公共図書館が地域社会の核となる新たな役割
日本の超高齢社会において、公共図書館は単に書籍や映像コンテンツを提供する場にとどまらず、地域社会の結びつきを強化し、世代間対話を促進する新たな役割を果たすことが期待されています。
ニューヨーク公共図書館のコミュニティ・オーラルヒストリープロジェクトでは、1,250件以上の個人の物語が集められ、図書館のコレクションとして公開されています。これにより、地域の歴史保存と住民参加が促進されており、この成功事例は日本における取り組みの参考となるでしょう。
国内では、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)が、公共図書館と協力し、吹田市健都ライブラリーでの大学院生による健康相談会の共催や、認知症の方々をはじめとする「生きにくさ」を抱える方々、あるいはコロナ禍のような制約下においても公共図書館がより良い「第三の場」となるよう、キャプション評価(説明文や案内表示の評価)を実施してきました。
地域社会の記憶を次世代へ継承するプラットフォーム
今後は、これらの活動をさらに発展させ、地域の歴史ある公共スペース間の連携を強化することによって、公共図書館を「コミュニティの記憶のアーカイブ」および「世代間対話のプラットフォーム」へと変貌させることを目指しています。歴史ある公共スペースと図書館が協力することで、地域の歴史や文化を共有し、コミュニティの絆を深める場を提供できるでしょう。公共図書館は、地域社会の知識のハブとしての役割を担い、誰もが平等に利用できる公共空間であることから、地域の記憶を保全し、世代間対話を促進するのに最適な場所と言えます。
このプロジェクトでは、地域のつながりを強め、若者と高齢者が一緒に学び合う場を作ることを目指しています。具体的には、公共図書館と大阪市内に残る歴史的な銭湯などの公共スペースが協力し、地域社会のつながりを活かした新しい活動を始める予定です。例えば、これらの場所で定期的にワークショップを開き、地域の人々が自身の暮らしや地域の歴史について語り合える機会を提供します。若者と高齢者が共に語り合うことで、お互いの経験を共有し、新しい視点を学ぶことができるでしょう。また、こうして集められた話はデジタル化され、公共図書館のアーカイブに保存されることで、誰でも簡単に地域の歴史を学ぶことができるようになります(※1)。
さらに、地域の学校や教育機関と協力して、学生が参加できる教育プログラムも開発し、若い世代が地域の歴史や文化に興味を持ち、もっと学びたいと思うようになることを目指します。地域の祭りやイベントにも積極的に参加し、プロジェクトの進捗や成果を住民と共有する場を設けることで、より多くの人々がプロジェクトに参加し、地域のコミュニティを共に盛り上げていくことが期待されます。
持続可能な社会の実現に向けて
公共図書館が地域の歴史と文化を保存する中心的な役割を果たすことによって、地域社会はさらに活性化し、世代間の対話が増えることが期待されます。そうなれば、地域の一体感が強まり、若者たちが自分たちの住む場所の歴史や文化に対する興味を持ち、それを学び、尊重するようになるでしょう。
「いのち会議」は、本プロジェクトとともに、公共図書館や地域の公共スペースの役割を再構築し、世代を超えて住民が集まり学び合える場を提供することによって、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めていきます。それを通じて、多様な人々が共に学び、支え合う社会を育み、地域全体の結束力を高め、未来に向けたより良い社会づくりに貢献してまいります。
【註】
- ※1 みまもりあいプロジェクト: https://mimamoriai.net/
【参考情報】
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OHMA, For the Community be the Community: The NYPL Community Oral History Project: https://oralhistory.columbia.edu/blog-posts/people/for-the-community-by-the-community-the-nypl-community-oral-history-project
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The New York Public Library, Community Oral Project (アーカイブ): https://wayback.archive-it.org/14173/20200910171016/http://oralhistory.nypl.org/
いのち会議公式サイト: https://inochi-forum.org/



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