まれ、発話量が増加するなど、介護現場に前向きな変化をもたらすことを目指しています。

  • なぜ「VRゴーグル」なのか
    MR(複合現実)技術による実在感をよりリアルに届けるとともに、最新テクノロジーに触れる「きっかけ」を提供したいという考えからです。直感的に楽しめる操作性を重視することで、利用者が「自分にもできた」という成功体験を得やすく、他のデジタル製品への心理的なハードルを下げることにつながります。

  • なぜ「お世話」なのか
    単に映像を眺めるだけでなく、エサやりやボール投げといった「お世話」の要素を取り入れることで、利用者がケアを「受ける側」から役割を担う側へと視点を切り替えることを促します。これにより、心の動きが自然に活性化し、その人らしい生き生きとした表情が引き出されやすくなると考えられています。

これらの要素を組み合わせることで、単なるレクリエーションに留まらず、一人ひとりの「自分らしさ」が自然に引き出されるような体験が提供されています。

「いつでもワンちゃん」の特長と導入効果

「いつでもワンちゃん」は、誰でも安全に、簡単に楽しめるMRアニマルセラピーです。

  • VRゴーグルによる体験
    バーチャル犬が、利用者の声やハンドサイン、ボタン操作に反応します。「おすわり」「ふせ」「おて」といった呼びかけに応じるなど、自然なやり取りが可能です。

  • 幅広い方に安心して利用いただけるシンプルな設計
    年齢や身体状況、アレルギーの有無に関わらず利用できます。

  • レクリエーション性
    「エサやり」や「ボール遊び」などを通して、自然と手を伸ばしたり動かしたりする姿が見られるケースもあります。

  • 安全性への配慮
    MR(複合現実)技術を活用することで、VRゴーグルを通してバーチャル犬と現実の周囲環境の両方を見ることができます。これにより、体験中も周囲の人や家具などを視認でき、転倒や接触のリスク軽減を目指す設計になっています。

「いつでもワンちゃん」の仮想犬とインタラクションする様子

導入実績と現場の声

「いつでもワンちゃん」は、福祉・介護現場の日常に前向きな変化をもたらす新しいアプローチとして、全国約110か所の福祉・介護施設、医療機関、大学などで活用が進んでいます。

現場では、利用者とスタッフが約3か月をかけてVRゴーグルに慣れるための取り組みを重ねる中で、無理なく使いこなせるようになっています。その結果、従来のレクリエーションと比べて進行にかかる人員が抑えられ、省人化につながるという副次的なメリットも生まれています。

利用者や職員からは、以下のような声が寄せられています。

  • 「昔飼っていた犬に会えたようで涙が出ました」(利用者)

  • 「普段は手を動かさない方が、犬に向かって一生懸命手をのばしていました」(職員)

  • 「今まで見たことがない利用者の笑顔を見られたので導入を決めました」(施設経営者)

また、軽度から中程度の認知症の方でも利用できたという声や、仮想犬との触れ合いを通して、過去のペットや家族との記憶が自然と想起される場面が見られ、認知症の非薬物療法の一つとして知られる回想法の一助となるのではないかという期待の声も寄せられています。

介護施設で「いつでもワンちゃん」を体験する高齢者たち

レメディ・アンド・カンパニー株式会社について

レメディ・アンド・カンパニーは、「テクノロジーで世界から不便や悲しみを減らし、笑顔を増やす」ことを使命に、医療の最前線で実績を積み重ねてきました。まだ解決されていない社会課題にテクノロジーで挑み、暮らしの中に笑顔や安心、幸せを増やすことを目指しています。

約20年にわたる製薬企業の医薬品開発支援の経験と知見を基盤に、2022年にデジタル事業を立ち上げました。医療・福祉の現場が抱える課題をテクノロジーで解決することを目指し、その第一歩として開発されたのが「いつでもワンちゃん」です。

「いつでもワンちゃん」を通じて、利用者に幸せを届けるとともに、スタッフにやりがいをもたらすきっかけを作り、最終的には介護の質そのものを高めていくことに貢献したいと願っています。

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