「ユキノチカラ」が学術研究に
本論文は、立命館大学、東京都立大学、武蔵大学、東京国際大学の4名の研究者による共同研究の成果です。地域ブランドを核とした地方創生のプロセスと、それがもたらした成果が客観的に分析されています。長年「厄介者」とされてきた雪を「力に変える」という西和賀町のコンセプトのもと、地域資源の価値化、事業者の参画促進、ふるさと納税との連携など、10年間にわたる多角的な取り組みが検証されました。
論文の詳細は以下のリンクからご覧いただけます。
地域ブランドを活用した“消滅可能性自治体”の活性化 ― 岩手県西和賀町「ユキノチカラ」―

地域ブランドを核とした地方創生モデルとして評価
本論文では、「ユキノチカラ」の取り組みが、人口減少と豪雪という課題を抱える地域において、地域ブランドが地域内外の評価をどのように循環させ、持続的な地域づくりに貢献しているかが示されています。
1. 循環型ブランド事例としての分析
「ユキノチカラ」は単なる商品開発やPR活動にとどまらず、外部からの評価が地域内部へと還流することで、町民の意識改革や新たな事業への参画を促した「循環型」の地域ブランド事例として分析されています。地域ブランド、デザイン、産業振興、ふるさと納税が横断的に連携し、地域全体を巻き込む統合的な地方創生モデルとして位置づけられています。
2. 西和賀町と民間協働による10年の歩み
「ユキノチカラ」は、平成27年(2015年)に地域活性化プロジェクトとして始動しました。西和賀町、地域事業者、デザイナー、金融機関など、多様な主体が連携して推進。雪という地域の課題を価値へと転換するブランドコンセプトのもと、以下の活動を展開してきました。
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地域資源を活かした商品開発
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都市部での情報発信・販路開拓
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ふるさと納税との連携
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関係人口の創出
これらの活動は、現在では町内外をつなぐ地域戦略へと発展しています。

3. プロジェクト10周年の節目
今回の論文化は、「ユキノチカラ」が商品づくりを起点に、地域戦略として発展してきた10年の歩みを示すものです。デザインによる商品の魅力向上と地域一体となった広報・販促活動から始まったプロジェクトは、令和4年度(2022年度)には岩手県立西和賀高校と連携した地域学習プログラム「魅力発見ラボ」を開始しました。さらに、令和5年度(2023年度)からは、西和賀町・西和賀産業公社・ユキノチカラプロジェクト協議会が連携した「地域商社事業」にも取り組んでいます。


西和賀町の魅力
岩手県西和賀町は、岩手県南西部の秋田県境に位置し、奥羽山脈に囲まれた自然豊かな中山間地域です。人口約4,500人、面積約590㎢のうち8割以上を森林が占める全国有数の豪雪地帯であり、雪とともに暮らす雪国文化が今も息づいています。



基幹産業である農業では、ブランド山菜「西わらび」や乳製品のYUDAミルクなど、地域の風土を活かした特産品づくりが行われています。また、観光も町の重要な産業の一つで、特色ある温泉地が点在し、四季折々の自然を楽しむことができます。春はカタクリをはじめとした山野草、夏は錦秋湖でのレジャー、秋は紅葉、冬はウインタースポーツや雪あかりなど、豊かな自然が魅力です。町内には演劇専用ホール「銀河ホール」もあり、町民主体の舞台活動や若者による表現活動が続くなど、自然と文化が共存する地域として歩みを重ねています。

西和賀町公式ウェブサイト: https://www.town.nishiwaga.lg.jp/
「ユキノチカラ」プロジェクトとは
「ユキノチカラプロジェクト」は、2015年に西和賀町で始まった地域デザインプロジェクトです。「雪を力に変える」をコンセプトに地域ブランド「ユキノチカラ」を創設し、地域資源の価値化や商品開発、デザイン活用、情報発信などを通じて、地域産業の持続的な発展を目指してきました。
創設時は、西和賀町、日本デザイン振興会、北上信用金庫、信金中央金庫など地域内外の機関が連携し、町内事業者と県内デザイナーによる商品づくりからスタートしました。2019年度には参加事業者による「ユキノチカラプロジェクト協議会」を設立し、活動体制を発展させています。

現在では、産業振興やふるさと納税、関係人口創出、シティプロモーションなどを横断的に結びつけた統合的な地域づくりを進めています。
ユキノチカラ公式ウェブサイト: https://yukino-chikara.com/
今後の展望
西和賀町とユキノチカラプロジェクト協議会は、地域資源の価値化と持続可能な地域づくりを目指し、地域事業者や町民、地元高校など、多様な関係者と協働しながら、これからも挑戦を続けていくとしています。



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