AIで蘇る戦国武将と巡る!飛騨3市1村が連携した「飛騨全域・城めぐりマップ」が完成

自治体の枠を超えた学芸員たちの情熱

飛騨地域には、国史跡である江馬氏城館跡や姉小路氏城跡をはじめ、多数の城跡が存在します。これまで城郭に関するパンフレットは各自治体単位で制作されることが通例でしたが、城郭ファンや観光客からは「飛騨を一つの歴史圏として巡りたい」という要望が寄せられていました。このような声に応えるため、飛騨市教育委員会は令和6・7年度の「史跡姉小路氏城跡保存活用計画」策定を機に、自治体の垣根を越えた広域連携を実現し、本マップの制作に至りました。

マップに込められた3つの特徴

この「飛騨全域・城めぐりマップ」には、歴史愛好家や観光客の皆さまに飛騨の戦国時代を深く楽しんでいただくための、3つのこだわりが詰まっています。

1. 各自治体の学芸員が厳選した9城

飛騨全域に点在する数多くの城跡の中から、歴史的価値、アクセス性、そして魅力的なエピソードの3つの基準に基づいて、9つの城跡が厳選されました。大地震で姿を消した伝説の「帰雲城」や、美しい庭園が特徴の「江馬氏館」など、初心者から愛好家の方までご満足いただけるラインナップとなっています。

2. 学芸員監修!AIで再現された「リアルな武将たち」

肖像画が残されていない江馬輝盛や内ケ島氏理といった飛騨の戦国武将たちも、歴史的エピソードに基づいて最新のAI技術で視覚化されました。監修を担当した学芸員は、当時の空気感を追求するため、10回以上のリテイクを重ねてイラストを完成させたと伝えられています。その情熱が込められたイラストは、まるで戦国ゲームの世界から飛び出してきたかのような迫力があります。

AIで再現された武将のイラスト(侍)

AIで再現された武将のイラスト(甲冑)

3. 「歴史」と「観光」のハイブリッド構成

学芸員による専門的な解説に加え、観光課職員が監修した都市圏からのアクセス情報や主要観光地との位置関係も掲載されています。これにより、歴史資料としての価値だけでなく、実際の旅行計画にそのまま活用できる実用性を兼ね備えたマップとなっています。

飛騨の群雄たちとその居城

現在の飛騨地域(飛騨市・高山市・下呂市・白川村)は、古代から「飛騨国」として一つの国でした。戦国時代には、姉小路氏、三木氏、江馬氏、内ケ島氏といった戦国武将たちがそれぞれの領域を治める群雄割拠の時代でした。彼らが築いた城跡が飛騨地域には数多く残されており、近年の調査研究によって新たな発見があった城もあります。

飛騨の城めぐりMAP

飛騨の主要な武将と城跡

  • 姉小路氏(古川城・小島城)
    飛騨古川周辺を治めた一族で、京都の公家でありながら在地領主としても活動しました。宮廷歌人としても知られています。

  • 三木氏(松倉城・広瀬城・桜洞城・萩原諏訪城)
    南飛騨を本拠とし、戦国時代には高山・古川まで勢力を拡大しました。最終的には金森氏の侵攻により滅亡しました。

  • 江馬氏(江馬氏館・高原諏訪城)
    飛騨北部の高原郷を治めた一族です。発掘調査により、京都の将軍邸に通じる格式を備えた武家屋敷と庭園を持っていたことが明らかになっています。

  • 内ケ島氏(帰雲城)
    白川郷周辺を拠点とした武士で、室町幕府と結びつき活動しました。天正13年(1585年)の「天正地震」により、居城である帰雲城とともに歴史の舞台から姿を消した「幻の城」として知られています。

  • 金森氏(高山城)
    織田信長、豊臣秀吉に仕えた金森長近が、羽柴秀吉の命により飛騨に侵攻。金森氏の統治を契機に飛騨国は近世を迎え、高山藩として6代にわたり続きました。

飛騨の城めぐりMAPの詳細

「飛騨の城めぐりMap」の入手方法

マップは、飛騨市内の観光案内所、文化施設、および関係自治体の主要施設で配布されています。また、以下の公式サイトにてPDF版が公開されており、手軽にご覧いただけます。

担当者からのメッセージ

マップを掲げる担当者

プロジェクト担当者からは、「お城ファンの方々の『飛騨を一つの地域として巡りたい』という熱い声が、私たち学芸員を動かし、自治体の枠を超えた史上初の広域マップが完成しました」とのメッセージが寄せられています。さらに、「単なるガイドではなく、最新AIを駆使して当時の息吹を再現した武将イラストなど、各自治体の担当者が細部までこだわり抜いた力作です。広域で捉えることで初めて見えてくる飛騨の戦国史を、ぜひ現地で体感してください」と語られており、今後のツアーやスタンプラリーなど、飛騨が一体となった「次の一手」にも期待が寄せられています。

飛騨市が目指す「山城」を地域の誇りへ

飛騨市では、姉小路氏や江馬氏の山城跡を単に保護・保存するだけでなく、市民や山城ファンがその価値や魅力を学べる場を提供しています。山城をきっかけに市民の地域への愛着を育み、新たな交流や体験を生み出す「関係人口の創出」や「観光への展開」に力を入れています。

森林の中の発掘現場

美しい日本庭園

地域活動を行う人々

飛騨市について

飛騨市は、人口約21,000人の小さな市で、北アルプスなどの山々に囲まれ、総面積の約93%を森林が占める豊かな自然に恵まれた地域です。ユネスコ無形文化遺産である古川祭・起し太鼓、ノーベル物理学賞に寄与した「スーパーカミオカンデ」などの宇宙物理学研究施設、大ヒットアニメ映画「君の名は。」のモデル地となった風景など、多彩で個性豊かな地域資源が豊富にあります。