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地方芸術祭の現在地を問う 第3回〈新長谷寺藝術祭「十一面」〉が愛媛県四国中央市で開催

芸術祭の背景とこれまでの歩み

「十一面」は、地域における文化振興とアート・デザインの価値向上を目指し、2023年に始まりました。代表の髙橋氏と作家の田渡氏が故郷である四国中央市での再会をきっかけに立ち上がったこの芸術祭は、美術館などの文化施設が少ないこの地域に、アートとデザインを通じて新たな価値観をもたらすことを目指しています。

初開催の2023年には約5,000名が来場し、桜が満開の境内に点在する作品が非日常的な風景を生み出しました。翌2024年の第2回では、新長谷寺のご本尊である十一面観音菩薩の33年ぶりのご開帳と重なり、約7,000名もの来場者がありました。この回では、ご本尊が漂着したとされる浜辺から新長谷寺へと続く道筋を会場とし、路地や民家、倉庫などにも作品が展開され、地域に根ざした独自性の高い体験を提供しました。

日本の寺社仏閣、自然風景、現代アートのインスタレーションなど、多様な要素を組み合わせたコラージュ画像

これまでの芸術祭は、第1回で「芸術に出会うこと」、第2回で「芸術を鑑賞すること」を主題としてきましたが、第3回となる今年は「芸術を鑑賞し、そこから考えること」をテーマに据えています。

テーマ「つづく、おわる、つづく、」に込められた思い

今回の芸術祭では「つづく、おわる、つづく、」をテーマに掲げ、四国中央市を一つの例として、全国の地方自治体が抱える課題や地方芸術祭そのもののあり方を問い直す視点が導入されています。背景には、地方芸術祭の「儀礼化」への懸念と、街の「消滅」という現実があります。

多くの地方芸術祭が地域活性化や予算消化を主目的とし、アートとの関係が表層的になるケースが見受けられる中、「十一面」は民間主導で立ち上げられ、芸術祭のあり方そのものを問い直す場として位置づけられています。また、四国中央市が消滅可能性自治体に指定された現実に対し、この芸術祭が地域固有の問題だけでなく、全国の小規模自治体が共有する慢性的な課題への問いかけとなることが期待されています。

山々を背景に、田畑や住宅、橋が広がる日本の田園風景

明るい日差しの中で、しだれ桜が美しく咲き誇る風景

日常とアートの融合:キービジュアルの意図

今回のキービジュアルは、あえて美術展らしいデザインではなく、多くの市民にとって馴染み深い1色刷りのスーパーのチラシをモチーフに採用しています。これは、芸術や文化的体験がまだ生活の中で十分に一般化しているとは言えない地域において、芸術祭が地域から距離のある存在として受け取られないよう、「町への身近さ」と「批評性」を両立させることを意図した試みです。日常の中に自然に紛れ込むことで、芸術祭が町の風景の一部として立ち上がることを目指しています。

「新長谷寺芸術祭」のチラシ風フライヤー

芸術祭を彩る特別プログラム

展示作品に加え、パフォーマンスや食に関するプログラムも展開され、多角的な体験が提供されます。

  • 3月14日(土): 香川を拠点に活動する現代サーカスカンパニー「うきも -project-」によるオープニングパフォーマンスが実施されます。自然要素を取り込んだ身体表現で、鑑賞者の感覚をひらくパフォーマンスが期待されます。

  • 3月21日(土): 愛媛を拠点に活動する料理人ユニット「LOOP」による食のプログラムが予定されています。土地や食材、そこに関わる人々の存在を大切にし、芸術祭の文脈を食の体験へと拡張する試みです。

  • 3月29日(日): トークイベントが開催されます。

各プログラムの詳細や参加方法は、公式Instagramにて順次公開される予定です。

白い布を使った屋外での身体表現やアートパフォーマンスの様子と、モダンなキッチンで新鮮な野菜と共に笑顔で立つ3人の料理人らしきスタッフ

芸術祭を支える取り組み:クラウドファンディング

本芸術祭では、開催に合わせて4月1日までクラウドファンディングも実施されています。支援金は、参加作家への謝礼、広報費、会場設営費など、芸術祭運営全般に充てられます。民間主導・有志によって継続してきた芸術祭だからこそ、来場者や支援者とともに形づくる運営のあり方が模索されています。

愛媛県で開かれる「お寺×アート」芸術祭「十一面」のクラウドファンディングページ

注目の参加アーティスト(一部)

  • 平山 昌尚(1976年兵庫県生まれ、香川県在住):絵画、パフォーマンスなど多岐にわたる活動を展開するアーティスト。
    黒い人型のシルエットが吊り下げられたモバイルアートが展示されたギャラリー空間

  • orm(美術家 藤井智也・高橋ちかやによるユニット):2024年より活動を開始し、「New Artists / NEW Backbone Artists 2025」でグランプリを受賞。香川県高松市でアーティストランスペース「Syndicate」を運営。
    暖色系の照明が灯る室内空間に、裸の木のシルエットがプロジェクションで映し出されている

  • 坪本 知恵(1997年愛媛県生まれ、京都を拠点に活動):愛媛県にある日露戦役紀念碑から着想を得て、言葉の保存や意味の変容をテーマに作品を制作。
    白い壁の現代的なアートギャラリーに、黒と白の抽象画が3点展示されている

「紙のまち」ならではのアーティスト

  • 長谷川 隆子(切り絵作家):京都市立芸術大学大学院修了。四国各地の和紙文化に魅了され、切り絵と照明によるインスタレーションを展開。四国中央市出身、香川県在住。
    伝統的な和室空間に、繊細な模様が施された二つの照明アートが展示されている

  • 大西 満王(手漉き和紙職人):愛媛県四国中央市出身。高校で書道パフォーマンス甲子園に出場。手漉き和紙産業の衰退危機を知り、「多羅富來和紙」を創業。
    木々が生い茂る森の風景

  • 松本 莉央(現代美術家、紙アクセサリー作家):沖縄県立芸術大学大学院修了。紙素材を求めて四国中央市に移住し、本展では大西満王氏の手漉き和紙を用いた作品を展示。
    夜の暗闇に包まれた森の中に佇む小さな祠が、内部の灯りで明るく照らされている

開催概要

  • 日程: 2026年3月13日(金)~3月29日(日) ※月・火曜休みの計13日間 10:00〜17:00(最終日は15:00まで)

  • 場所: 新長谷寺(愛媛県四国中央市寒川町3214)と周辺地域

  • 入場料: 無料

  • 参加アーティスト: ARTIST miu、うきも -project-、内海 篤彦、大西 満王、orm、Kazuma Sano、CRIE、Juno Mizobuchi、鈴木 宏佳、髙橋 将太、髙橋 柚実、田渡 大貴、坪本 知恵、友定 睦、永井 天陽、仲田 慎吾、長谷川 隆子、平山 昌尚、松田 瑞季、松本 莉央、森下 拓紀、矢原 繁長、LOOP

  • 特別プログラム:

    • 3月14日(土)/うきも -project- によるパフォーマンス

    • 3月21日(土)/LOOPによる食のプログラム

    • 3月29日(日)/トークイベント

関連リンク

報道関係者向け説明会・見学会について

初日である3月13日(金)13時より、メディア向けの報道関係者説明会・見学会が実施されます。参加希望の場合は、前日3月12日(木)18時までに下記アドレスまで連絡が必要です。

  • 日時: 3月13日(金)13時〜(30分〜1時間程度)

  • 集合場所: 新長谷寺仁王門

  • 内容: 趣旨、特別プログラム、クラウドファンディング等に関する説明。いくつかの作品解説。

  • 参加連絡先: info@smells69.com(髙橋)

個別取材にも対応可能で、各作家の在廊日等も案内できますのでお問い合わせください。

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