日常の辺縁に光を当てる写真表現
中島康夫氏は、14年間にわたりスナップショットを撮り続けてきました。写真の基本に立ち返るという思いから、「日常の身の回りを撮ること」「ステレオタイプな表現は避けること」という二つの意識を持って制作に励んでいます。道端に生える雑草、空き地に打ち捨てられたゴミ、崩れかけた廃屋、路地裏のうらぶれた光景など、人々が普段意識を向けないような物事を被写体として捉え続けてきました。
当初は漠然としていた撮影コンセプトも、今では「日常における意識の中心ではない周辺部分を探ることで、逆説的に日常の本質を認識できるのではないか」という考えに至ったといいます。これは、世界を「饅頭」に見立てた際、その周りの「皮」の部分を調べることで、中身の「あんこ」(本質的なもの)を捉えようとする考え方です。この「饅頭の皮」にあたる、日常で意識の隅に追いやられ、無視されがちな場所を「日常の辺縁」と呼び、それが中島氏の撮影コンセプトとなっています。
記憶との邂逅が織りなす感覚的な作品
最近では、これまでのコンセプトに加え、感覚的、直感的な写真も増えてきていると中島氏は語ります。日々の意識が移り変わる中で、理屈よりも感覚に囚われ、思わずシャッターを切ってしまう瞬間があるとのことです。特に「遠い昔に見た物や風景」を想起させるような光景との遭遇、すなわち「記憶との邂逅」が、多くの作品の動機となっているそうです。
これらの写真は「ノスタルジア」と評されるかもしれませんが、感傷的な後ろ向きな気持ちによるものではないと中島氏は強調します。むしろ、理屈が意識から剥がれ落ち、感性が露わになった時の「解放感」を感じることもあり、そうした感覚的な写真も大切にしているといいます。
中島氏は、私たちを取り巻く平穏な暮らしも世界と繋がっており、遠い場所で起こる出来事と無関係ではないと考えています。日々起こる様々な事柄が、目に見えない微小な欠片となり、身の回りの雑草の陰にも降り積もっているという深い洞察が、作品にも込められていることでしょう。
本写真展では、約50点の作品が展示されます。ぜひ会場で、中島氏が捉えた「日常の辺縁」と「記憶との邂逅」が織りなす世界をご堪能ください。
開催概要
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展覧会名: 中島康夫 写真展「日常の辺縁、記憶との邂逅」
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期間: 2026年2月12日(木)~2月18日(水)
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会場: アイデムフォトギャラリー[シリウス]
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開館時間: 10:00~18:00(最終日は15:00まで)
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休館日: 日曜日
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入場料: 無料
関連情報
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