日本からの参加ブランドに注目
日本からは、「Hypnotique sense」「Teori Kobo Oriiro」「Kanomade」「aim/aimme」「pratolina」「JII」の6ブランドが参加しました。これらのブランドは、伝統や素材、個人の物語を起点に、それぞれの異なるアプローチで現代のファッションを再定義し、クラフトマンシップとコンセプトが交差する多層的な表現をランウェイで示しました。
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Hypnotique sense(ヒプノティック センス)
佐藤麗樹氏によるブランド「Hypnotique sense」は、コレクション「ruinphilia(廃墟美)」を発表しました。“朽ちること”を終わりではなく再構築のプロセスと捉え、素材の変容そのものを美として提示。消費されたTシャツを解体・再構築し、錆染めや炭染め、植物染料などを用いた天然素材を中心に、時間の痕跡を宿すテキスタイルを展開しました。ドレープを基軸に構築されたフォルムは、流動性と緊張感のバランスを保ちながら、視覚だけでなく感覚に働きかける没入的な衣服体験を生み出しました。
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Teori Kobo Oriiro(テオリコウボウ オリイロ)
西中裕子氏によるブランド「Teori Kobo Oriiro」は、約20年前に出会った「さをり織り」をきっかけに創作を開始。「誰でもできる」「間違いはない」「自由である」という哲学に深く共鳴し、現在は京都に工房を構えています。本コレクションでは、糸だけでなくヴィンテージ着物や思い出の詰まった布を裂いて織り込み、「treasure yarn」として再解釈。廃棄される素材さえも価値として取り込みながら、唯一無二のテキスタイルを生み出しました。型紙に頼らず、布の声を聴きながら仕立てる自由な制作プロセスも特徴で、着る人それぞれの個性を引き出す衣服を提案しました。
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Kanomade(カノメイド)
Kanon Nagayoshi氏によるブランド「Kanomade」は、祖母から受け継いだ着物を起点に、「個性を未来へ解放する」というテーマのもと制作を行っています。本コレクションでは、着物を“伝統衣装”としてではなく、“現代の自己表現のための服”として再解釈。一点一点異なる個性を持つ着物素材を用い、レイヤード構造や動きのあるシルエットによって、新たな価値を付与しました。かつて日常着であった着物が現代では特別な存在となってしまった現状に対し、若い世代が自然体で楽しめる形へと再構築。廃棄されつつある着物に光を当て、“過去と現在をつなぐ衣服”として蘇らせることを目指しました。
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aim/aimme(エイム/エイム)
三景スタジオが展開するクリエイティブフォトスタジオ発のブランド「aim/aimme」は、コレクションテーマ「I AM」を発表しました。年齢や慣習にとらわれず、自分自身の感性で選択する女性像を称えるものです。オーガンジー、チュール、サテン、レース、そして着物生地を組み合わせ、軽やかさと日本文化へのリスペクトを融合。また、日本の伝統技法「金継ぎ」から着想を得たピースでは、修復の痕跡を美として昇華し、時間の流れと再生の価値を表現。ファッションと記念文化を横断する新たな領域を提示しました。
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pratolina(プラトリーナ)
Manami Suzuki氏によるブランド「pratolina」は、幼い娘のための服づくりからスタートし、現在は大人のための衣服へと展開しています。天然素材と日本のクラフトマンシップへの深い敬意を基盤としています。コレクション「Waiting Light」は、柔らかな光の中で静かに季節を待つ時間から着想。リネンコットンを主素材とし、スモッキング刺繍による繊細な手仕事が、静かなリズムと立体的な表情を生み出しました。過剰な装飾に頼らず、光と影、静けさと温かさの共存を探求。日常に寄り添いながら、時間とともに育つ衣服としての価値を提案しました。
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JII(ジー)
宜野座順子氏によるブランド「JII」は、沖縄の自然と文化に根ざし、草木染めやベンガラ染めといった伝統技法を用いた衣服を制作しています。本コレクションでは、人の一生——誕生から成長、出会い、愛、継承までの過程を12のパターンで表現。琉球藍やフクギ、モモタマナなど、土地に根ざした素材による染色が、それぞれ異なる表情を生み出しました。必要な分だけを仕立てる制作姿勢や、土に還る素材の使用、染め直しによる再生など、持続可能性を体現。さらに、体型や好みに応じたオーダーメイドによって、誰もが自由にファッションを楽しめる在り方を提示しました。
Vancouver Fashion Weekとは
「Vancouver Fashion Week」は、多文化都市バンクーバーを拠点に、世界の新進デザイナーの発掘・育成を目的として2001年から開催されているイベントです。世界25カ国以上のファッション首都から多様な受賞歴のあるデザイナーが毎年参加し、ニューウェーブなオートクチュールからストリートウェアのトレンドまで、あらゆるサイズ、年齢、性別のモデルがランウェイを飾ります。これにより、文化・ジェンダー・価値観を越えた新たなファッションの可能性を提示し続けています。

イベントの詳細については、以下の公式サイトをご覧ください。
