総合テーマは「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」
恵比寿映像祭2026の総合テーマは、メインキュレーター・邱于瑄(チィウ・ユーシュェン)氏による台湾語が起点となっています。このテーマは、一つとして同じものがない多様な声が響く空間に、木々の間から漏れる光が差し込む様子を表しており、複雑な現代社会における多様な文化や言語が互いに影響し合う姿に、柔らかな光を注ぐ思いが込められています。
写真、映像、サウンド、パフォーマンスなどを通じて、不協和であっても響き合い、重なり合う思考や存在が交差し、視覚的・聴覚的なポリフォニー(複数の独立したメロディーが同時に存在し、互いに調和し合う音楽用語)を深く形成することを目指します。個々の声や形は消されることなく、複数の視点が交差して拡張される体験を、美術館だけでなく恵比寿地域の多層的な空間で楽しめます。

多彩なプログラムと見どころ
1. 重なり合う形と声:空間で触れる展示プログラム(会場:東京都写真美術館 B1F・1F・2F)
写真、映像、サウンド、パフォーマンスなど多様なメディアを横断し、人類学的な視点から「声」「環境」「記憶」「誤読」をテーマに展開される展示プログラムです。長い歴史の中で交差してきた人や文化の往来を手がかりに、混ざり合う環境に潜む“聞こえにくい声”の広がりを可視化します。
地下1Fでは“移動”を起点にしたサウンドスケープが広がり、2F展示室では言語や社会のルールを再考しながら「ズレ」や「誤解」から生まれる表現の可能性を探ります。展示室内外に響く形なき音が、視覚と聴覚のポリフォニーを立ち上げ、異なる文化や言語、身体の間に生まれる共鳴を体感できるでしょう。

参加アーティストは、張恩滿(チャン・エンマン)、鶴巻育子、トモコ・ソヴァージュ、キュンチョメ、FAMEME、田中未知/高松次郎、スーザン・ヒラー、アンジェリカ・メシティ、チョン・ソジョン、侯怡亭(ホウ・イーティン)、冥丁など、国内外から多岐にわたります。
特に、台湾原住民族のルーツを持つ張恩滿による船形のインスタレーション作品《蝸牛樂園三部曲—啟航或終章》は、異なる土地を渡り定着してきた生き物の記憶と、変化し続ける環境の中で未来へと受け継がれる姿を表現しています。また、侯怡亭《所有的小姐 Sóo-ū -ê sió-tsiá》では、日本文化の影響を受けた台湾語の歌詞を刺繍で表現し、言語の背景にある歴史や社会の記憶が浮かび上がります。
2. 新しい才能と出会う「コミッション・プロジェクト」(会場:東京都写真美術館 3F展示室)
東京都写真美術館の継続事業として2023年に始動した「コミッション・プロジェクト」では、日本を拠点に活動するアーティストが選出され、制作委嘱された映像作品が発表されます。
恵比寿映像祭2026では、第2回コミッション・プロジェクト特別賞受賞作家である小森はるか氏による新作2作品が、総合テーマと呼応しながら展示されます。会期中には第3回コミッション・プロジェクトのファイナリスト4名も発表される予定です。

3. 街にひらかれるアート——オフサイト展示(会場:恵比寿ガーデンプレイス センター広場、恵比寿スカイウォーク)
デジタルとアナログの境界を横断する実験的プロジェクトが展開されます。インターネット・アートの先駆者であるエキソニモと、個人と集団のアイデンティティに着目したFAMEMEが、都市空間に新しい映像表現をインストールします。屋外でしか体験できない“偶発的な出会い”を生み出す作品群が、訪れる人すべてに開かれた鑑賞体験を提示します。

FAMEMEによる新作《Duri-grance by FAMEME》は、ドリアンと香水の融合という新感覚の作品で恵比寿スカイウォークをジャックします。また、恵比寿ガーデンプレイス センター広場では、目を閉じた人々の顔が映る二つのモニターが重なり合い、キスを交わしているかのように見えるエキソニモ《Kiss, or Dual Monitors》が、2026年の新ヴァージョンとして約4mに及ぶ巨大LEDウォールで登場します。
4. 映像を“視る&聴く”——上映プログラム(会場:東京都写真美術館 1Fホール)
恵比寿映像祭のために編まれた特別上映プログラムが連日開催されます。劇映画から実験映画、日本初公開作品を含め、多彩な作品が集まります。上映後には、監督やゲストを招いてのトークも開催され、作品への理解を深める機会となります。

昨年急逝した映像作家・大木裕之氏の仕事を振り返る追悼特集上映や、河合健氏による言語とコミュニケーションのズレを題材にした《みんな、おしゃべり!》、モーガン・クウェインタンス氏による短編特集上映などが予定されています。
5. 重なり合う声と身体——ライヴ・イヴェント(会場:東京都写真美術館 1Fホール、1Fスタジオ、展示室)
すべての来場者に開かれたフェスティヴァルを目指し、映像文化の理解を深めるとともに、来場者が自ら考え、対話するきっかけが提供されます。展示プログラムの各作品を起点としつつ、様々な表現方法のプログラムが重なり合い、総合テーマのさらなる拡張を試みます。

出品作家であるキュンチョメ、鶴巻育子、アンジェリカ・メシティ氏によるアーティスト・トークをはじめ、日本大学名誉教授の原直久氏による写真技術に関する講義が行われます。また、原住民文化を深く知ることができる関連ワークショップや、視覚障害のある方と作家による「見え方」についての作品鑑賞ツアーも実施されます。劇団ゴツプロ!による演劇プログラム《拝啓》の上演も予定されており、映像の領域の拡張に挑みます。
6. 語り合う——シンポジウム(会場:東京都写真美術館 1Fホール、日仏会館ホール)
国内外のキュレーター、研究者、アーティストらを招き、コミッション・プロジェクトやアーカイヴ、言語と文化の交差について議論し、映像の未来をめぐる国際的な知の交流の場が創出されます。4つのテーマを設け、多角的な視点から映像、写真、音の多義性と可能性を考察します。

7. 東京都のコレクションを特別公開(会場:東京都写真美術館 3F展示室)
東京都コレクションから、総合テーマを紐解く視点として「現代と歴史」を切り口に作品がセレクトされます。東京都写真美術館、東京都現代美術館、東京都庭園美術館、東京都江戸東京博物館が管理する収蔵品の中から、映像・写真・資料が展示され、漣(さざなみ)のように立ち上がる違和感をリレー形式であぶり出します。

東京都写真美術館コレクションより、エキソニモ《Joiner – Collage Camera》(2010)のマイグレーション(修復)作品や、十返舎一九『東海道中膝栗毛』(1802–1814)を起点とした昭和中期の《カメラ双六》などが展示されます。
8. 文化が響き合う都市ネットワーク——地域連携プログラム(会場:地域連携各所)
恵比寿映像祭2026では、地域連携の範囲を拡大し、日仏会館、CCBTをはじめとする18施設がそれぞれ独自の展覧会やイベントを開催します。恵比寿屈指のディープスポット「恵比寿 地下 味の飲食街」や、複数のバーとも連携し、街全体で多様な作品と出会える機会が提供されます。シールラリーも実施され、オリジナルグッズのプレゼントも予定されています。

開催概要
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会期: 2026年2月6日(金)〜2月23日(月・祝)[16日間]
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※2月9日(月)および16日(月)は休館
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※3F展示室のみ3月22日(日)まで
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時間: 10:00–20:00(2月6日〜2月22日)※最終日(2月23日)は18:00まで
- ※2月25日(水)から3月22日(日)の3F展示室は10:00 から18:00 まで(木曜・金曜は20:00まで)
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会場: 東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス各所、地域連携各所ほか
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料金: 展示無料(上映と一部イベントのみ有料)
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主催: 東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館/日本経済新聞社
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共催: サッポロ不動産開発株式会社/公益財団法人日仏会館
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助成: ブリティッシュ・カウンシル
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協力: 在日オーストラリア大使館
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後援: 台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター/J-WAVE 81.3FM
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協賛: YEBISU BREWERY TOKYO/東京都写真美術館支援会員/ダイワロイネットホテル西新宿PREMIER
アクセシビリティ & サポート
乳幼児から高齢者、障害のある人もない人も、海外にルーツを持つ人も、誰もが楽しめる恵比寿映像祭を目指し、さまざまなサポートが用意されています。情報保障、音声による「やさしいガイド」、オール・ウェルカム・デー(2月14日[土]13:30–17:00)、バリアフリー設備、多言語対応の総合受付などが提供されます。
詳細は以下のアクセシビリティ情報ページをご確認ください。
だれでもTOP
教育普及プログラム
恵比寿映像祭2026では、さまざまな世代の方々がフェスティヴァルをより楽しめるよう、教育普及プログラムが多数用意されています。これらのプログラムでは、お気に入りの作品を見つけたり、フェスティヴァルについて考えたり、制作を通して映像や写真についての理解を深めたりすることができます。事前申込制のものだけでなく、当日気軽に立ち寄れるものもあり、詳細は公式HPで確認できます。

公式サイト・SNS
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公式サイト: https://www.yebizo.com
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Instagram: https://www.instagram.com/yebizo



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