歴史を彩る名機が集結:第48回「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」開催

伝説の報道カメラ「ライカMP」

1950年代にルポルタージュ撮影用として製造された「ライカMP」は、その希少性から非常に人気の高いモデルです。今回は特に価値ある2点が出品されます。

ブラックペイントの「Leica MP black paint no. MP-33」

Leica MP-33

「M Professional」を意味する「ライカMP」は、製造台数が402台と少なく、中でもブラックペイントはわずか141台しか存在しない、非常にレアなアイテムです。アメリカの著名な報道写真家たちの要望に応えて開発され、高速フィルム巻き上げが可能な「ライカビット」と組み合わせたM型カメラとして誕生しました。

今回出品されるのはシリアルナンバー「MP-33」の個体で、1957年にスウェーデンの販売業者に納入されたものです。カメラ本体と同じブラックペイントの「Leicavit」と、真鍮製マウントのブラックペイント「Summicron 2/5cm」レンズ(シリアルナンバー「1474885」)がセットで出品されます。

初代パパラッチが所有した「Leica MP chrome no.MP-368 ‘Tazio Secchiaroli’」

Leica MP-368 'Tazio Secchiaroli'

製造台数わずか261台のクローム仕上げ「ライカMP」も、コレクター垂涎のアイテムです。中でも、イタリアの写真家タツィオ・セッキアローリが所有していたとされる「Leica MP chrome no.MP-368 ‘Tazio Secchiaroli’」は、そのユニークな来歴で特に注目されています。セッキアローリが1950年代後半にローマでセレブリティを追いかけて撮影した描写は、現代のフォトジャーナリズムに多大な影響を与えました。彼の取材スタイルは、フェデリコ・フェリーニ監督の映画『甘い生活』に登場するカメラマンの着想源となり、「パパラッチ」という言葉の語源にもなっています。

カメラブレ対策の先駆的存在「E. Leitz New York Leica Gun RIFLE」

Leica Gun RIFLE

歴史的に珍しいアクセサリーの中には、「E. Leitz New York Leica Gun RIFLE ‘Patent Pending’」があります。著名な野生生物写真家アッティリオ・ガッティから着想を得たこのライフル型のアクセサリーは、望遠レンズ使用時のカメラブレを軽減するために考案されました。スポーツイベントの撮影などで活躍し、製造台数は12~14台という説が最も現実的とされています。「Patent Pending(特許出願中)」と刻印された専用ファインダーが付属する点も特徴です。

映画時代の幕開けを告げた「シネマトグラフ・リュミエール」

Cinématographe Lumière

映画史に残る画期的な装置「Lumière Cinématographe outfit」も出品されます。シネマトグラフは、世界で初めて商業利用された実用的な映画装置です。手動でクランクを回して操作する非常に小型の装置で、1台で映像の撮影、現像、映写が可能でした。発明者であるオーギュストとルイのリュミエール兄弟によって特許も取得されています。

シネマトグラフが一般市民に対して初めて使用されたのは1895年12月28日、パリのグランカフェのサロンアンディアンでのことでした。この日、世界初の有料映画上映が行われ、これが商業映画の始まりとされています。軽量で洗練された機構を持つシネマトグラフ・リュミエールは、瞬く間に世界中に普及し、映画上映を新たな産業へと発展させました。

入札方法と今後のオークション情報

第48回「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」は、本年6月13日午前11時(中央ヨーロッパ夏時間)からドイツ・ウェッツラーのライツ・パーク内Leica Weltで開催されます。

入札は、会場でのリアルタイム参加のほか、以下の方法でも可能です。

また、メインオークションとは別に、オンライン限定のオークション「Leitz ON」が6月14日まで開催中です。「Leitz ON」では、1920年代から現在までの幅広いカメラ、アクセサリー、写真作品が出品されており、様々な予想落札価格帯のアイテムが見つかります。

ライツ・フォトグラフィカ・オークションの社長、アレクサンダー・セドラク氏は、「毎年膨大な数のアイテムが持ち込まれる中で、メインオークションに出品しきれないアイテムのために『Leitz ON』を立ち上げた」と語っています。

今秋には、2つのオークションが予定されています。10月9日には写真作品のオークション「Perspectives」がライカギャラリーウィーンで、そして11月28日には第49回「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」が開催される予定です。

ライカカメラ・クラシックス社について

ライカカメラ・クラシックス社は、ライカカメラ社の子会社で、ヴィンテージカメラを専門としています。ウィーンにあるストアでは約1,500点のアイテムが展示されており、歴史的価値のあるライカカメラの補修部品も世界最大規模で保有しています。常駐の技術者が、コレクターズアイテムの点検や修理を行い、オークション出品前の準備も手掛けています。

同社は毎年6月中旬と11月末に「Leitz Photographica Auction」を2回開催しており、これは貴重な年代物のカメラを扱うオークションとして世界有数で、100カ国以上から入札者が参加する国際的なイベントです。また、オンラインストアでは約5,000点のヴィンテージカメラ関連製品が常時取り扱われています。

ライカカメラ社について

ドイツに本社を置くライカカメラ社は、カメラ、レンズ、スポーツオプティクスを製造・販売するグローバルなプレミアムメーカーです。近年は、モバイルイメージング(スマートフォン)分野への進出や、高品質な眼鏡用レンズ、腕時計の製造、自社製プロジェクターによるホームシネマ市場への参入など、事業領域を拡大しています。

本社はドイツ・ウェッツラー、第2工場はポルトガルのヴィラ・ノヴァ・デ・ファマリカンにあり、世界各地に独自の販売会社と120を超えるライカストアを展開し、グローバルな販売ネットワークを構築しています。ライカは「最高水準の品質」「ドイツならではのクラフツマンシップ」「インダストリアルデザイン」を革新技術と融合させた製品を提供することで知られています。

写真文化の振興にも力を入れており、世界各地に約30のライカギャラリーを設置し、ライカアカデミーの開催、「ライカ・ホール・オブ・フェイム・アワード」や「ライカ・オスカー・バルナックアワード」といった国際的アワードを主催しています。