感情に関する変化の実感と意識
調査結果によると、生活者の63.8%が「自分の素直な感情や気持ちを出せる相手や場」が以前より「減った」と感じていることが判明しました。さらに、64.1%の人が「良いことがあった時、浮かれすぎないよう感情や気持ちを落ち着かせることがある」と回答しており、喜びのようなポジティブな感情でさえも抑制する傾向が見られます。
感情を抑える場面
感情を抑える場面としては、「仕事の時」が83.2%で最も多く、次いで「友人と一緒の時」が67.7%、「子どもと一緒の時」が63.2%と続きます。また、「親と一緒の時」が55.8%、「配偶者・パートナーと一緒の時」が55.3%と、親しい関係においても感情を抑制する傾向が過半数に上っています。加えて、「インターネットやSNSを見ている時」でも47.8%の人が感情を抑えていることが示されており、デジタルコミュニケーションの普及も感情抑制の一因となっているのかもしれません。

感情に関する意識と実態
感情の表出を抑える一方で、生活者の間では矛盾する意識も存在します。「感情や気持ちを素直に出せる人は素敵だと思う」と回答した人は72.0%に上り、また「感情や気持ちを出さないよう抑えることは疲れる」と感じる人も66.5%に達しています。この結果から、感情を抑える選択をしているにもかかわらず、本心では素直な感情表現に憧れ、その抑制に疲労を感じている生活者が多いことがうかがえます。

感情に関する実態と欲求のギャップ
感情に関する実態と欲求の差分に注目すると、特に大きなギャップが見られたのは以下の3点でした。
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「自分の感情や気持ちを揺さぶられたくない」という欲求(70.1%)に対し、「感情や気持ちが揺れ動きにくい方だ」という実態(37.6%)で、32.6ポイントの差。
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「自分の感情や気持ちを出す時、その場に合った適切な表現ができるようになりたい」という欲求(79.1%)に対し、「適切な表現ができている」という実態(55.1%)で、24.0ポイントの差。
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「自分の感情や気持ちにきちんと向き合いたい」という欲求(78.4%)に対し、「きちんと向き合えている」という実態(57.4%)で、21.0ポイントの差。
これらの結果は、感情を揺さぶられたくないという願望や、他者への配慮を含めた適切な感情表現への欲求、そして自身の感情を深く理解したいという願いの表れと言えるでしょう。

生活者のイマドキ願望ランキング
現代の生活者が抱く願望をランキング形式で見ると、「失敗したくない願望」(76.9%)、「正しい人でいたい願望」(75.4%)に続き、「感情を平らにしたい願望」(73.1%)が3位にランクインしました。この「感情を平らにしたい願望」は、「タイパよくしたい願望」(70.3%)を上回っており、感情の波を最小限に抑え、平穏な状態を保ちたいという現代の生活者の心情が垣間見えます。
年代別に見ると、「感情を平らにしたい願望」は特に40代以上で上位に位置しています。20代から40代では「タイパよくしたい願望」が、50代以上では「頼りたくない願望」が上位に入るなど、年代によって異なる願望の傾向も明らかになりました。

「生活者のイマドキ願望」の選択肢詳細
調査では、以下の「現代ならではの願望」が項目化されました。
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失敗したくない願望: 失敗せず正解にたどり着きたい、場にそぐわない言動をしたくない
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正しい人でいたい願望: 善悪を正しく判断でき、みんなから受け入れられる人でいたい
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感情を平らにしたい願望: 感情を波立たせず、できるだけ平穏に過ごしたい
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自分らしくいたい願望: 人と違う自分でありたい、個性を発揮したい
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タイパよくしたい願望: 何事も効率的に済ませたい、無駄をなくしたい
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頼りたくない願望: 困ったことがあっても、他人に迷惑をかけず自分で解決したい
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内輪でいたい願望: 仲間や気が合う人以外の余計なかかわりを避けたい
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成長したい願望: いつでも前より良い自分になりたい、自分の糧になるものを得たい
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平均でいたい願望: 優秀なのも劣っているのも嫌。目立たない平均的なところにいたい
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努力したくない願望: 一生懸命頑張らなくても、自分のレベルでできることだけやりたい
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承認されたい願望: 人から認められる自分でありたい
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チートしたい願望: 楽して成功したい、自分に圧倒的有利な状況や分野で活躍したい
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遅れたくない願望: 時代に取り残されないよう、常に情報をアップデートしたい
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典型に乗りたい願望: 就職、結婚、出産など、典型的なライフステージを歩んでおきたい
調査概要
本調査は、現代の生活者の感情に関する意識と実態を浮き彫りにする貴重なデータを提供しています。詳細については、博報堂生活総合研究所のウェブサイトもご覧ください。
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調査地域: 全国
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調査手法: インターネット調査
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調査対象: 20~69歳の男女 3,914人
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調査時期: 2025年10月17日~10月21日
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企画分析: 博報堂生活総合研究所
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実査集計: QO株式会社

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