ペットの高齢化とシニア期のそなえ
「シニアのそなえ特別セミナー」では、寺田心さん、獣医師の枝村一弥先生・小澤真紀子先生、そしてWANCOTTのアクティングゼネラルマネージャー兼愛玩動物看護師の今井美奈子さんが登壇しました。愛犬を連れて参加した飼い主との和やかな交流から始まったトークセッションでは、ペットの平均寿命が延びている現状と、シニア期に必要なそなえについて議論が交わされました。
一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2024年の犬の平均寿命は14.9歳、猫は15.9歳と、2010年と比較してそれぞれ1.1歳、1.6歳延びています。枝村先生は、この平均寿命の延伸の主な要因として、「医療技術の進歩」「食事の質の向上」「飼育環境の改善」の3点を挙げ、ペットが「家族の一員」として捉えられる意識の高まりも指摘しました。

また、今井さんからは、老犬ホームなどの譲受飼養業者が2013年の約20施設から現在では200施設を超えるまでに増加していることが紹介されました。これは、ペットと飼い主双方の高齢化に伴い、老犬ホームを利用するケースが増えている現状を示しています。加齢による歩行困難、持病、認知機能の低下が見られる犬や、飼い主の環境変化を理由に預けられるケースがあるほか、近年では一時的な利用や専門的なケアを目的とした利用も増えているとのことです。

「シニアのそなえ」の必要性と実践方法
枝村先生は、加齢に伴うペットの変化として、見た目の変化だけでなく、睡眠時間の増加や動きの緩慢化といった行動の変化もシニア期のサインであると解説しました。日頃からの意識的な観察が大切であり、元気そうに見えても体内で老化が進行している場合があるといいます。
7歳以上の犬・猫の飼い主を対象とした調査では、犬の56.9%、猫の64.5%が定期的な健康診断を受けていないという結果が示されました。これに対し、小澤先生は、見た目だけで判断せず、定期的な健康診断によって状態を把握することの重要性を強調し、特に7歳前後からは年2回以上の健康診断が病気の早期発見につながると述べました。健康診断を受けていない理由として「体調に異変がない」「通院を嫌がる」「ストレスをかけたくない」といった声が多いことに対して、枝村先生は、症状が出てからでは病気が進行している可能性があるため、健康な時の基準値を知るためにもシニア期の定期的な健康診断が不可欠であると説明しました。また、犬種や猫種によってなりやすい病気が異なるため、その特性を把握し、健康診断の検査項目や日常のケアで注意すべき点を明確にすることが、より重点的な健康管理につながると話されました。

獣医師の話を聞いた寺田さんは、18歳で先住犬「のの」を見送った経験から、「もっとできることがあったかもしれない、愛犬が幸せでいてくれる準備があったんじゃないか」と振り返り、飼い主が正しい知識を持ち、早めに環境を整えることの重要性を語りました。7歳を過ぎると、見た目は元気でも体内では細胞レベルで老化が進み、腎臓病、関節疾患、心臓病、糖尿病、認知症など、シニア期に多い病気が気づかないうちに進行することがあります。そのため、寺田さんは「シニア期のわからないをなくしていくことが大事。飼い主が正しい知識をつけて、いずれは来るシニア期に対する心の準備が必要だ」と述べました。

「感謝の手紙コンテスト」入賞者発表
セミナー後には、寺田心さんと小澤先生が審査員を務めた「愛犬・愛猫へ贈る 感謝の手紙コンテスト」の入賞者発表が行われました。このコンテストは、感謝の気持ちを「手紙」という形で表現することで、愛犬・愛猫と向き合い、幸せなシニア期を過ごすための「そなえの時間」にしてほしいという想いから開催されました。多くの心温まる手紙が寄せられ、「あなたの健康を想うで賞」「快適に過ごしてほしいで賞」「歳を重ねるほど愛おしいで賞」の3つの賞が選出されました。
寺田さんから発表された「歳を重ねるほど愛おしいで賞」では、受賞作品の内容をもとに制作された「愛犬・愛猫のイラスト入り手紙ムービー」も上映され、会場では改めて愛犬・愛猫と過ごす時間や、これからのシニア期について考える機会となりました。寺田さんは「飼い主さんの愛が伝わる映像だなと思いました。日常の写真も沢山ありましたし、うちの子もそうだなあ、と共感しましたし、グッと来るものがありました」とコメントしました。

「愛犬・愛猫のイラスト入り手紙ムービー」はこちらからご覧いただけます。
寺田心さんが実践「老犬ホーム」ケア・リハビリ体験
寺田さんは、会場となったWANCOTTの老犬ホームにて、シニア犬のケア・リハビリ体験も行いました。動物看護師の指導のもと、シニア犬と触れ合いながら、日常ケアの一部を体験し、シニア犬に寄り添う上でのポイントや意識すべき点を学びました。

体験後、寺田さんは「お家でできることもたくさんありますし、飼い主としてできることを日頃からしてあげたいなと思います。僕も自分の飼っている愛犬も定期検診に連れて行ってあげて、関節に異常がないか、ヘルニアを発症していないかなどを確認していきたいです」と述べ、自身の愛犬へのケアの必要性についても言及しました。

「いぬとねこ シニアのそなえプロジェクト」とは
ペットラインは、愛犬・愛猫が幸せなシニア期を過ごすために、生活環境や食事内容の見直し、変化を見逃さないこと、そして飼い主が正しい知識を身につけることが大切であると考えています。これらの想いから、「いぬとねこ シニアのそなえプロジェクト」を2024年4月に発足しました。
本プロジェクトでは、俳優の寺田心さんをプロジェクトアンバサダーに起用し、獣医師や親子とともに学べるイベントの実施、SNSで募集した愛犬・愛猫とその家族をモデルにしたオリジナル絵本「シニアのそなえものがたり」の制作・寄贈、声優の下野紘さんによる絵本の朗読ムービー公開など、多岐にわたる活動を展開しています。また、犬と猫の認知症とシニア期について考える写真展「いぬとねこ シニアのそなえ展」や、小学生向けの「ペットライン特別授業」も開催。10歳を迎えた愛犬・愛猫の長寿を祝う「わん暦・にゃん暦祝い」の提案、そして「シニア犬猫実態調査 2025」の実施を通じて、シニア期の予防や健康ケアの重要性を広く伝えています。
本プロジェクトでは、シニア期に注意したい疾患、生活環境、正しい食生活、日々のケア方法などを分かりやすく学べる取り組みを今後も展開していく予定です。



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