親子共演が織りなす深い演技
本作『ウォレン夫人の職業』でウォレン夫人を演じるイメルダ・スタウントンと、その娘ヴィヴィを演じるベッシー・カーターは、実生活でも親子関係にあります。本作が初の共演となり、イギリスでの上演時には大きな話題を呼びました。二人の息の合った掛け合いは、作品の大きな見どころの一つです。
イメルダ・スタウントンは、映画『ヴェラ・ドレイク』での演技で英国アカデミー賞主演女優賞とヴェネツィア国際映画祭女優賞を受賞。演劇界ではストレートプレイからミュージカルまで幅広く活躍し、ローレンス・オリヴィエ賞を5度受賞する輝かしい経歴を持つ実力派俳優です。娘のベッシー・カーターもギルドホール音楽演劇学校を卒業後、映画、舞台、テレビと多岐にわたり活躍しており、2021年にはドラマ『ブリジャートン家』で全米映画俳優組合賞アンサンブル賞ドラマシリーズ部門にノミネートされるなど、その才能を発揮しています。
バーナード・ショーが描く時代を超えた社会問題
『ウォレン夫人の職業』は、ノーベル文学賞を受賞した劇作家バーナード・ショーが1893年に執筆した戯曲です。社会問題を鋭く指摘する内容から、かつては社会的な論争を巻き起こし、上演禁止になった過去を持つ作品でもあります。
今回、バーナード・ショーに造詣の深い日本バーナード・ショー協会の前会長である森川寿さんと現会長の大浦龍一さんが、本作を一足先に鑑賞し、コメントを寄せています。

日本バーナード・ショー協会からのコメント
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森川寿さん(日本バーナード・ショー協会前会長)
『ウォレン夫人の職業』は1893年に書かれた作品ですが、イギリス本国では長らく検閲により上演が禁じられ、初めて劇場公演されたのは1925年でした。それから100年が経った今でも、この作品は社会的にも人間的にも古くて新しい問題を提起し続けています。ウォレン夫人と娘のヴィヴィは二人とも働くことを喜びとしますが、娘が好きな仕事に就くのに対し、母が選べる職業は限られていました。社会格差を背景に、相反する生き方を選ばざるを得なかった母と娘の葛藤は、観客に厳しい判断を迫るでしょう。実の母娘であるイメルダ・スタウントンとベッシー・カーターが演じる手に汗握る対決は、本作の最大の見どころの一つです。 -
大浦龍一さん(日本バーナード・ショー協会会長)
ヴィクトリア朝のシングルマザー、ウォレン夫人の職業とは何でしょうか。それは口に出すのがはばかられるものでした。彼女の娘ヴィヴィは苦労を知らないクールな「新しい女」。母娘が対立すると、観客はどうしても母親に同情したくなります。しかし、ウォレン夫人は単なる哀れな女性ではなく、今やその世界で成功し、搾取する側に回っています。たとえ他の選択肢よりはましであっても、女性の貧困という大前提が問題なのです。また、活力に満ちた母娘に比べて、彼女たちの周りで飛び回る男たちがちっぽけに見える点も注目されます。
本作は、130年以上前に書かれた作品とは思えないほど、現代を生きる私たちにも心に響くメッセージがあり、深く楽しめる作品です。
劇場公開情報
主演二人からのメッセージ動画はぜひご覧ください。劇場公開は1月23日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国の劇場で始まります。
1月23日(金)公開劇場
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TOHOシネマズ 日比谷
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池袋シネ・リーブル
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TOHOシネマズ ららぽーと横浜
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ミッドランドスクエア シネマ
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大阪ステーションシティシネマ
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札幌シネマフロンティア
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熊本ピカデリー
作品概要
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作: バーナード・ショー
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演出: ドミニク・クック
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上映時間: 約1時間52分
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出演: イメルダ・スタウントン(『ヴェラ・ドレイク』『ダウントン・アビー』『ザ・クラウン』)、ベッシー・カーター(『ブリジャートン家』『ハワーズ・エンド』)、ケヴィン・ドイル(『ダウントン・アビー』)、ロバート・グレニスター(NTLive『かもめ』)
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ストーリー: 時代を先取りするような思考を持つ若き女性ヴィヴィ・ウォレン。しかし、彼女の母親ウォレン夫人は旧来の家父長制度の社会の中で生き抜くためにあるビジネスをしていました。ヴィヴィとウォレン夫人の思考、価値観には隔たりがあり、それが事件へと発展していきます。
公式サイトはこちらです。
https://www.ntlive.jp/mrswarren



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