坂戸市商工会、生成AI活用と組織刷新で年間200時間創出 「全国準グランプリ」受賞の快挙

坂戸市商工会が組織変革で「全国準グランプリ」を受賞

埼玉県坂戸市に拠点を置く坂戸市商工会(本橋聡 会長)は、全国の商工会の模範となる取り組みを称える「21世紀商工会グランプリ」人材育成部門において、令和7年度の全国準グランプリに輝きました。臨時職員を含む9名(正職員7名)という小規模な組織でありながら、生成AIを活用したDX推進と組織風土の刷新を通じて、年間200時間以上の事務工数削減を実現。この変革により、1,535件の会員事業者への伴走支援時間を増やし、地域経済への貢献を拡大しています。

第65回商工会全国大会の様子

背景:5年で330事業所が消失した地域の課題

坂戸市では、直近5年間で約13%にあたる330もの事業所が消失するという厳しい現実に直面していました。この急速な社会変化に対応するため、本橋会長の就任と合わせて令和6年度に新体制を発足。職員が自律的に考え行動する「坂戸式『支援人材再設計モデル』」へと舵を切りました。指示を「待つ」組織から、自ら課題を発見し、提案する組織への転換が、地域経済を支え続けるための最優先事項とされました。

書類を囲んで打ち合わせをする二人のビジネスマン

危機感から生まれた「坂戸式『支援人材再設計モデル』」

このモデルは、「自律型職員の育成」「業務のDX化」「地域共創型プロジェクト」の三つの柱で構成されています。

坂戸式・支援人材再設計モデルの図

自律型職員の育成

改革の起点となったのは「自律型職員の育成」です。会長と全職員による週15分の対話(コーチング)を継続したことで、職員が自ら課題を発見し、提案する文化が定着しました。その結果、令和6年度の職員による新規事業の提案数は、前年度(令和5年度)の5件から22件へと急増し、YouTubeでの情報発信など、能動的な施策が次々と打ち出されています。

業務のDX化

個々の成長を支えるため、「業務のDX化」も推進されました。生成AIを戦略的に活用し、議事録作成を5時間から5分へ短縮したり、補助金要領の分析を自動化したりすることで、年間200時間以上の事務工数を削減。創出された時間は、現場訪問や相談対応に再配分され、相談に対してその場で回答が可能な支援体制が確立されました。坂戸市商工会では、公式YouTubeチャンネルを運用し、日本政策金融公庫との全国初のコラボ動画を公開するなど、デジタルを活用した情報発信も強化しています。

坂戸市商工会チャンネルのYouTube動画で日本政策金融公庫がマル経融資制度を解説

実を結んだ地域共創型プロジェクト

一連の変革は、令和7年11月の全国準グランプリ受賞という形で結実しました。受賞後も、行政・金融機関との「事業承継三者協定」締結や、城西大学の学生を創業塾に招待し意見交換を行うなど、大学や地元企業を巻き込む施策が次々と具体化。伴走支援の幅を広げています。また、製造業の販路開拓を目的とした展示会「ものづくり未来EXPO2025」を職員主導で初開催するなど、地域共創型のプロジェクトも活発に展開されています。

多くの人々が集まり展示された資料を見ながら交流する会場

プロジェクターを背景に受講者に向けて話す講師

能登半島地震への職員派遣

わずか7名の正職員という組織ながら、職員の志願により埼玉県内の商工会で唯一、能登半島地震の被災地へ計2名の職員を派遣しました。これは、自律型職員の育成が実を結んだ証とも言えるでしょう。

地震により大きく傾いた建物

坂戸市商工会の主要取り組み・実績

坂戸市商工会は、以下の主要な取り組みと実績を通じて地域貢献を果たしています。

  • 自律型職員の育成:会長と全職員による週15分の1on1コーチングを継続し、自ら提案する組織へ転換。令和6・7年度の2年間で累計27件の事業案を創出し、実現へと繋げる体制を構築しました。

  • 業務のDX化:生成AIによる事務効率化で議事録作成を大幅に短縮し、年間200時間以上を削減。創出された時間を支援現場への訪問に充てています。また、補助金要領のAI解析により、複雑な公募要領を即時分析し、会員事業者からの問い合わせにその場で即時回答できる体制を確立しました。

  • マル経融資の実績向上:伴走支援の質向上により、マル経融資(小規模事業者経営改善資金)の令和6年度融資実績は23件(前年比約130%)へと伸長し、令和7年度は27件の実行が見込まれています。

  • 地域共創型プロジェクト:坂戸市と連携した「店舗・住宅等リフォーム補助事業」では70件の補助を通じて地元業者への発注を促進。地域ブランド化を推進する「おはこプロジェクト」も進行中で、令和8年7月には坂戸駅でのマルシェ開催を予定しています。

今後の展望:地域ブランド事業「おはこプロジェクト」本格始動

坂戸市商工会は、1,535件の会員事業者が持つ「おはこ(十八番=強み)」を守り、次世代へつなぐため、この変革に挑戦し続けています。任期最終年となる令和8年度には、坂戸の歴史を掘り起こした地域ブランド事業「おはこプロジェクト」を本格始動させ、さらなる人の流れと活力を創出していく予定です。

高崎市で行われた会議の様子

会長コメント:地域一丸となった支援への決意

本橋聡会長は、「就任時に掲げた『全国表彰』の目標を、職員が一丸となり2年目で達成しました。少人数のチームが地域のために何ができるかを考え抜いた結果だと捉えています。大きな予算がなくとも新しい道具を味方につけることで、私たちの活動はもっと地域に貢献できるものへと変わっていきます。任期最終年の令和8年度は、これまでの歩みを確かな成果へとつなげ、事業者の皆様の『おはこ(強み)』をさらに磨き上げ、全国へ発信することに挑戦します」と、地域への強い決意を語っています。

スーツ姿で腕を組んで微笑む本橋聡会長

坂戸市商工会について

坂戸市商工会は、昭和36年1月10日に設立され、坂戸市薬師町31-3に拠点を置いています。本橋聡会長のもと、1,535件(令和8年2月10日現在)の会員数を持つ商工会として、商工業者の指導・育成、住みよいまちづくりの推進、ワークライフバランスの推進といった活動を展開しています。

坂戸市商工会館の建物

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