中央アジアの華麗なる手仕事に触れる展覧会「中央アジアの手仕事 ―華麗なる刺繍とジュエリー広島県立美術館コレクションより―」開催

シルクロードが育んだ多様な文化

アジアからヨーロッパを結ぶシルクロードは、2000年以上の歴史を持ち、物産の交易路としてだけでなく、人々の文化や宗教が出会う文明の道でもありました。この広大な地域を舞台に、ウズベキスタンやトルクメニスタンといった国々を中心に居住するウズベク人やトルクメン人など、多様な民族が独自の工芸美術を生み出してきました。8世紀に浸透したイスラム教の影響を受けた抽象文様は、テキスタイルから木工芸、金属工芸、陶器に至るまで受け継がれ、機械では再現が難しいほど精緻で華やかな手工芸品が作り出されました。

華やかな刺繍布「スザニ」の世界

ウズベク人やタジク人の女性たちによって制作される大型の刺繍布「スザニ」は、個性的でミステリアスな文様と豊かな色彩が特徴です。礼拝用の布を「ジャイナマズ」、赤い円文文様を「オイ・パラック」と呼ぶなど、用途や文様によって呼び方が異なります。かつては婚礼の際に持参する習わしがあり、女子は幼い頃からスザニの準備をしました。現代では、バザールでの購入やミシン刺繍の注文など、簡略化が進んでいます。

スザニ全体

スザニとは、ペルシア語で「針」を意味する「スザン」から派生した言葉で、刺繍または刺繍されたものを指します。家の壁掛けやこたつカバーとしても用いられ、生活に欠かせない布と言えるでしょう。

スザニは大きいもので縦横2mを超えるものもあります。そのため、大判の布に直接刺繍するのではなく、刺繍を施した細幅の布を複数縫い合わせることで一枚に仕上げられます。まず、一族の代表者が木綿布や絹布にインクで下絵を描き、内側に色名を記します。そして、女性たちが分担して主に絹糸で刺繍を施しました。縫い手が異なるがゆえに、糸の色や刺繍の刺し方が違うなど、下絵どおりではない刺繍も見られます。

スザニ部分

神秘的なトルクメンジュエリー

遊牧民が多いトルクメンの人々にとって、ジュエリー(装身具)は単なる装飾品ではなく、お守りであり、財産でした。さらに、部族や立場を示す印としての役割も担っていました。素材には、イスラム文化圏で清浄の象徴とされる銀が使われています。カーネリアン(紅玉髄)の赤色は、怪我や出血から身を守ると信じられ、頭飾り、首飾り、胸飾り、背飾り、腕飾り、指輪など、様々なジュエリーに用いられました。これらのジュエリーは、厳しい環境を生き抜くための知恵と祈りが込められたものでした。

精巧な細工が施された伝統的な頭飾り

赤い石がはめ込まれたペンダント

金属製の装飾的なベルトまたは飾り帯

赤い宝石が多数埋め込まれた精巧な金属製の装飾品

革製ストラップと銀色の金属製持ち手が付いた装飾的な鞭または杖

金と銀でできた豪華な装飾品

色鮮やかな刺繍が施された一対の古い靴

第2章では、多種多様なジュエリーと緻密な刺繍が印象的な民族衣装が紹介され、その神秘的な美しさを堪能できることでしょう。

中央アジアを彩る「用の美」

「来るものを拒まず」という中央アジアの伝統は、シルクロードの交易地として他民族の文化を受容し、異国の人々をも虜にする多彩な工芸品を生み出してきました。第3章では、中央アジアの人々によって育まれた「用の美」の華やかな手わざに注目してください。

鮮やかなピンクと黄色の円形模様、紫のドットが特徴的な伝統的なローブ

中央に花柄の彫刻が施された銀色の円形装飾品

※第3章は来館者による写真撮影が可能です。

開催概要

  • 会期:2026年4月11日(土)~ 6月14日(日)

  • 開館時間:午前10時~午後6時(毎週金曜日は午後8時まで)
    ※入館は閉館時間の30分前まで

  • 休館日:月曜日(5月4日は開館)、4月30日(木)、5月7日(木)

  • 会場:渋谷区立松濤美術館
    〒150-0046 東京都渋谷区松濤2-14-14
    電話:03-3465-9421
    HP:https://shoto-museum.jp

  • 交通案内

    • 京王井の頭線 神泉駅下車徒歩5分

    • JR・東京メトロ・東急電鉄 渋谷駅下車徒歩15分
      ※駐車場はありません。

  • 入館料

    • 一般1,000円(800円)

    • 大学生800円(640円)

    • 高校生・60歳以上500円(400円)

    • 小中学生100円(80円)
      ※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料。
      ※土・日曜日、祝休日は小中学生無料。
      ※毎週金曜日は渋谷区民無料。
      ※障がい者及び付添の方1名は無料。

  • 主催:渋谷区立松濤美術館

  • 特別協力:広島県立美術館

  • 企画協力:キュレイターズ

※展覧会の会期・開館時間・イベント等が変更・中止となる場合がございます。最新情報は美術館HPまたはSNS等でご確認ください。

関連イベント

会期中、中央アジアの文化をより深く知るための様々なイベントが開催されます。

  1. 食文化セミナー 「中央アジアの食卓から~料理が語る文化と歴史」

    • 日時:5月17日(日)午後2時-(約1時間30分) 地下2階ホール

    • 講師:山田有佐子氏(おいしい中央アジア協会代表理事)

    • 内容:シルクロードの食文化のお話や、家で作れるレシピを紹介します。中央アジアのお茶の試飲付き。

    • 参加費:無料(要入館料)

    • 定員:70名(要事前申込、応募者多数の場合は抽選)

  2. 記念講演会 「シルクロードの手仕事~ウズベクとトルクメンの染織とジュエリーを中心に」

    • 日時:5月23日(土)午後2時-(約1時間30分) 地下2階ホール

    • 講師:福田浩子氏(広島県立美術館学芸課長)

    • 参加費:無料(要入館料)

    • 定員:70名(要事前申込、応募者多数の場合は抽選)

  3. コンサート 「中央アジアを紡ぐ旋律~シルクロードの伝統楽器ドゥタール」

    • 日時:6月7日(日)午後2時-(約1時間) 地下2階ホール

    • 出演:駒﨑万集氏(ドゥタール奏者)

    • 参加費:無料(要入館料)

    • 定員:70名(要事前申込、応募者多数の場合は抽選)

  4. 学芸員によるギャラリートーク

    • 日時:4月26日(日)、5月9日(土)、15日(金) 各日午後2時-(約40分)

    • 参加費:無料(要入館料)

    • 事前申込不要

  5. 館内建築ツアー

    • 日時:4月17日(金)、24日(金)、5月1日(金)、8日(金)、15日(金)、22日(金)、29日(金)、6月5日(金)、12日(金) 各日午後6時-(約40分)

    • 内容:白井晟一設計の美術館建築を職員が案内します。

    • 参加費:無料(要入館料)

    • 定員:各回約20名

    • 事前申込不要

イベント申込方法(1~3のイベント)

往復はがきまたは美術館ホームページ上の申込フォームにて承ります。1通につき1名のみ申込みが可能です。応募者多数の場合は抽選となります。

  • 往復はがき
    〒・住所・氏名(ふりがな)・日中連絡のつく電話番号、参加希望のイベントをご記入の上、「中央アジア展イベント係」までお送りください。

  • 申込フォーム
    美術館ホームページ上のイベントフォームからお申込みください。
    ※迷惑メール等の受信制限をされている方は、事前に美術館からのメール「@shoto-museum.jp」が受信できるようにドメイン設定をお願いいたします。

  • 締切(すべて必着)

    • 食文化セミナー:4月27日(月)

    • 記念講演会:4月27日(月)

    • コンサート:5月11日(月)

関連リンク