広島の社会実装と地域共創:MITテクノロジーレビュー特別編集『社会実装都市 ひろしま』出版記念イベントレポート

開催趣旨説明:叡啓大学ソーシャルデザインセンターが担う役割

イベントの冒頭では、叡啓大学ソーシャルデザインセンター(SDC)の取り組みと、本誌の企画意図が紹介されました。

叡啓大学は、広島県が社会課題の解決とイノベーション創出を目指して設立した公立大学です。その中でSDCは、産学官連携・研究推進の拠点として、大学の中立性、多様な専門知識、仮説検証型のアプローチを活かし、地域課題の解決に向けた共創を支えています。

広島は都市機能、製造業、農水産業、そして山・川・海・島といった多様な環境が共存しており、実証から社会実装までをスムーズに進めやすい地域であると説明がありました。社会や産業の前提が変化する現代において、地域の現場にある課題を見つけ、関係者をつなぎ、解決策を試すことの重要性が共有されました。

第1部:未来はなぜ広島から生まれるのか ― 次世代の変革者たちの挑戦 ―

第1部では、広島を拠点に社会課題の解決や新たな事業創出に取り組む実践者たちが登壇しました。

議論の中心となったのは、地域に残された資源や未解決の課題を、いかにして事業の起点へと転換するかという点です。具体的な事例として、元倉庫を再生したコミュニティ施設、酪農・食品事業の価値再定義、平和活動を継続可能な事業へと転換する取り組み、VRを活用した医療・製造業向け教育、自律航行技術による離島交通の課題解決などが紹介されました。

この第1部を通じて示されたのは、地域課題を単なる制約としてではなく、社会実装の出発点として向き合う姿勢です。広島には生活、産業、教育、平和、交通といった多様な現場があり、課題の近くで仮説を試し、事業として磨き込む土壌があることが共有されました。

登壇者は以下の通りです。

  • 株式会社DoTS 代表取締役社長 谷口 千春氏

  • 砂谷株式会社 取締役副社長 久保 宏輔氏

  • 特定非営利活動法人PEACE CULTURE VILLAGE 専務理事 住岡 健太氏

  • 株式会社ビーライズ 代表取締役CEO 波多間 俊之氏

  • 株式会社エイトノット 代表取締役CEO 木村 裕人氏

第2部:未来はなぜ広島で育つのか ― 共創が育む地域の力 ―

第2部では、行政、金融、スポーツ、製造業といった多様な視点から、地域で挑戦を育てるための環境づくりについて議論が交わされました。

広島県からは、都市的な課題と中山間地域の課題が近接し、ものづくり産業の集積もある広島が、多様な挑戦を生み出しやすい地域であるという見解が示されました。金融機関の立場からは、資金提供にとどまらず、企業の課題や成長戦略の早い段階から関わることの重要性が共有されました。

また、まちなかスタジアムを起点とした地域共創、複数事業を横断して技術や人材を活かす製造業の経営など、地域のさまざまな主体がそれぞれの強みを持ち寄ることで、新たな価値を育てる可能性が語られました。社会実装は一社・一組織だけで完結するものではなく、行政、企業、金融機関、大学、地域コミュニティがつながることで継続的に育つという視点が共有されました。

広島の未来をテーマにしたビジネスセミナーの様子

登壇者は以下の通りです。

  • 広島県知事 横田 美香氏

  • ひろぎんホールディングス 代表取締役会長 部谷 俊雄氏

  • 株式会社サンフレッチェ広島 代表取締役社長 久保 雅義氏

  • 株式会社モルテン 代表取締役社長 最高経営責任者 民秋 清史氏

書誌情報

MIT Technology Review[日本版]特別編集『ポスト都市時代の社会デザイン 社会実装都市 ひろしま』の書誌情報は以下の通りです。

MITテクノロジーレビュー日本版の特別編集号の表紙

このムックでは、広島を社会実装のフィールドとして捉え、地域で生まれる共創とイノベーションの可能性を紹介しています。広島で進む社会実装の現場や、それを支える大学・行政・企業・地域の取り組みが、MITテクノロジーレビュー[日本版]ならではの視点で紹介されています。

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『MIT Technology Review(MITテクノロジーレビュー)』は、1899年に米国マサチューセッツ工科大学によって創設されたテクノロジーメディアです。日本版は、米Technology Review Inc.とのライセンス契約のもと、株式会社角川アスキー総合研究所が2016年から運営しています。

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