仮想色素内視鏡技術が目指すもの
本研究開発は、これまで大腸がんなどの精密診断に不可欠とされてきた染色内視鏡検査を、色素を用いることなくデジタル技術で再現するという世界初の試みです。従来の染色内視鏡検査では、病変を詳細に観察するためにインジゴカルミンやクリスタルバイオレットなどの色素を散布・染色していましたが、この方法には時間や手技的な負担、安全性、標準化といった課題がありました。
今回採択された研究では、人工知能(AI)を活用し、通常の内視鏡画像から染色画像を生成する「仮想色素内視鏡」技術の開発を進めます。これにより、色素を使用せずに高精度な観察が可能となり、より安全で効率的な診断体系の確立に貢献することが期待されています。
研究開発のポイントと期待される効果
この技術開発により、以下の点が実現されることが期待されます。
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色素を使用せずにAIで染色内視鏡画像を再現する技術の世界初の実用化を目指す。
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内視鏡検査がより安全かつ簡便になり、患者さんの負担が軽減される。
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内視鏡診断のデジタル化と標準化が推進され、大腸がんの早期発見および診断精度の向上に貢献する。
研究開発代表者である岡山大学学術研究院医療開発領域の衣笠 秀明助教は、「色素散布・染色は内視鏡診断に不可欠というこれまでの常識に挑戦する取り組みです。色素を使用せず従来の染色観察に匹敵する情報を得ることで、より安全で簡便な検査を実現し、医療現場の効率化と患者さんの負担軽減の両立に貢献したい」と語っています。

研究内容と社会的な意義
大腸がんは日本において罹患数の多いがんの一つであり、早期発見には内視鏡検査が重要です。しかし、現状の染色内視鏡検査には、染色操作に伴う時間や手技的負担、安全性や標準化の課題が指摘されています。
本研究では、人工知能の画像変換技術であるCycleGAN(※2)を用いることで、通常観察画像から染色内視鏡に相当する画像を生成する「仮想色素内視鏡」技術を開発します。これにより、色素を実際に散布することなく、同等の観察情報をデジタルで再現することが可能になります。

この技術が実用化されれば、以下のメリットが期待されます。
- 染色操作が不要となる。
- 検査時間の短縮が図れる。
- 医師の手技負担が軽減される。
- 患者さんの身体的負担が軽減される。
さらに、デジタル技術による診断の標準化が進むことで、地域や施設による診断格差の縮小にもつながると考えられます。
補足・用語説明
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染色内視鏡検査(※1): 内視鏡検査の際に、病変をより詳しく観察するために色素を散布して粘膜を染める検査方法。がんや前がん病変の診断精度を高めることができます。
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CycleGAN(※2): 人工知能(AI)によって「ある画像を、別の種類の画像に変換する」技術。異なる種類の画像同士の特徴を学習し、ペア画像がなくても見た目を変換できる画像生成AIの一つです。
今回の共同研究では、CycleGANを活用した仮想色素内視鏡技術を用い、色素散布による染色観察を実施せずに、内視鏡で撮影した画像をAIで解析して染色観察に近い画像を再現するデジタル技術を適用しています(特許番号:特許第7127227号、特許権者:株式会社両備システムズ)。
この技術は、内視鏡診断をアナログ操作中心の手技からデジタル主導の診断へと進化させる可能性を秘めています。将来的には医療機器として社会実装され、国内だけでなく世界規模でがん医療の質向上に貢献することが期待されます。医療資源が限られた地域においても、高度な診断を再現可能とする基盤技術となり、グローバルヘルスの観点からも大きな意義を持つでしょう。今後は、染色ができない臓器への応用も視野に入れて研究が進められます。
採択情報
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事業名: 令和8年度 革新的がん医療実用化研究事業
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研究開発課題: 新たながん診断情報が得られる先進的な医用イメージング技術の確立に関する研究
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研究開発課題名: 深層生成モデルによるVirtual Chromoendoscopyの臨床的代替性に関する研究開発
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研究開発代表者: 衣笠 秀明助教(岡山大学学術研究院医療開発領域(岡山大学病院 消化器内科))
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研究開発期間: 令和8年4月(予定)~令和10年度末
令和8年度 「革新的がん医療実用化研究事業」の採択課題に関する詳細は、以下のAMEDウェブサイトでご確認いただけます。
https://www.amed.go.jp/koubo/03005/02/C_00001.html
岡山大学について
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名称: 国立大学法人岡山大学
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所在地: 岡山県岡山市北区津島中1丁目1番1号(津島キャンパス)
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学長: 那須 保友
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創立: 1949年(旧制岡山医科大学などを母体に設立)
株式会社両備システムズについて
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社名: 株式会社両備システムズ
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本社所在地: 岡山県岡山市北区下石井二丁目10-12 杜の街グレースオフィススクエア4階
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代表者: 代表取締役社長 松田 敏之
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設立: 1969年12月
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資本金: 3億円
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事業内容: 公共、医療、社会保障分野および民間企業向け情報サービスの提供(システム構築、アウトソーシング事業)、ソフトウェア開発、データセンター事業、ネットワーク構築サービス、セキュリティ事業、ハードウェア販売および保守サービス、AI・IoTなど先端技術研究開発
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コーポレートサイト: https://www.ryobi.co.jp/
