雄町哲郎シリーズとは
京都を舞台に、地域病院で働く医師・雄町哲郎を通して、人生の生と死、そして幸せのあり方を深く描く夏川草介氏の『雄町哲郎シリーズ』。
第1作である『スピノザの診察室』は、2024年本屋大賞で第4位、第12回京都本大賞を受賞し、実写映画化も決定しています。さらに、第2作の『エピクロスの処方箋』も2026年本屋大賞にノミネートされるなど、大きな話題を集めています。
物語に登場する数々のお菓子も読者の間で反響を呼んでおり、「お菓子がとても美味しそうで、無性に食べたくなる」「この本に出てくる銘菓たちが気になってしかたがありません!」といった声が聞かれます。甘党の哲郎が日常の中で口にするお菓子は、すべて京都に実在する老舗和菓子屋・餅菓子屋の銘菓であり、その中でも哲郎が「死ぬまでに絶対食べておくべきうまいもの」の一つとして愛するのが、長五郎餅です。
豊臣秀吉も愛した銘菓「長五郎餅」
長五郎餅は、天正15年(1587年)に豊臣秀吉が開催した北野大茶会で用いられたと伝わる、400年以上の歴史を持つ由緒正しい銘品です。北野天満宮の名物としても知られ、『スピノザの診察室』の中では、その魅力が次のように描かれています。
「ピンポン球ほどのその菓子は。北野天満宮の名物のひとつで、雪のように白い餅皮と甘みを控えた漉し餡が絶品である。厳選された自然素材を使用し、ふわりと溶けていくような触感の餅皮と、雑味のない透き通った甘みの餡の組み合わせが希有な逸品だ」(『スピノザの診察室』より)
特製掛け紙付き長五郎餅が登場
このたび、長五郎餅の製造・販売を手掛ける長五郎餅本舗(京都市上京区)とのコラボレーションが実現しました。本シリーズの特製掛け紙を巻いた長五郎餅が、2026年3月22日(日)より販売されます。

特製掛け紙には、『スピノザの診察室』と『エピクロスの処方箋』のカバーイラストが使用され、哲郎が長五郎餅について語る台詞が添えられています。この掛け紙は、長五郎餅本舗の本店、北野天満宮境内茶店、京都駅京老舗の味「舞妓」店で販売される6個入りの箱に巻かれて提供されます。
長五郎餅本舗 第21代店主 藤田典生氏からのメッセージ
コラボレーションに際し、長五郎餅本舗第21代店主の藤田典生氏よりメッセージが寄せられました。
「北野大茶会の折、豊臣秀吉公に献上され、『長五郎餅』と名を賜ったこの餅。四百三十余年の時を越え、私は創業の地で、ただひたすらに、この味を守ることだけを胸に、長五郎餅と向き合ってまいりました。
時代が移ろい、人の暮らしが変わっても、変えてはならないものがある。それは、餅の味だけではなく、お客様を想う心だと考えます。
このたび、そんな私が大切にしてきた長五郎餅を小説の一節として取り上げていただきました。身に余るお言葉を頂戴し、ただただ、感謝しかありません。
物語の中で、主人公が患者さん一人ひとりにひたむきに向き合う姿に触れたとき、私は自分自身の姿を見た思いがしました。派手さはなくとも、目の前の一人を大切にすること。それだけを信じ、続けてきた年月が、胸の奥で静かに報われた瞬間でした。
二十一代目として家業を継ぎ、迷いながらも歩みを止めずにきたこの道でしたがこの小説は、『その道でよかったのだ』と、そっと背中を押してくれたように感じています。
この深い感謝と敬意を、ほんのわずかでも作者にお伝えしたい。そして、作品への応援の心を形にしたい。その思いから、本の表紙を模した掛け紙を誂えました。
小説に励まされ、お客様に支えられ、これからもただひたすらに、この味と、この心を、子へ、孫へ、そしてその先へと、永く受け継いで行きたいと思います。」
夏川草介氏からのメッセージ
長五郎餅のファンである夏川氏からも、この銘菓に魅了される理由についてメッセージが寄せられました。
「長五郎餅について、ひとつだけ大切なことをお伝えしたい。スピノザやエピクロスの話ではない。私がどれほどこの餅菓子を愛しているかという事実も、ここでは些事に過ぎない。
大事なことは、この逸品は、一旦購入したらできるだけ早く食べて頂きたいということである。
賞味期限は数日との記載だが、一日どころか半日置くだけで餅皮はかすかに固くなる。固くなっても、秋空のごとく澄んだ漉餡の甘味は微塵も揺るがないが、春の雪のごとくふっと解けていく柔らかな食感はわずかに変わる。変わってなお美味であるのが長五郎餅の長五郎餅たる所以だが、それでも変わらぬに越したことはない。
長々と書いたが要するに、私が伝えたいことはひとつである。『ご賞味はお早めに』。」
特製掛け紙付きの長五郎餅の販売は、2026年12月末までの予定です。この機会に京都を訪れ、物語の舞台と銘菓の味わいをぜひ体験してみてください。
長五郎餅本舗について

天正15年(1587年)、豊臣秀吉が開いた北野大茶会で初代河内屋長五郎が餡入りの餅を献上したところ、秀吉に気に入られ、「長五郎餅」と名を賜ったとされています。以来400年以上変わらぬ味を守り続ける長五郎餅をはじめ、季節の銘菓を取り揃える京都を代表する餅菓子屋の老舗です。
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住所:
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本店 京都市上京区一条七本松西
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北野天満宮境内茶店 京都市上京区馬喰町 北野天満宮 境内
- ※北野天満宮の工事にともない2026年9月頃まで休業中
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京都駅京老舗の味「舞妓」店 JR京都駅 新幹線コンコース内
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書籍情報
『スピノザの診察室』

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書名:スピノザの診察室
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著者名:夏川草介
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発行元:水鈴社
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発売元:文藝春秋
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刊行日:2023年10月27日
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定価:1,870円(本体価格+税10%)
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ISBN:9784164010068
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頁数:288頁
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体裁:四六判上製
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装丁:名久井直子
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装画:五十嵐大介
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電子書籍:同日発売
- ※実際の配信有無や価格などは電子書籍ストアにより異なります。詳しくは、各ストアにてご確認ください。
『エピクロスの処方箋』

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書名:エピクロスの処方箋
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著者名:夏川草介
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発行/発売元:水鈴社
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発売日:2025年9月29日
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定価:1,980円(本体価格+税10%)
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ISBN:9784910576053
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体裁:四六判上製
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頁数:360頁
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装丁:名久井直子
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装画:五十嵐大介
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電子書籍:同日発売
- ※実際の配信有無や価格などは電子書籍ストアにより異なります。詳しくは、各ストアにてご確認ください。
著者プロフィール

夏川草介(なつかわ・そうすけ)
1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業後、長野県にて地域医療に従事されています。2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同書は2010年本屋大賞第2位となり映画化もされました。その他の著書には、世界40か国以上で翻訳された『本を守ろうとする猫の話』、『始まりの木』、コロナ禍の最前線に立つ現役医師である著者が自らの経験をもとに綴り大きな話題となったドキュメント小説『臨床の砦』、2024年本屋大賞第4位、第12回京都本大賞を獲得した『スピノザの診察室』などがあります。
