スマートシティの景観課題を解決する透明アンテナ
近年、スマートシティの実現に向けて5G/6Gといった次世代通信システムの導入が進む一方で、アンテナ基地局やアンテナ数の増加が景観に与える影響が課題となっています。この課題に対応するため、外観や周囲の景観と調和する透明なアンテナの開発が始まりました。
本アンテナの研究は、越地福朗教授を中心に、安田洋司准教授、内田孝幸教授、山田勝実教授の4名の教員によって進められました。それぞれの専門分野の研究力と技術力が結集された結果、高い放射効率と透明性を両立するガラス基板の光透過型アンテナの開発に成功しています。この研究は2021年から開始されており、現在もアンテナ性能と透明性のさらなる向上を目指し、研究・改良が続けられています。また、光透過型アンテナに関する基礎技術は、2025年に特許を取得しています。
広がる透明アンテナの可能性
従来のアンテナは金属材料で構成されているため透過性がなく、設置場所が限られるという制約がありました。しかし、透明なアンテナが実用化されれば、窓やガラス、眼鏡といった透明な部材に、その透明性を保ったままアンテナ機能を付加することが可能になります。さらに、壁、天井、ディスプレイ、自動車、航空機、ドローンなど、様々な場所に目に見えない形でアンテナを組み込むことも可能となり、応用範囲は大きく広がります。
DMD構造が実現する高効率と高透明性
これまで国内外で発表されてきた透明アンテナの多くは、スマートフォンなどのタッチパネルに使われるITO(酸化インジウムスズ)透明導電膜を用いたもので、放射効率は50~60%程度に留まり、高いアンテナ放射効率を得ることが困難でした。
本研究では、金(Au)や銀(Ag)といった導電率の高い金属薄膜を、ITOなどの誘電体薄膜で挟み込む「誘電体―金属―誘電体(Dielectric-Metal-Dielectric; DMD)」構造を採用しました。このDMD構造により、高い放射効率と高い透明性の両立が実現しました。

越地教授は、光透過型アンテナについて「アンテナ性能だけでなく“透明であること(芸術面)”を含めて設計するものであり、テクノロジーとアートの交差点に位置していると考えている。『透明なアンテナ=何も描かれていないキャンバス』であり、色やデザインは自由自在。透明でありながらワイヤレス通信機能を付与できる光透過型アンテナの今後の応用先や発展性については、無限の可能性を秘めている」と語っています。
光透過型アンテナの概要
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特許公開番号: 第7752420号
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発明者: 工学部工学科 越地福朗教授、安田洋司准教授、内田孝幸教授、山田勝実教授
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関連情報: 東京工芸大学 知的財産・研究成果紹介 https://www.t-kougei.ac.jp/research/intellectual_property/index.html#koshiji
東京工芸大学について
東京工芸大学は、1923年(大正12年)に創設された「小西寫眞専門学校」を前身とし、創設当初からテクノロジーとアートを融合した無限の可能性を追求し続けてきました。2023年には創立100周年を迎えました。
- 公式サイト: https://www.t-kougei.ac.jp/




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