プロジェクトの背景と使命
宮島御砂焼は、厳島神社より拝受した御神殿下の「御砂」を粘土に混ぜて製作される、広島県を代表する伝統的工芸品です。しかし、製造過程では、どうしてもヒビや欠けなどにより、一定数のB品が発生してしまいます。
一度焼かれた土は二度と土には還らず、廃棄物となってしまうという現状に対し、対厳堂のオーナーは「自分の力不足で廃棄にしてしまうことが申し訳ない」という切実な思いを抱いていました。この思いが、「RE:OSUNAYAKI」プロジェクトの出発点です。文化的・精神的な価値を持ちながらも捨てられていた陶片に「次の物語」を与え、私たちの“暮らしに還す”ことが、本プロジェクトの使命とされています。
「欠片は先の物語を綴る」——RE:OSUNAYAKIのコンセプト
「RE:OSUNAYAKI」は、単なるリサイクルに留まらず、お砂焼きに宿る「信仰」「風土」「手しごとの記憶」を未来へとつなぐための再文脈化の営みです。

「お砂焼きは、土には還らない。いちど焼かれたその瞬間から、形は決まり、刻を留める。土に還らぬ祈りの欠片は、新たな文脈を綴る。この地の風土が育んだ文化は、暮らしの中に還る。壊れたものではなく、終わらないものとして。お砂焼は、未来を綴る。」
このプロジェクトの詳細は、以下のウェブページでご覧いただけます。
RE:OSUNAYAKI WEBページ
「輪廻転生」から「輪粘転成」へ—ロゴに込められた思想
プロジェクトを象徴するロゴマークは、焼き物が砕け、粉末となり、再び原料と混ざり合って新たな完成品へと生まれ変わるプロセスを表現しています。「輪廻転生」になぞらえ、粘土が形を変えて成しゆく「輪粘転成」という独自の思想をビジュアル化。欠けているからこそ生まれる美しさと、終わらない文化の連続性を象徴しています。

厳島神社による撮影協力が実現
本プロジェクトの背景にある「祈り」と「風土」を伝えるため、コンセプトムービーの制作にあたり、宮島・厳島神社の撮影協力が実現しました。御砂焼の起源であり、信仰の象徴である場所での撮影を通じて、このプロジェクトが土地の記憶を継承する神聖な試みであることが映像に収められています。
プロダクト展開の展望
廃棄陶片はサイズごとに選別され、その特性を活かした実用素材として、国内外のお客様に届くプロダクト展開が予定されています。
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1〜5cm(化粧砂・飾り石): 盆栽や観葉植物の化粧砂、いけばなの足元石、香立用の香炉石として活用されます。



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1mm以下(微粉末): 粘土に混ぜ合わせることで、耐火性と素朴な風合いを兼ね備えた「Reborn Chawan(再生 抹茶茶碗)」が製作されます。茶道の「道具を大切にする精神」と持続可能な価値観を融合させた、象徴的なプロダクトを目指します。

異業種連携による、伝統工芸の新たな未来
本プロジェクトは、製造・観光・園芸という異なる領域のプロフェッショナルがそれぞれの強みを活かした「連携型ビジネスモデル」として、多角的な展開を構想しています。
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対厳堂(製造元/窯元): 伝統を継承しながら、SDGsに対応した次世代の伝統工芸のあり方を創出します。
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株式会社パソン(観光・飲食): オリジナル香立ての開発などを通じ、国内外の旅行者へ新たな価値を提供します。
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庭能花園(園芸・造園): 盆栽ワークショップ等を通じ、御砂焼の記憶を現代のライフスタイルに溶け込ませます。
今後は、地域の子どもたちに向けた「情操教育」的な体験プログラムや、伝統工芸全体における廃材活用の仕組みづくりも視野に入れています。
制作チーム紹介
株式会社逆光による制作ディレクションのもと、このプロジェクトを深く理解したクリエイターが集結しました。
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制作ディレクション

株式会社逆光: https://backlight.co.jp/
全体戦略からコンセプト設計、制作ディレクションを担当。 -
クリエイティブメンバー
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オリシゲシュウジ(アートディレクション、グラフィックデザイン)

https://www.instagram.com/orishigeshuzi/
プロジェクト全体の世界観設計を踏まえ、ビジュアルディレクションを担当。ロゴデザインを起点に、宮島御砂焼に込められた「祈り」や「循環」の思想を視覚言語へと翻訳し、リーフレットや抹茶茶碗の掛け紙など、販促ツールへと展開。伝統と現代を横断しながら、プロジェクトの思想が一貫して伝わる緻密なデザインを構築。 -
杉野正和(フォトグラファー)

https://masakazusugino.com/
素材が持つ手触りや、そこに宿る祈りの気配を切り取る撮影を担当。 -
すぎおかりく(映像クリエイター)

https://ttteal.com/
厳島神社の静謐な空気感と対厳堂の想いを描くコンセプトムービーを制作。
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プロジェクトに込められた想い
「RE:OSUNAYAKI」は、宮島御砂焼の制作過程で完成には至らなかった焼き物に、別のかたちで、もう一度暮らしの中の役割を与えるプロジェクトです。割れや欠けにより届けられなかった焼き物を、粉砕し、磨き、新たな素材としてよみがえらせます。一度焼かれた焼き物は、もう二度と土には還ることができません。だからこそ、壊れたものではなく「終わらないもの」として、再び誰かの日常へと綴り直していくのです。




この試みが、100年以上続く伝統工芸の新しい継承の形として、そして広島の風土が生んだ「祈りの文化」を次の100年へと繋ぐ確かな一歩となることが願われています。
宮島御砂焼 窯元 対厳堂について
大正元年(1912年)創業の「厳島神社御用窯」。厳島神社から拝受した「御砂」を粘土に混ぜる独自の伝統を110年以上守り続けています。広島県伝統的工芸品やザ・広島ブランドに認定されており、2022年には「折鶴灰釉香炉 祈り」がローマ教皇への贈答品に、2023年のG7広島サミットでは「折り鶴ランプ 燈 (あかり)」が各国首脳への贈呈品に選出されるなど、国内外で高い評価を得ています。


対厳堂URL: https://miyajimayaki.jp/
株式会社逆光について
「文化に光を当て、時代を綴る。」をミッションに掲げ、広島を拠点にブランド戦略を支援する戦略家集団です。企業の持つ本質的な価値を再設計し、リブランディングを得意としています。
株式会社逆光URL: https://backlight.co.jp/
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代表note: https://note.com/mark136



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