新規公開作品の見どころ
今回の公開では、1927年から1944年までの間に撮影・製作されたサイレントの文化・記録映画が紹介されます。これらの作品は、満洲帝国に関わる歴史的な場面、昭和三陸地震や日中戦争中の陸軍倉庫爆発といった災害の記録、そして硬質陶磁器製造、新聞製作、製鉄、捕鯨といった多様な産業の様子を伝えています。また、戦時中の動員労働者向けの教材映画なども含まれており、激動の時代を映し出す多彩な作品群を通じて、歴史映像が持つ魅力と奥深さを感じられることでしょう。
注目作品のご紹介
『朝日は輝く[抜萃]』

大阪朝日新聞の創刊50周年を記念して製作された長篇劇映画『朝日は輝く』(溝口健二、伊奈精一共同監督)を再構成した抜粋版です。当時の新聞社内の様子や、取材から印刷までの新聞製作の過程を見ることができ、報道の現場の息遣いが伝わってきます。
『枚方陸軍倉庫爆破』

日中戦争が泥沼化しつつあった1939年3月1日に枚方市の大阪陸軍兵器支廠禁野倉庫で発生した爆発・火災事故現場の記録です。近隣の集落も巻き込む大惨事となったこの出来事を捉えたフィルムは、当時は一般公開されなかったと考えられています。
『滿洲國皇帝陛下御訪日』

1935年に挙行された満洲国皇帝溥儀による日本訪問の記録です。東京駅での昭和天皇との歴史的な対面や共に臨んだ観兵式のほか、京都をはじめとする各訪問先での様子も捉えられており、当時の外交の一端を垣間見ることができます。
『硬質陶器』

戦前の日本の代表的な輸出品目のひとつであった硬質陶磁器の生産工程を紹介する教育映画です。資料からは名古屋製陶所で撮影された可能性が考えられます。原材料が加工され、職人たちの手によって製品へと形を整えてゆく過程は、見る者の目を惹きつけます。
『本鄕より駒場への移轉式 皇紀二千五百九十五年九月十四日』

1935年に駒場の東京帝国大学農学部と敷地を交換した本郷の旧制第一高等学校が挙行した移転式の記録です。一高寮生と教員による本郷から駒場までの行進が描かれ、渋谷駅前をはじめとする、行進が通過する街々の光景も見どころです。
『奈良縣田原村』

朝鮮総統府が農村の教化指導のため、「富村良俗」を村是とした挙村一致の活動で優良農村として発展した奈良県田原村を取材した作品です。当初不明だった題名は、現在の田原地区在住の方からの情報提供により判明しました。
サイト概要

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サイト名: フィルムは記録する ―国立映画アーカイブ歴史映像ポータル―
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制作: 国立映画アーカイブ、国立情報学研究所
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公開日: 2025年12月26日(金)16:00
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新規公開作品: 満州帝国の歴史的場面や、事故と災害、各種産業に関する記録や教材映画など、1927-1944年に撮影・製作された日本の文化・記録映画30作品(すべて無声)
この機会に、WEBサイトを通じて、日本の激動の時代を生きた人々の記録に触れ、新たな発見をしてみてはいかがでしょうか。



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