帳票はPDFからSVGへ ―― ブラウザだけで完結する帳票体験
Reports.net Ver.13.0では、「帳票のプレビューや印刷はPDFではなくSVGであるべき」という大胆な提案がなされています。
PDFは帳票の保存や提出に適していますが、閲覧には専用のPDFリーダーアプリケーションの起動が必要です。PCでもスマートフォンでも、PDFを開くたびに発生する待ち時間は、多くの方が経験されていることと思います。SVGであれば、Webブラウザで直接表示できるため、アプリケーションの起動は不要です。
さらに、SVGはベクター画像であるため、拡大・縮小しても画像が劣化しません。スマートフォンやタブレットでのピンチ操作でも、文字は常に鮮明に表示されます。また、ブラウザの印刷機能を使えば、そのまま印刷も可能です。
Reports.netでは、全ページの帳票を1つのHTMLにまとめて表示する「SVG一括出力」モードと、プレビューエリアでページングが行える「SVGプレビュー」モードの2種類を提供しています。特にプレビューモードは、Webアプリケーションに帳票のページ送り機能をスムーズに組み込める、実用性の高い仕組みです。

製品サイトでは、Azure、AWS、GCPといった各種クラウド環境にデモサイトが用意されており、PDFとSVGの2つの出力形式を並べて体験できます。SVG帳票の表示速度と操作感をぜひお試しください。
デモサイト
-
Azure – Linux:https://hoi-hoi-hoi.azurewebsites.net/
-
Azure – Windows Server:https://are-are-are.azurewebsites.net/
-
AWS – EC2:http://ec2-18-179-12-220.ap-northeast-1.compute.amazonaws.com:3333/
-
GCP – GCE:http://34.145.123.177/
SVGがもたらした予想外の展開 ―― MAUIデスクトップとスマートフォンでの印刷
SVG帳票のWeb向け実装を通じて、その力がWebブラウザの中だけに留まらないという発見がありました。
これまで.NETにおける帳票の印刷とプレビューはGDI+が中心でしたが、MAUIの世界にはGDI+がありません。これにより、MAUIで帳票を扱いたい開発者にとって、印刷プレビュー機能の実現は大きな課題でした。しかし、Reports.netはSVGを活用することで、この課題を解決します。
MAUIのデスクトップアプリケーションに搭載されているWebView2に、Reports.netが出力したSVG帳票を表示することで、そのまま印刷プレビューとして機能します。ページ送りや拡大・縮小もWebView2のブラウザ機能が担い、印刷もブラウザの機能で完結します。特別なライブラリやプラットフォーム固有のAPIは不要です。
この仕組みはデスクトップに限定されず、AndroidやiOSのMAUIアプリケーションからもSVG帳票のプレビューと印刷が可能です。Web、デスクトップ、スマートフォンと、一つのSVG帳票出力があらゆるプラットフォームをカバーする、Reports.netの柔軟性が光ります。
Reports.netでは、この仕組みを実際に動かせるサンプルがGitHubのサンプルリポジトリから提供されています。WPF版、MAUIデスクトップ版、スマートフォン版(Android・iOS)のSVGプレビューをすぐにお試しいただけます。

PDF出力を劇的に強化 ―― 日本語TrueTypeフォント埋め込みに対応
帳票ツールにおけるPDFフォントの課題は、業界共通の悩みです。Reports.netもこれまでは非埋め込みの平成角ゴシック・平成明朝の2書体のみに対応しており、デザイナーで指定したフォントとPDF出力時の見た目が異なることがありました。
Ver.13.0では、この長年の要望に応え、5書体の日本語TrueTypeフォントをDLLに内蔵し、フォント埋め込みによるPDF出力に対応しました。これにより、「デザイナーで見たまま」のPDFが出力される体験が実現します。
内蔵フォント一覧
-
Noto Sans JP(ゴシック体)
-
Noto Serif JP(明朝体)
-
IPAexGothic(ゴシック体)
-
IPAexMincho(明朝体)
-
M PLUS 1p(丸ゴシック体)
既存の帳票のフォント設定には一切変更を加えず、互換性を維持します。新規にデザインする帳票では、デザイナーで指定されたWindowsフォントに対し、書体の雰囲気が近いPDFフォントが自動的にマッピングされます。このマッピングはユーザーが柔軟に変更可能です。また、フォントはDLLに内蔵されているため、サーバーやクライアントへのインストールは不要です。LinuxやAzureなどのクラウド環境でも、追加設定なしに日本語PDFが正しく出力されます。

帳票デザイナーの大幅改善 ―― 25年分の課題を清算
Reports.netの帳票デザイナーは、Ver.13.0で品質が大幅に向上しました。特に、従来の1回分しか機能しなかったUndo(元に戻す)機能が、操作履歴を保持し何度でも実行できるようになりました。さらに、Ctrl+YによるRedo(やり直し)機能も新たに実装され、最後の操作まで遡って復元可能です。
UIの改善も行われ、背景色の調整や画面の整備により操作性が高まっています。また、PDFプレビュー機能がツールバーからワンクリックで利用できるようになり、「デザイン → PDFプレビュー → 微調整」というスムーズなワークフローが実現しました。この機能は前述のPDFフォント埋め込み対応と組み合わせることで、より快適なデザイン体験を提供します。

.NET 10対応と内部的な進化
Reports.netは、最新の.NET 10に対応しました。.NET 5~.NET 10、.NET Framework 2.0~4.8.1まで、幅広いバージョンの.NET環境をサポートしています。
今回のバージョンアップでは、帳票エンジンのクロスプラットフォーム版が.NET Frameworkへの依存を完全に脱し、netstandard2.0ベースのアセンブリとして再構築されています。これにより、MAUIを含む.NET 5以降のあらゆる環境で、Reports.netがネイティブに動作する基盤が整いました。25年間.NET Frameworkと共に歩んできたReports.netが、現代の.NETへの本格的な一歩を踏み出しました。
Reports.netの特長とクラウド時代の柔軟なデプロイメント
Reports.netは、業務系アプリケーション開発を自社で行う有限会社パオ・アット・オフィスが、開発者の視点から設計・開発した帳票作成ツールです。
主な特徴
- 日本の帳票文化に特化した緻密なレイアウト制御(コードによる完全なページコントロール)
- 印影やカラフルな文字効果による商業印刷レベルの品質
- JANコード、QRコード、DataMatrix、コンビニバーコードなど多彩なバーコード標準対応
- PDF/XPS/SVG等への多彩な出力形式(.NET 5~.NET 10、.NET Framework 2.0~4.8.1対応)
- SVGによるMAUI印刷プレビュー、スマートフォン対応
- ページを完全に掌握できるコード設計により、開発・保守がスムーズ
.NET 5~.NET 10に対応したことで、Reports.netで開発したWebアプリケーションやWeb APIはLinux上で動作し、Azure、AWS、GCPといった主要クラウドプラットフォーム上でPDF帳票やSVG帳票を出力するWebアプリケーションとして機能します。さらに、MAUI対応により、デスクトップアプリケーションはもちろん、AndroidやiOSのスマートフォンアプリケーションからも帳票出力が可能になりました。
クラウドのサーバーサイドからスマートフォンのクライアントサイドまで、一つの帳票エンジンでカバーできるReports.netの守備範囲が大きく広がっています。

GitHub/NuGetで即座に体験可能
Reports.netは、GitHubおよびNuGetパッケージとして公開されており、手軽にその機能を体験できます。
体験手順
-
GitHubからサンプルを取得します。
-
対応する.NETバージョンのリポジトリをCloneまたはZipダウンロードしてください。
- Visual Studioでソリューションファイル(.sln)を開きます。
- F5キーで実行すると、NuGetパッケージが自動的に復元され、多彩な帳票サンプルが動作します。
今回のバージョンアップで追加されたSVGプレビューのサンプルも、WPF版・MAUIデスクトップ版・スマートフォン版がそれぞれ用意されています。SVGによる新しい帳票体験を、ぜひお手元でお試しください。
NuGetパッケージ
-
Reports.net(Windowsデスクトップ用)
-
Reports.net.Azure(Windows Webサーバー用)
-
Reports.net.Linux(Linux/クラウド/MAUI/スマートフォン用)
関連リンク
-
Facebook:https://www.facebook.com/reports.net
-
開発元(Pao@Office)Webサイト:https://www.pao.ac/
-
Facebookページ:https://www.facebook.com/pao.at.office
製品価格と動作環境
製品価格
-
通常ライセンス(開発ライセンス)
-
価格:80,000円(税込:88,000円)
-
デザイナー(レポート設計ツール)とエンジンそれぞれの1開発ライセンスが含まれます。ランタイム・ライセンスは無償です。
-
-
Linux版ライセンス/Azure版ライセンス
- 価格:8,000円(税込:8,800円)
動作環境
-
開発環境
-
Windows 7~11、Windows Server 2008~2022
-
Microsoft Visual Studio 2005~2022
-
-
開発言語
- VB.NET/C#/その他.NET用言語
-
実行環境
-
Windows 7~11、Windows Server 2008~2022
-
Azure/AWS/GCP各種環境
-
MAUI(Android/iOS/Windowsデスクトップ)
-
-
対応.NET
- .NET 5~.NET 10、.NET Framework 2.0~4.8.1
マニュアル
会社概要
-
社名:有限会社パオ・アット・オフィス(Pao@Office)
-
設立日:2001年10月
-
資本金:1,000万円
-
代表者名:代表取締役 村井 誠
-
企業サイト:https://www.pao.ac/
-
社員数:10名
-
事業所:千葉県習志野市谷津3-29-2-401
-
事業内容:
- システム全般に関するコンサルタント(企画・立案)
- ソフトウェアの設計・製造・販売
- システム運用サポート
- ソフトウェア開発支援ツールの開発、および販売



この記事へのコメントはありません。