SDV時代の企画・開発変革に向けたフレームワーク「D-TRAX」を開発

D-TRAXの概要

「D-TRAX」は、短期的な企画開発ループと中長期的な探索ループを分離・並走させ、価値仮説を検証しながら自動車の企画・設計開発を進めるためのアプローチです。従来のハードウェア中心で完成度を重視する開発文化を尊重しつつ、提供後も継続的に価値を更新していくSDV開発に対応する、企画開発の新たな手法を提示します。

背景

近年、自動車産業ではSDV化が加速しており、価値の主戦場が従来のハードウェアからソフトウェア、そして顧客体験へと移行し、提供後も継続的なアップデートが求められる時代へと変化しています。また、生成AIをはじめとするテクノロジーの進展により、企画・設計・検証のサイクルも高速化しており、市場や顧客価値の変化を捉えながら、企画・開発を継続的に更新していくことが求められています。

しかし、多くの企業では、安全・品質を重視し、仕様や計画を早期に固める開発文化や、企画・開発・投資判断が縦割りで進む組織構造、短期的な事業性を重視する評価観が根強く、顧客価値や体験を継続的かつ迅速に進化させるためのプロセスが十分に機能しない状況が見られます。このような課題に対し、「D-TRAX」は、価値仮説を小さく繰り返し検証できる「試し続けるための構造」と、組織全体で共有できる「価値・検証の共通言語」を実装することを目的として体系化されたものです。

D-TRAXにおける2つの時間軸

「D-TRAX」では、以下の2つの時間軸を意図的に切り分けて企画・開発プロセスに落とし込みます。

  • 短期ループ(1~3か月程度)
    成果の「成否」ではなく、次の判断を明確にするための学習資産(仮説・検証履歴)を積み上げます。心理的安全性を高め、早期の失敗と学習を組織として扱いやすい環境づくりを支援します。

  • 中長期ループ(半年~数年)
    人・社会・技術・サービスの変化を継続的に探索し、将来価値の“兆し”を捉え続ける活動です。日々の業務の中で後回しになりがちな探索活動を、継続的に維持する仕組みを構築します。

D-TRAXの特長

  • 価値定義を仮説として扱う
    更新を前提とした企画設計へと転換し、検証結果を次の意思決定材料として蓄積します。

  • 短期企画開発と中長期探索を分けて運用する
    短期的な成果を求める活動と、将来の価値の芽を育てる探索活動を同じ評価軸で混同せず、並行して進めます。

  • 仮説・検証の履歴を標準化して蓄積する
    成功や失敗だけでなく、何を仮説とし、何を検証し、何が明らかになったかを組織の知見として残します。

D-TRAX活用支援テーマ例

  • SDVサービス企画、IVI・UX領域における新たな価値検討

  • 企画開発ループの遂行支援、業務スキーム構築

  • 価値仮説の検証に向けたプロトタイピング支援

  • 企画開発知見の蓄積・活用に向けた仕組みづくり

今後の展開

電通総研は、「D-TRAX」をはじめとする独自のアプローチを通じて、企業が製品やサービスの提供後も価値を更新し続けられるものづくりの実現を支援していくとのことです。今後は、顧客企業との対話や検証を進めながら、SDV時代に求められる企画・開発体制への進化を後押ししていく予定です。

ご参考資料

電通総研について

電通総研は、「HUMANOLOGY for the future~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」という企業ビジョンのもと、「システムインテグレーション」「コンサルティング」「シンクタンク」という3つの機能の連携により、企業・官庁・自治体や生活者を含めた「社会」全体と真摯に向き合っています。課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出し、より良い社会への進化を支援・実装することを目指しています。

テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、これからも人とテクノロジーの力で未来を切り拓き、新しい価値を創出し続けることでしょう。