瀬戸内海の島で地域を支える「本屋さん」の物語:テレビ新広島がドキュメンタリーを放送

瀬戸内海の島で地域を支える「本屋さん」の物語

テレビ新広島は、夕方ニュース番組『TSSライク!』で放送されたシリーズ特集「岐路に立つ書店」を基に、第35回ドキュメンタリー大賞ノミネート作品として『本屋さん、やってます ~岐路に立つ 瀬戸内の島の三軒~』を制作し、2026年5月30日(土)午前10時25分より広島地区で放送します。

本屋さん、やってます ~岐路に立つ瀬戸内の島の三軒~

地域に根差す島の書店

全国的に書店の数がピーク時の半分にまで減少し、約3割の自治体では書店が1軒もない状況が続いています。しかし、瀬戸内海に浮かぶ尾道市因島では、同じ商店街に3軒の書店が軒を連ねています。

過疎化や少子高齢化の影響をいち早く受ける島において、毎日営業を続ける書店は、まさに地域の重要なインフラとしての役割を担っています。ある店ではコーヒーやケーキ、揚げたてのコロッケまで提供され、別の店では常連客の手押し車の音を聞き分け、通りに出て声をかける光景も見られます。これらの書店に共通するのは、本を単なる商品として売るだけでなく、「地域を守る使命」を大切にしている点です。

ベストセラー作家の湊かなえ氏も、自身が生まれ育ったこの因島の書店で本と触れ合った経験を語っています。「本を買うことを目的としていなくても足を運んでしまう環境そのものがよかった」と青春時代を振り返るように、島の書店は数字では測れない心の交流の場となっていました。

短髪のアジア人女性が豪華なアームチェアに座り、口を開けて満面の笑みを浮かべているポートレート。

日本の商店街にある店舗の正面を捉えた画像。

多くの本や雑誌が並ぶ昔ながらの書店で、数人の高齢者が談笑している様子です。

出版界が抱える構造的な問題と書店の未来

一方で、全国の書籍・雑誌の年間流通部数は、過去30年間で4分の1以下にまで減少しています。一冊あたりの利益が少なくても成り立ってきた「薄利多売」の仕組みや、出版社が本の定価を決め全国一律の価格が守られてきた「再販制度」も、物流コストの急上昇や読者離れが進む時代の変化とともに、その維持が困難になっています。島の日常から見えてくるのは、日本の出版界全体が抱える構造的な問題です。

理想の書店像を問われ言葉に詰まる店主たちの姿は、やりがいで支えられてきた書店のリアルな現実と、変えられない仕組みとの間で揺れ動く「岐路」を示しています。このドキュメンタリーは、地域を支える書店の姿を通して、心の豊かさを育むものとは何かを問いかけます。

ナレーションはさまぁ~ず三村マサカズ氏

本作のナレーションは、さまぁ~ずの三村マサカズ氏が担当しています。三村氏はナレーション初挑戦とのことですが、本好きであることから快く引き受けたといいます。

「出てきた本屋さんはすごく親しみがあって今なかなか都会にはないのでいいなと。おもしろい本に出会ったときは、全部読み終わったあとの余韻が楽しい。本は難しくないので、本離れをしている若者にも、ヒット作やベストセラーを一冊手に取ってもらいたいと思います」とコメントを寄せています。

ヘッドホンを装着し、マイクに向かって笑顔で話す男性がレコーディングスタジオで収録を行っている様子。