Stripe Atlasの分析から見えた2025年のスタートアップ動向:グローバル化、収益化加速、AIの台頭
プログラマブルな金融サービスを提供するStripeは、米国での法人設立を支援するプラットフォーム「Stripe Atlas」のデータに基づき、2025年のスタートアップ最新動向を発表しました。2025年は初期段階のスタートアップにとって飛躍的な年となり、これまで以上に多くの企業が創業され、過去最速のペースで収益化を達成しています。また、AIスタートアップの割合が急増し、創業者の関心がAIエージェントに集まっていることも明らかになりました。
Stripe Atlasは、世界中のどこからでも数クリックで米国(デラウェア州)での法人設立から、税務ID(EIN)取得、銀行口座開設、Stripe決済の利用開始までをオンラインで一括サポートするソリューションです。デラウェア州で設立される法人企業の5社に1社がStripe Atlasを利用しており、Stripeはこの情報をもとに、スタートアップの収益化スピードや初期のチーム編成、顧客リーチなどについて独自分析を行っています。2025年に設立された23,000社のスタートアップのデータ分析から、以下の3つの主要な動向が明らかになりました。
1. これまで以上にグローバル化が加速
2025年にStripe Atlasを利用して設立されたスタートアップの創業者層は、出身国が過去最多の169ヶ国に達するなどよりグローバル化しました。中央アフリカ共和国やコモロ、サンマリノ、バヌアツの出身者が初めてAtlas利用者のポートフォリオに加わっています。欧州域内における規制の強化を受け、イギリスやフランス、ドイツを初めとした欧州出身の創業者によるStripe Atlasを利用したスタートアップ設立数は48%も増加しました。

また、リモートワークの普及により、創業チームの分散化が進行しており、Atlasを利用したスタートアップのうち創業者が2人以上いる企業では、24%が複数カ国にまたがるチームによって構成されています。これは8年前の2017年と比較しても79%の増加率となっており、こうしたチームの約半数は対面で出会った後に別々の国へ移動、また、残りの半数は主にプロジェクトを通じて最初からオンラインで出会っていることが分かりました。なお、2025年にAtlasで法人化した日本発のスタートアップのうち複数国にまたがるチーム構成になっている企業は51%となり、グローバル平均の約2倍となっています。
これまでのスタートアップの海外展開は、自国でプロダクト・マーケット・フィット(PMF)を確立した後と考えられてきましたが、その前提は急速に崩れつつあります。決済インフラやコンプライアンスツールなどの技術的な進化や、クラウドインフラと翻訳APIがローカルサーバーへの依存度とカスタムローカライゼーション作業を削減したことにより、海外市場への参入障壁が低下し、多くの企業は創業初期から越境ビジネスを展開しています。2017年から2024年の7年間、設立後6ヶ月以内に販売した国数が平均して1ヶ国だったAtlasを利用したスタートアップは、2025年には2ヶ国に増え、上位10%ではその数が15ヶ国に達しました。実際、AIを活用したアプリ開発ツールを提供するRorkは、設立後1ヶ月以内で69ヶ国で展開し、台湾発の次世代クラウドPaaS(Platform-as-a-Service)ソリューション企業Zeaburも46ヶ国の開発者が利用しています。
2. 収益化までのスピードが加速
Atlasで設立される企業の収益化までのスピードもこれまでになく加速しています。2025年、設立から30日以内に初の顧客を獲得したAtlasを利用したスタートアップの割合が過去最高の20%に達し、2020年の8%から大きく伸長しました。収益化までのペースにおいては、その平均日数は38日から34日へと短縮し(前年比約11%減)、2020年以降最速となっています。この背景には、2025年1月より米国外からAtlasを利用するスタートアップは、雇用主識別番号(EIN)の発行を待たなくても法人化直後から決済を受け付けられるようになったこともあります。

またこれらの企業はこれまで以上に早いペースで製品を販売しており、2025年には初期6ヶ月間の売上で平均して前年比39%増を記録しています。設立から6ヶ月以内に売上10万ドル(約1,500万円)を達成した企業数は前年より56%増加しており、達成までの期間も平均して108日と、前年の121日から約11%短縮されています。そして半年での顧客獲得数も242人/社に増加しており(前年比50%)、事業の立ち上がりが一段と加速しています。
スタートアップの上位と下位の差が拡大する傾向も強まっています。設立後の6ヶ月間での売上平均は下位10%が18%増にとどまる一方、上位10%では52%増となっています。開発者向けツールの発展による販売までのスピード向上やグローバル決済、コンプライアンス管理、金融インフラの整備によって、収益化を数ヶ月ではなく数週間で実現できるようになっています。
エチオピアを拠点とする電動モビリティスタートアップDodai Groupの代表取締役CEO佐々木裕馬氏は次のように述べています。「Stripe Atlasは、たったの500ドルしかかからず、フォームに必要事項を入力するだけで、会社登記や銀行口座開設などの面倒な手続きを全てオンラインで簡潔に完了することができるため、日本を含め世界のどこからでも利用することができてとても助かりました。デラウェア州の法律に則ったストックオプション発行書類の雛形など、事業拡大に有用で実践的な情報やツールも提供されているため、スピード感を持って事業を立ち上げることができました。」
3. AI分野の企業が大幅に増加
スタートアップは、創業者や投資家が注目している業界を示す指標でもあります。Atlasを利用するAIスタートアップの創業者の割合は、2023年の15%から2024年に33%、2025年には42%へと急増しており、LLCでも同様に5%から22%へ拡大しています。一方で、2025年の法人企業設立数が増加したものの、プレシード段階における資金調達件数は前年とほぼ変わらず、早期段階における資金調達率が低下しています。これは、AIコーディング支援ツールやノーコード開発プラットフォーム、自動化マーケティングツールなどを含めたAIの発展により、スタートアップが少ない資本で事業展開を進められるようになっていることが背景にあると考えられます。
AtlasのAIスタートアップでは、関心がAIエージェントへと移っています。AIエージェントを開発している企業の割合は2024年の27%から2025年には44%へと拡大しました。2023年は既存業務を支援するコパイロット型のAIが主流でしたが、現在は、人間の代わりとなって自律的に物事を実行するAIエージェントに注目が集まっています。AIの普及を背景に、スタートアップは「補助するだけのAI」ではなく「実行までしてくれるAI」に機会を見出していると言えるでしょう。

資金調達に関するデータソースは以下の通りです。
Stripe Atlasがステーブルコイン決済に対応
Stripe Atlasは、ユーザーが支払うアプリケーション利用料(500ドル)および登録代理サービス(ユーザーがデラウェア州との良好な状態を維持するために支払う年間100ドルのサブスクリプション料金)の決済において、ステーブルコインの受け付けを開始しました。米国外のAtlasを利用する創業者にとって、カードよりも暗号資産の方が利用しやすい場合も多く、銀行側による決済拒否の回数や手続きの手間が少ない、即時に決済が完了するといった利点があります。このように、ステーブルコイン決済は、よりシームレスなスタートアップの設立を可能にします。
ストライプジャパン株式会社 代表取締役 ダニエル・へフェルナンは次のように述べています。「Day 1から海外展開を試みる日本発のスタートアップも増加してきましたが、海外で企業を設立するにあたり、現地の法規制や税制、言語・商習慣の違いなどにより設立に手間取るケースが多く、すぐさま収益化するのが難しいとされています。Stripe Atlasはスタートアップの設立から収益化までを支援し、創業者がグローバルに挑戦できる環境を提供しています。今後も日本から世界へ羽ばたくスタートアップをサポートして参ります。」
詳しくはStripeのブログをご覧ください。
Stripeについて
Stripeは、プログラマブルな金融サービスを構築する企業です。世界の何百万もの企業がStripeを利用して、オンラインおよびでの決済や組込型金融、収益モデルのカスタマイズを推進し、より収益性の高いビジネスを築いています。サンフランシスコとダブリンに本社を置くStripeは、世界のGDPの1.3%に相当する年間1.4兆ドル(約210兆円)以上の決済を処理しています。Stripeを利用する企業には、Fortune 100の半数、Forbes Cloud 100の80%、Forbes AI 50に選出されている企業が含まれています。AIとステーブルコインにフォーカスを置いた事業拡大と研究開発への投資を通じて、Stripeはグローバル経済における最先端技術の普及に貢献しています。
詳しくはStripe 公式サイトをご覧ください。



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