スペースデータ、統合技術基盤「PROVIDENCE」で防衛分野を強化
株式会社スペースデータは、指揮官が動態情報や戦況をリアルタイムで把握し、迅速かつ正確な意思決定を行えるよう、統合技術基盤「PROVIDENCE(プロヴィデンス)」の防衛・安全保障分野への提供体制を一層強化することを発表しました。同社は2025年4月に「安全保障事業本部」を新設し、防衛事業へ本格的に参入しています。フィジカルAI技術とシミュレーション技術を融合したデジタルツイン技術は、すでに複数の省庁関連プロジェクトで活用されており、2026年1月からは開発・提供リソースをさらに拡充し、防衛産業における実装を加速させていくとのことです。

クロスドメイン作戦における課題解決への貢献
現在の安全保障環境では、陸・海・空に加え、宇宙・サイバー・電磁波といった新領域を含む「領域横断(クロスドメイン)作戦」が常態化しています。これにより、人間の認知能力だけで戦況の全容を把握し、意思決定を行うことが非常に困難になっています。スペースデータは、この課題を解決するため、独自の技術である「プラネタリースケール」と「フィジカルAI」を統合した「PROVIDENCE」を展開しています。
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プラネタリースケール(惑星規模の環境再現): 衛星や無人機などのセンサーデータを活用し、AIによりデジタル三次元地球儀を自動生成します。従来の二次元地図や航空写真とは異なり、宇宙空間から海底まで、地球全体をバーチャル空間で再現することが可能です。
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フィジカルAI: AIが現実世界の状況を認識し、判断し、行動へとつなげる技術です。これにより、有人防衛装備品や陸・海・空の無人機といった自律システムの挙動を模擬し、人間の判断や行動を含む運用シナリオの検討・評価が可能となります。
これらの技術を統合した「PROVIDENCE」は、民生技術のデュアルユース(転用)として、自衛隊の各種作戦現場での実用性が期待されています。
「PROVIDENCE」が提供する3つの価値
安全保障事業本部の始動以来、「PROVIDENCE」は防衛機関や日本の防衛産業など、信頼できるパートナーへの提供を開始しており、主に以下の3つの領域での導入が期待されています。
1. 統合領域横断作戦における戦域の可視化
これまでの陸上、海上、航空といった組織ごとに個別管理されていた情報を、デジタル三次元地球儀に統合します。衛星からの宇宙空間およびアセットの情報、地上の部隊配置、気象条件、サイバー空間の状況などをリアルタイムで単一のデジタル三次元空間に重ね合わせて可視化。これにより、指揮官は膨大な情報の集約・分析プロセスを大幅に効率化し、戦況の全体像を即座に把握できるようになります。
2. デジタル空間での「仮想シナリオの大規模模擬」
「悪天候下でドローンがどう飛行するか」「電波妨害がある環境で通信がどう届くか」といった挙動を、再現されたデジタル空間上で検証可能です。実戦を伴わずに、AIが想定外のシナリオを含む数千〜数万通りのシナリオを高速で試行錯誤し、最適解を提示することで、指揮官の合理的かつ迅速な意思決定を強力に支援します。
3. 自律制御システムの「育成環境」
防衛省自衛隊の「シールド構想(SHIELD)」で配備が進む各種無人機に対し、「PROVIDENCE」を「AIの学習・育成環境」として提供します。現実世界では実施が難しい危険な状況や極限環境を仮想空間で再現し、AIに無人機の行動を学習させることで、障害物を自ら回避し、複雑な地形でも安定して稼働できる自律制御システムを開発することが可能です。これにより、既存の無人機に付加する自律制御システムの開発期間を大幅に短縮できるでしょう。
今後の展開と社会貢献
スペースデータは、急速に進展するグローバルな防衛テック分野において、日本としての技術的主体性と運用上の柔軟性を確保することの重要性を強調しています。2026年からは、技術実装をさらに加速させ、防衛関連企業との戦略的パートナーシップを通じて、既存装備品に日本主導の知能化技術を組み込むことを目指しています。これにより、日本の防衛産業が持つ高品質なハードウェアと「PROVIDENCE」を融合させ、装備品の運用、判断、連携能力を総合的に高度化する構想です。
この構想は、既存の航空機・船舶・車両といった装備体系を前提としつつ、その上に高度な知能(AI)を実装することで、装備品の性能を最大限に引き出すことを目的としています。また、同志国への展開や輸出を通じて、経済安全保障上の戦略的不可欠性の確立を目指しており、「ハードウェアの強み」と「ソフトウェアの柔軟性」を組み合わせることで、海外ベンダーだけに依存しない、日本独自の抑止力をパートナー企業と共に構築していくとのことです。
さらに、変化の速い安全保障環境において開発スピードが任務遂行の鍵となると考え、エンジニアが現場へ深く入り込み、運用者と共に課題解決にあたる「FDE(Forward Deployed Engineer)型開発」を展開します。現場の声を即座にソフトウェアへ反映し、数日・数週間単位での機能改善を実現することで、任務成功率の向上に貢献するでしょう。
宇宙開発や都市開発、防災・減災など、様々な分野で磨き上げてきた統合技術基盤「PROVIDENCE」を防衛分野へ広く展開し、「社会を支える技術」を「日本を守る技術」へと昇華させること。これが、世界最大級の純国産防衛スタートアップを目指すスペースデータの使命です。
株式会社スペースデータについて
株式会社スペースデータは、「宇宙を誰もが活用できる社会へ」という思いのもと、宇宙とAI技術の融合によって新たな産業や社会基盤を創造するテクノロジースタートアップです。地球・宇宙環境を精密に再現するデジタルツイン技術を活用し、宇宙から都市開発、防災、安全保障まで、次の未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を目指しています。さらに、宇宙ロボット・宇宙ステーションの運用基盤開発を通じて、宇宙社会の実現に向けて取り組んでいます。
最新の取り組みや発表については、スペースデータの公式サイトをご覧ください。



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