愛媛・宇和島に新たな移動の形を提案「Comove」実証実験開始
愛媛県宇和島市で地域イノベーション事業を展開する株式会社空庵は、2026年4月1日より、次世代モビリティコモンズ「Comove(コムーブ)」の実証実験を開始しました。この取り組みは、自動車やマウンテンバイクなどの移動手段を、個人所有ではなく地域で共有する「コモンズ」として再定義し、車がなくても豊かに暮らせる地域社会の実現を目指すものです。

本実証実験では、まず空庵の社員および関係者を対象に、軽乗用車10台を中心に、マウンテンバイク、折りたたみ小型自転車、電動三輪車を組み合わせた共同利用が始まっています。特徴的なのは、利用料の決済に法定通貨に換金できない独自通貨「パラレルコイン」を用いる点です。これにより、法定通貨を介さずに移動サービスを利用できる仕組みが検証されます。
実証実験の具体的な内容
実証実験は2026年4月1日から愛媛県宇和島市石応エリアを中心とした周辺地域で開始されました。導入されたモビリティは、軽乗用車10台、マウンテンバイク8台、折りたたみ小型自転車2台、電動三輪車1台です。
「パラレルコイン」は、法定通貨に換金できず、外部市場での売買や投資を目的としない、利用範囲を限定した独自通貨です。発行日から180日経過後にブロックチェーン上のスマートコントラクトに基づき自動的に消却(バーン)される仕組みとなっています。このコインはComoveおよび空庵が指定するサービスでのみ利用可能です。
主な検証項目としては、車両共同利用による生活コスト削減効果、移動手段の共有による利便性と満足度、パラレルコイン単独決済モデルの実用性、パラレルコインの運用検証、貢献行動に対するパラレルコイン付与の有効性、現金支出の抑制効果、閉じた経済圏におけるパラレルコインの循環性、そして利用者の受容性や継続利用意向などが挙げられています。
地方移住の課題「車の所有コスト」への挑戦
地方移住を考える際、自家用車の所有にかかる費用は大きなハードルとなることがあります。車両購入費、保険料、車検、燃料費、駐車場代、メンテナンス費用など、多くのコストが若者の可処分所得を圧迫する要因となりがちです。
空庵はこれまでも、空き家を活用した住居支援で家賃や光熱費、インターネット費用といった生活の基礎コストを抑える仕組みを提供してきました。今回のComoveは、その取り組みを「移動」の分野にまで広げるものです。住まい、通信、そして移動といった生活の基盤を個人負担から共有財産へと転換することで、若者が地方でも安心して新しい挑戦ができる環境を整えることを目指しています。
Comoveが提供する「移動のウェルビーイング」
Comoveは、移動を単なる手段ではなく、心身を整え、地域の自然を感じる豊かな体験へと変えることを提案しています。
1. マウンテンバイクで自然とつながる移動体験
宇和島市には、海、山、集落、坂道、林道といった多様な地形が広がっています。Comoveでは、あえて電動アシストではないマウンテンバイクを導入し、自らの身体で風を切り、坂道を登り、地形を感じながら移動する体験を重視しています。これは、地方ならではの身体的な豊かさであり、日常の中でのウェルビーイングにつながると考えられています。移動が「負担」から「楽しみ」へと変わるきっかけとなるでしょう。

2. 自動車とマウンテンバイクを自由に使い分けるシームレスな移動環境
Comoveでは、軽乗用車10台とマウンテンバイク8台を一つの共通サービスとして統合しています。これにより、目的地近くまでは車で移動し、そこからマウンテンバイクに乗り換えて海岸線や林道を探索するなど、目的や気分に応じて最適な移動手段を自由に選べる環境が提供されます。車を所有しなくても、不自由なく、さらに移動そのものを楽しめる地方生活の新しい価値を提案しています。

3. パラレルコインによる移動と貢献行動の循環
Comoveの移動サービスはすべて独自通貨「パラレルコイン」で決済されます。このパラレルコインは、移動中の送迎、車両の清掃やメンテナンス、地域の移動課題改善への貢献など、暮らしを支え合う行動を可視化し、評価する仕組みとして活用されます。これにより、地域で暮らす人々の貢献が正当に評価され、地域を支える力として循環する「パラレルコモンズ」経済圏の実現を目指しています。
今後の展望:世代を超えて「外出する喜び」を取り戻す
Comoveの取り組みは、社員の利便性向上だけに留まりません。空庵が掲げる「人生のフェーズフリー」の考え方に基づき、今後は地域住民、特に高齢者の外出支援へと展開していくことが目標とされています。
多世代向けモビリティの拡充
将来的には、介護車両、シニアカー、電動アシスト自転車など、多世代が利用しやすいモビリティの導入が検討されています。これにより、高齢者の通院や買い物、地域活動への参加といった生活の質に直結する重要な行動のハードルを下げ、地域の中で安心して移動できる環境づくりを目指します。
自動運転技術との連携による「移動の空白」の補完
過疎地域で深刻な人手不足が課題となる中、Comoveは仲間同士の助け合いや送迎を基本としつつ、カバーしきれない時間帯や状況を補完する手段として、自動運転技術やオンデマンド交通との連携も視野に入れています。人の善意とテクノロジーが融合することで、移動の不確実性を低減し、必要な時に移動手段を確保しやすい地域インフラの構築が期待されます。
若者の挑戦と高齢者の外出支援をつなぐ、新しい地域インフラへ
Comoveは、単なるカーシェアや移動支援にとどまらず、若者の活力が地域を支え、地域の課題が若者の挑戦機会となり、デジタル技術がその隙間を補完する循環を目指しています。世代を超えて「外へ出る喜び」を共有し合う、真のモビリティコモンズの確立に挑戦しています。
空庵は、宇和島を舞台に、若者が挑戦し、高齢者が外出を楽しみ、地域全体が新しい豊かさを実感できる地域モデルの構築を進めていく方針です。
株式会社空庵のウェブサイトはこちらです: https://ku-an.co.jp/contact/
