麗澤大学で「日本オペレーションズ・リサーチ学会 2026年春季大会」が開催
2026年3月4日から6日にかけ、麗澤大学にて「日本オペレーションズ・リサーチ学会 2026年春季大会」が開催されました。全国から約500名の研究者、実務家、学生が一堂に会し、社会課題の解決に向けた活発な研究発表や議論、特別講演、シンポジウムが行われました。最新のテクノロジーとモジュール家具を備えた校舎さつきが会場となり、参加者は知的な交流を深めました。

特別シンポジウム「老いる日本、産官学連携の力でどう挑むのか」
3月4日には、特別シンポジウム「老いる日本、産官学連携の力でどう挑むのか」が開催され、約150名が参加しました。このシンポジウムでは、自治体、企業、研究者という多様な立場の登壇者が集まり、日本が直面する人口減少や高齢化といった社会課題への具体的な取り組みについて議論が交わされました。
基調講演では、麗澤大学の客員教授3名が登壇されました。前平戸市長の黒田成彦氏は、人口減少と高齢化が進む地域の現状と、住民主体のまちづくりの重要性を強調。平戸市でのまちづくり協議会への交付金制度を通じた地域活動の支援や、大学との連携、日本初の分散型ホテル「アルベルゴ・ディフーゾ」の導入など、地域資源を活かした活性化策について説明されました。

続いて、相続プラットフォーム事業を展開する株式会社ルリアン代表取締役社長の小西弘樹氏は、多死社会における相続問題と情報格差について講演。相続に関する知識や情報が十分に共有されていない現状を指摘し、企業と大学の共同研究による「相続工学」の取り組みなど、データ分析を活用した新たな研究領域の意義を紹介されました。

さらに、日本経済新聞の浅沼直樹氏は、中国人の教育移住の増加と日本社会への影響について報告。大学側の定員充足という背景から、教育や生活環境を目的に来日する若者が増えている現状や、中国系SNSを通じた情報共有の様子など、日本社会の変化について具体例を交えて説明されました。
パネルディスカッションでは、6名が産官学それぞれの立場から、日本社会の高齢化にどう向き合うかについて議論を展開。株式会社日立柏レイソル代表取締役社長の山崎和伸氏はスポーツ界における人材育成の課題を、慶應義塾大学の栗田治教授は論理的思考を通じた社会課題分析の重要性をそれぞれ紹介されました。また、麗澤大学の徳永澄憲学長は、文理融合型教育や地域課題解決型教育の取り組みについて紹介しました。

シンポジウムの最後には、若手研究者・実務家によるクロストークも行われ、次世代の視点から社会課題への取り組みや今後の展望について意見が交わされました。麗澤大学工学部の大場史温さんも登壇し、柏市出身として地域課題を身近に感じていることに触れながら、アプリ開発などの技術的な取り組みを通じて社会貢献を目指す姿勢を述べました。

特別講演(3月5日)
3月5日には、前熊本県知事で麗澤大学特別招聘教授の蒲島郁夫氏による特別講演「夢限りなく ― OR研究への期待~不可能を可能に」が開催されました。会場には多くの参加者が集まり、聴衆が会場から溢れるほどの盛況ぶりでした。
蒲島氏は、自身の歩みを「不可能を可能にしてきた人生」と振り返り、新聞配達をしながら学んだ高校時代や、農協勤務を経て渡米した経験などを紹介されました。ネブラスカ大学で学問の面白さに目覚め、その後ハーバード大学で政治学博士号を取得するに至った経緯についても語られました。
2008年からは熊本県知事として4期16年にわたり県政を担い、財政再建や九州新幹線の全線開業、熊本地震からの復旧・復興などに取り組みました。講演では、県民の幸福度最大化を目指す政策の考え方や、「くまモン」を活用した地域活性化の事例なども紹介されました。


特別講演(3月6日)
3月6日には、麗澤大学特別招聘教授で、物質・材料研究機構(NIMS)理事・ナノアーキテクトニクス材料研究センター長を務める谷口尚氏による特別講演が行われました。講演では、高温高圧環境を再現することでダイヤモンドなどの材料を合成する研究について紹介され、ダイヤモンドが宝石としてだけでなく、量子センサーなど新たな応用分野でも注目されており、医療やエネルギー分野への応用の可能性が示されました。最先端の研究内容ながら、学生を含め一般の方々にも分かりやすい内容で提供されました。

続いて、2025年度オペレーションズ・リサーチ学会研究賞を受賞した東京大学 数理・情報教育研究センター教授の寒野善博氏による講演が行われました。講演では、応用力学分野における最適化モデリングの研究について紹介され、構造設計などの分野で最適化手法がどのように活用されているのかが説明されました。研究の歩みを交えながら、最適化研究が社会の意思決定や設計に広く応用されていることが紹介されました。

麗澤大学生による研究発表
本大会では163件の研究発表が行われ、麗澤大学からは工学部情報システム工学専攻2年の大場史温さんが「第4種踏切安全化による生活アクセシビリティ改善」をテーマに研究発表を行いました。遮断機のない第4種踏切の廃止が地域の移動環境に与える影響を分析し、関東鉄道を対象に現地調査や人流データを用いたシミュレーションを実施。スマートフォンによる警告通知やデジタルツイン技術を活用した新たな安全対策の可能性を提案しました。


まとめ
本大会は、人口減少や地域課題、先端材料研究、最適化理論など多岐にわたるテーマについて議論が深まる場となりました。オペレーションズ・リサーチが社会課題の解決に果たす役割について、改めて認識を深める貴重な機会であったと言えるでしょう。麗澤大学は今後も、産官学連携による研究・教育を通じて社会に貢献する取り組みを積極的に推進していくことでしょう。
