落語家・三遊亭ごはんつぶ氏のAIアバター「AIごはんつぶ」がステージデビュー、伝統芸能と生成AIの融合が新たなエンタメを創出

落語家・三遊亭ごはんつぶ氏のAIアバター「AIごはんつぶ」がステージデビュー、伝統芸能と生成AIの融合が新たなエンタメを創出

2026年5月12日、東京・大井町のきゅりあん小ホールにて開催された「公推協杯 全国若手落語家選手権 前夜祭」において、落語家・三遊亭ごはんつぶ氏のAIアバター「AIごはんつぶ」がステージデビューを果たしました。シンシアリー株式会社が制作・運用を手がけたこのAIアバターは、イベント内の特別コーナーで司会者や共演者とのライブ対話や大喜利を披露し、伝統芸能と生成AIが織りなす新しいエンターテインメントの可能性を示しました。

未知との遭遇

イベントの概要

この前夜祭は、一般社団法人日本芸術文化協会が主催し、公益財団法人公益推進協会の助成を受けて開催されました。ユニオン映画株式会社がイベント制作を担当し、きゅりあん小ホールを会場に、第1回チャンピオンの三遊亭わん丈氏、第3回チャンピオンの三遊亭ごはんつぶ氏が出演。ゲストには三遊亭萬橘氏、柳亭小痴楽氏が名を連ね、西川あやの氏が司会を務めました。

当日の盛り上がり

開演後、各出演者による落語が披露された後、特別コーナー「AIごはんつぶ」が始まりました。司会の西川あやの氏が舞台上のスクリーンに映し出された「AIごはんつぶ」に語りかけると、AIはエンタメに関する話題に対して踏み込んだコメントを返し、会場を沸かせました。

イベントの様子

直後、本物の三遊亭ごはんつぶ氏がステージに登場。「あやのさん、誰と話してるんですか。本物のごはんつぶは私です」とAIにユーモラスなツッコミを入れ、客席は大きな笑いに包まれました。その後、三遊亭萬橘氏、三遊亭わん丈氏、柳亭小痴楽氏も加わり、人間の演者とAIアバターが入り乱れる15分間のトーク・大喜利セッションが展開されました。AIならではの間合いやズレを、本物の三遊亭ごはんつぶ氏や先輩落語家たちが巧みに受け止め、会場は終始活気に満ちていました。

「AIごはんつぶ」は、三遊亭ごはんつぶ氏本人の外見、声、話し方をデジタルヒューマン技術で忠実に再現しており、ステージ上でのやり取りにリアルタイムで応答しました。この取り組みは、技術的な新しさだけでなく、落語というライブエンターテインメントと自然に融合する新しい表現の可能性を示す貴重な機会となりました。

三遊亭ごはんつぶ氏のコメント

三遊亭ごはんつぶ氏は、「自分のAIアバターがステージに登場して、自分そっくりの顔と声で勝手なことを喋り出すというのは、正直に申し上げて、なかなか経験できない不思議な体験でした」と述べました。また、「共演者の皆さんやお客様と一緒に『AIごはんつぶ』をいじって笑っているうちに、AIもまた一つの“共演者”になり得るのだなと感じております」と、AIとの共演に対する前向きな感想を語りました。

シンシアリー株式会社の取り組み

シンシアリー株式会社は、「AI Work Transformation Company」をビジョンに掲げ、AIエージェントやAIバーチャルヒューマンを「新しいワークフォース」として社会に送り出すことを目指しています。今回の「AIごはんつぶ」プロジェクトは、その取り組みを業務領域からさらに広げ、落語という人間的なライブエンターテインメントの現場で具現化する挑戦でした。

同社の代表取締役である國本 知里氏は、「客席の空気を読みながら間合いを取る落語の世界に、『AIならではのズレ』をどう自然に持ち込むか、ごはんつぶさんや共演者の皆様、関係各位と何度も対話を重ねて設計を磨き込みました。本日のステージで会場のお客様から温かい笑いをいただけたことを、当社一同とても光栄に感じております」とコメントしています。

技術的背景

「AIごはんつぶ」は、デジタルヒューマン技術と生成AIを組み合わせ、シンシアリー株式会社が独自にキャラクター設計、システムプロンプト設計、応答制御を細部まで作り込みました。三遊亭ごはんつぶ氏本人の写真と収録音声をもとにアバターが生成され、落語家としての口調、知識、トークの「踏み込み度」を再現することを目指しました。

技術的な工夫としては、以下のような点が挙げられます。

  • 人物の一人称、口癖、関係者への呼称ルールをシステムプロンプト上で詳細に定義

  • トークや大喜利など、シーンに応じて応答の長さとトーンを切り替える制御

  • 想定されるNGトピックを明示することによるリスク低減

  • 本人および権利関係者との合意に基づく権利処理

今後の展望

シンシアリー株式会社は、本プロジェクトで得られた知見を活かし、今後の展開を検討しています。

  • エンターテインメント・タレント領域における「ご本人公認AIアバター」の制作

  • イベント・ライブ演出における対話型AIアバターの活用

  • AIバーチャルヒューマンを「新しいワークフォース」として社会に実装するための、業界横断のユースケース開拓

「人の表現を拡張するAI」というテーマのもと、今後も伝統芸能やエンターテインメント業界と協力し、新しい体験価値の創出に取り組んでいくとのことです。

公推協杯 全国若手落語家選手権について

公推協杯 全国若手落語家選手権は、公益財団法人公益推進協会の助成により開催される、若手落語家による全国規模の競演会です。次世代を担う落語家たちが芸を競い、業界の発展と新しい観客層の獲得を目指しています。

第4回大会の本選は、2026年5月22日に中野ZEROホールで開催されます。本選出場者は笑福亭茶光氏、柳家小ふね氏、三遊亭ぐんま氏の3名に、当日午後の敗者復活戦の勝者1名を加えた計4名でチャンピオンの座を競う予定です。

シンシアリー株式会社について

シンシアリー株式会社は、「AI Work Transformation Company」をビジョンに掲げる、生成AI活用支援に特化したAIコンサルティングファームです。「Dual AI Growth ─ AIと働く × AIが働く」という二軸のもと、Microsoft CopilotやGoogle Geminiなどの活用定着伴走による生産性向上支援、AIエージェント・AIバーチャルヒューマンの開発、生成AI人材育成プログラムなどを提供しています。

本プロジェクトでは、企画、キャラクター設計、技術開発、運用までを一貫して担当しました。