姫路・野里の歴史と未来が交差する一日:「町家の日 in 姫路」連動企画、古民家オーベルジュ改修現場の特別公開が大盛況

歴史ある町家が未来の観光拠点へ

特別公開されたのは、姫路市威徳寺町および伊伝居に位置する、江戸期から続く築100年以上の町家3棟です。かつては紙屋、米屋、そろばん塾、結納品店として地域の人々に親しまれてきたこれらの建物が、ラグジュアリーな滞在型観光拠点へと生まれ変わる「今しか見られないプロセス」が披露されました。

改修現場で説明を聞く来場者

来場者の関心を特に集めたのは、最新のAR(拡張現実)技術を活用した完成イメージのバーチャル体験です。スマートフォンを専用パネルにかざすと、夏以降にオープン予定のオーベルジュの完成イメージが画面に現れ、漆喰の壁やむき出しの骨組みが残る現在の空間と、洗練された未来のデザインを見比べながら、特別な疑似体験を楽しんでいました。会場では、完成後のコンセプトやデザインを詳細に記したパネル展示も併せて行われました。

AR体験とコンセプト展示の様子

ひめじ歴史と食文化ツーリズム推進協議会は、単に建物を新しくするのではなく、「人々の営みの記憶」を未来へ継承し、古民家を残すこと自体が“滞在の価値”となるオーベルジュを目指しています。姫路観光の長年の課題である「日帰り観光」から「滞在して楽しむ観光」への転換を図るため、播磨地域の酒蔵や農家、伝統工芸と深く連携し、「地産地消」を「ラグジュアリーツーリズム」へと昇華させるビジョンを来場者と共有しました。来場者からは、野里の新たなランドマーク誕生に対する期待の声が多数寄せられています。

理事のコメントと今後の展望

ひめじ歴史と食文化ツーリズム推進協議会の理事である有川勝紀氏は、次のようにコメントしています。「姫路の歴史が刻まれた古民家に、豊かな食と職人の技を掛け合わせ、新たな命を吹き込みます。私たちが目指すのは、文化的な価値を『忘れられない体験』として提供し、それが地域をしっかりと潤す持続可能なサイクルを作ることです。地域活性化の新しいモデルとして、そして姫路の誇りを次世代へ継承する舞台として、ここ野里から力強く発信してまいります。」

「古民家オーベルジュ」プロジェクトでは、料理長(シェフ・ド・キュイジーヌ)に、フランスの三つ星レストラン等で研鑽を積み、数々のコンクールで受賞歴を持つ米田武史氏が就任します。「料理を味わうために泊まる」という新しい旅のスタイルを提案し、翌朝には地元食材を生かした和朝食で野里の時間を五感で味わう体験が提供される予定です。

今後は、公式サイト公開(および正式名称の解禁)を経て、2026年夏以降にフレンチレストラン部門を先行オープン、同年秋以降に客室棟を含むグランドオープンが予定されています。古民家を丁寧に改修しているため、進行状況によりオープン時期が前後する可能性もあります。姫路・野里から世界へ、歴史と食文化を発信する本プロジェクトの今後の展開に注目が集まります。

古民家オーベルジュ 完成予想パース

完成後は、江戸期の趣を残しつつ新たな息吹が吹き込まれる予定です。

古民家オーベルジュの外観イメージ

和風モダンの建物外観

レストランのカウンター席

モダンな室内空間

「町家の日 in 姫路」と地域との繋がり

「町家の日」は、日本の伝統的建造物である町家の魅力を発信し、その保全と継承を目指して全国一斉に展開されている取り組みです。「町家の日 in 姫路」では、市内の各エリアで町家を活かした特別公開やイベントが連動して開催され、地域内外の人々が歴史的景観の価値を再発見する貴重な機会となっています。

特に城下町の風情を色濃く残す「野里エリア」において、このイベントを牽引する中心人物の一人が、ひめじ歴史と食文化ツーリズム推進協議会の理事を務める塩本由紀子氏です。塩本理事は、野里で江戸時代後期に建築された町家を夫婦で再生し、地域の憩いの場として親しまれる古民家カフェ「小倉屋」を運営しています。さらに、町家の保全や伝統技術の継承に取り組む団体「姫路・町家再生塾」へ参加するなど、長年にわたり野里の歴史的景観の保全と地域コミュニティの活性化に尽力してきました。

古民家カフェ「小倉屋」の様子

ひめじ歴史と食文化ツーリズム推進協議会は、こうした地域に深く根ざしたメンバーが中枢を担っています。協議会は単なる観光開発ではなく、「町家の日」の理念に深く共鳴し、地域の方々とともに野里の歴史的景観を守り、次世代へと継承していく、その確固たる想いが今回の「古民家オーベルジュ」プロジェクトの根底に流れています。

ひめじ歴史と食文化ツーリズム推進協議会について

姫路をはじめとする多くの地方都市では、農業などの「一次産業の衰退」や「後継者不足」が深刻な地域課題となっています。地域を根底で支えてきた豊かな食文化や、それに紐づく景観が失われつつある中、ひめじ歴史と食文化ツーリズム推進協議会は、これら一次産業の復興を起点とし、姫路に息づく「歴史・町家・古民家」といった資源と掛け合わせて新たな価値を創出することを目的に、2025年に設立された地域横断型の推進組織です。

姫路市は世界遺産・姫路城を擁する一方で、「日帰り観光」が主流となっている観光面の課題も抱えていました。協議会は、地域の生産物を地域で消費する従来の「地産地消」の概念をさらに発展させ、一次産業が生み出す食文化を、宿泊を伴う「ラグジュアリーツーリズム」と掛け合わせることで、この複合的な課題に挑んでいます。

単なる農業振興や消費者ニーズを満たすだけでなく、町に根付く歴史や食文化を貴重な観光資源へと昇華させ、県外や海外から訪れる旅行者へ「ここでしか味わえない唯一無二の体験」を提供することを目指しています。

少子高齢化が進む中、姫路が中核都市として流入人口を増やし、経済を持続的に発展させるためには、こうした新たな価値の創造が不可欠です。地域に住む人々、地元企業、学生たちが連携して活動を「見える化」し、町の未来を創るリーダーの育成と、次代に残すべき歴史・食文化の保護・継承を目指し、以下の3本柱で“滞在型観光”を推進しています。

主な活動の3本柱

  • 農と食の連携による地域振興(食文化体験)
    休耕地や耕作放棄地の開拓を通じた農業振興をはじめ、播磨の酒蔵、農家、器や和菓子の工房等と協働。地域の生産や技に触れる農業体験や、飲食を通じた質の高い「食文化体験プログラム」を開発・提供します。

  • 古民家や町家の保存活用(歴史体験)
    歴史的建造物を修復し、現代的な観光や食の舞台として再生させることで、文化財を守りながら新しい価値を生み出します。古民家宿泊による歴史体験を推進し、現在進行中の「古民家オーベルジュ」プロジェクトはその象徴的拠点となります。

  • 新たな観光需要の創出(観光ツアーの企画・運営)
    「世界遺産・姫路城 × 食文化 × 古民家体験」という独自の組み合わせを軸に、地元の魅力を深く体験できる観光ツアーを企画・運営し、国内外からの誘客を図ります。

今後も行政や観光事業者らと強固に連携し、姫路の魅力を未来へ継承する使命を果たしていくとのことです。

事務局および事業主体はジーピーエム株式会社です。
ジーピーエム株式会社