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尾道発、地域課題を解決する新たな医療モデル 移動手術車「おの猫号」が完成

尾道発、地域課題を解決する新たな医療モデル「おの猫号」が完成

特定非営利活動法人 西日本アニマルアシストは、外猫の不妊去勢手術を通じて地域の課題を根本から改善する医療リソースとして、移動手術車「おの猫号」を完成させました。この取り組みは、外猫の問題を単なる動物愛護として捉えるだけでなく、高齢者の生活環境や地域福祉の課題として認識し、医療制度を通じて介入する社会福祉モデルです。

移動手術車「おの猫号」

「外猫の問題」が示す地域の福祉課題

外猫の繁殖問題は、糞尿被害や騒音といった生活環境の悪化にとどまらず、高齢者世帯での多頭飼育化、近隣トラブルによる地域の分断、公衆衛生環境の悪化といった、人々の生活に直結する福祉課題として顕在化しています。現状の制度では、高齢者や搬送が困難な世帯、多頭飼育の案件など、人と猫の両方を支える仕組みが十分に整っていません。

現場では「捕獲ができない」「車がなく病院に連れて行けない」「一度に多頭の手術や搬送ができない」といった課題に直面しています。これに猫の高い繁殖力が加わり、問題は長期化・深刻化する傾向にあります。

橋があっても医療が届かない現実

活動の中心となる尾道市では、しまなみエリアと旧尾道市街の間で交通格差が存在します。橋で本土とつながっていても、高齢者世帯が多く、自家用車を所有していない、あるいは運転できない住民も少なくありません。車がない場合、移動手段は路線バスやフェリーに限定されます。また、一匹ずつ手術を行っている間に、未手術の猫が次の出産を迎えてしまうことで、過剰繁殖の悪循環に陥ることもあります。

医療が現場に出向く「おの猫号」

こうした現場の実情を踏まえ、特定非営利活動法人 西日本アニマルアシストは「医療が地域に出向く」仕組みが不可欠であると判断しました。「おの猫号」は、単なる移動手術車ではなく、人の福祉、地域医療、動物福祉を横断する地域インフラとしての役割を担います。

これまでは、限られた人数のスタッフが島と本土を何度も往復して対応してきましたが、その方法には明確な限界がありました。そこから「おの猫号」の構想が生まれました。

安全性と透明性を追求した車両設計

「おの猫号」は、内部の様子が外から確認できる設計となっています。これは、医療を閉ざされた専門領域とせず、地域の生活の中に開かれたものとすることで、「見せる医療」「透明性の高い医療」を実現する意図があります。現場で安全に医療を提供するための設計が施されており、清潔で機能的な空間が確保されています。

移動手術車内部の作業スペース
移動手術車内部のワークスペース

運用に向けた支援を募集中

本事業は、車両の完成を最終目標とするものではなく、医療機器の整備、制度運用、活動車両を含めて初めて機能する仕組みです。現在もクラウドファンディングサイト「forGood」にて、運用に向けた支援が募られています。

総額約1,200万円規模の事業の一部は、先行投資によってすでに実行段階に移されており、「おの猫号」を含む移動手術車両、活動車両、血液検査機器などの医療設備、そして制度型支援である「おの猫基金」の立ち上げ費用までが含まれています。これは計画段階の構想ではなく、すでに現場で動き出している地域の医療・福祉インフラです。

目指す未来とこれまでの実績

特定非営利活動法人 西日本アニマルアシストは、このモデルを一過性の取り組みで終わらせることなく、尾道から広島県内の医療過疎地へと広げていくことを目指しています。

これまでの実績として、高齢者宅における宅内多頭飼育崩壊への対応や、離島・山手などの搬送困難地域の地域猫化に貢献してきました。2024年度には年間841頭の不妊去勢手術を実施し、捕獲器70台、ケージ等31台、約100台の機材を保有しています。また、獣医師や愛玩動物看護師など、動物医療の従事者で構成された団体です。

詳細については、特定非営利活動法人 西日本アニマルアシストの公式サイトをご覧ください。

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