世界文化遺産としての富士山:信仰の対象と芸術の源泉
富士山は2013年6月、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。古くから人々は、その荒ぶる噴火を神の住む山として畏敬し、遠くから崇拝してきました。その畏れはやがて信仰を目的とした登拝へと繋がり、また、雄大で美しい姿は多くの芸術家たちにインスピレーションを与えてきました。この山と向き合う豊かな心の中にこそ、世界が認めた富士山の本質があるのです。
富士山の「心」を映し出す3つのとびら
全5話で構成されるショートムービーでは、富士山の息吹が宿る静岡県各地の情景と、聖なる嶺とともに歩んできた深い歴史が描かれています。このドラマをより深く味わうために、「3つのとびら」が用意されています。
第1のとびら:「鎮め、祈る心」を巡る
富士山はかつて、荒ぶる神として人々から畏れられていました。噴火を鎮めるための祈りは、やがて山に近づく「登拝」へと昇華していきます。静岡県富士山世界遺産センター(富士宮市)を起点に、富士山本宮浅間大社(富士宮市)や須山浅間神社(裾野市)、富士山東口本宮 冨士浅間神社(小山町)といった聖域を巡ることで、信仰の歴史という一筋の光が見えてきます。富士山が時代を超えて人々の精神を支えてきた「心の拠り所」であることが、静かに、そして深く伝わることでしょう。
第2のとびら:「美しさを慈しみ、仰ぐ心」に浸る
富士山は、遠くから見つめる人々のまなざしの中にも存在し続けてきました。三保松原(静岡市)から海越しにその雄姿を仰ぎ、竹採公園(富士市)では伝説に思いを馳せます。裾野市まで足を伸ばせば、揺れるススキの先にまた異なる表情を発見できるかもしれません。どの場所にも共通しているのは、人々が日常の中で慈しんできた温かなまなざしです。その思いは時に芸術へと姿を変え、葛飾北斎をはじめとする絵師たちが、圧倒的な美しさに突き動かされて筆を走らせる原動力となりました。かつて誰かが抱いた感動に、今の自分の心をそっと重ね合わせる。そんな時空を超えた対話が楽しめる扉です。
第3のとびら:「夢や挑戦を受け止める心」を知る
富士山は、人間の強い思いを受け止めてくれる、大きな「器」のような存在でもあります。明治時代、私財を投じて命がけで山頂に気象観測所を築いた野中到・千代子夫妻。そして、参拝者の願いを先導し、支え続けた「富士山御師(おし)」たち。富士山麓に息づく彼らの記憶に触れるとき、富士山がどれほど多くの人々の「夢」や「挑戦」を静かに見守ってきたかに気づかされます。この扉を開くことは、自分の中にある情熱を再発見することにも繋がることでしょう。
全5話のショートドラマでは、二人の旅人が静岡の地を巡り、富士山の奥深さに触れていく様子が描かれ、国内外の方々に登山だけではない「富士山の本当の顔」を伝えています。登るだけでは感じることのできない、富士山の「心」に出会う旅へ、ぜひこの動画から新しい富士山の魅力を紐解いてみませんか。

編集・ディレクター 芝谷 千恵子氏 プロフィール
2000年に株式会社リクルートに入社し、旅行・観光業界をはじめ多岐にわたるメディアの編集業務に従事。旅行情報誌『東海じゃらん』では8年間編集長を務め、観光トレンド分析や地域観光の魅力発掘・発信に尽力しました。退職後は『じゃらん』編集長経験メンバーと共に「またたびや」を共同で発足し、コンテンツ制作・編集、ブランディング・企画立案、講演・ワークショップなどの活動を行っています。
関連リンク
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YouTube:世界遺産 富士山とことんガイド
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Instagram:fujisan_gurutto



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