全国矯正展の目的
全国矯正展は、「社会を明るくする運動」の中央行事の一環として実施されています。この催しは、再犯防止に向けた矯正施設の取り組みや、全国の矯正施設(刑務所・少年院)で製作された製品の展示販売を通じて、矯正行政の現状を広く社会に知ってもらうことを目的としています。
「保護犬育成プログラム」の始まり
尾道刑務支所で実施された「保護犬育成プログラム」は、保護犬と受刑者が共に生活し、トレーニングを行う画期的な試みです。プログラム開始当初、保護犬“パクス”は人に対して怯え、ケージの隅に逃げ込んだり、震えたりする状態でした。

ピースワンコシェルターマネージャーの仁尾氏は、当時のパクスの様子を「最初は、受刑者が近寄ってもケージの外の隅の方に逃げたり、促しても出てきませんでした。リードをつけて歩こうにも、怯えて震えている時間が続くというのが、初めの頃のパクスの状態でした」と振り返りました。この状況に対し、尾道刑務支所の津村刑務官は、「受刑者は、一生懸命考えて“どのようにしたらパクスと距離を縮められるのか”を実践していく中で、他を思いやる気持ちを回復していったのではと思っています」と述べ、受刑者側の変化にも言及しました。

トレーニングを通じた双方の成長
トレーニングが進むにつれて、パクスと受刑者の間には絆が生まれ、双方に著しい成長が見られました。刑務所内でのお泊まり訓練が始まった際、津村刑務官は「受刑生活では、なにかと触れ合うというような体験はありませんので、一晩一緒に過ごす中で、寄り添ったり触れ合ったりすることが、涙が出るぐらい感動する体験だったと、その時に担当した受刑者は言っていました。非常に良い試みだと実感しました」と語りました。

仁尾氏も「お泊りが始まってから、パクスの成長がもっと見られるようになりました。トレーニング後は、いかにも馴れているという様子が見られて、保護犬にとっても成長になる瞬間が見れ嬉しかったです」と述べ、保護犬の社会化への貢献を強調しました。
お別れとプログラムの意義
トレーニングを終え、人と暮らすことができるようになったパクスには、新しい家族が見つかりました。これにより、全国初の刑務所「保護犬育成プログラム」は目標を達成しました。ステージでは、お別れ会の様子が映像で流され、受刑者の「何かに一生懸命になって、周りから馬鹿にされようが、それでもやるんだって決めたことをしっかりやって生きるっていう、その素晴らしいことを思い出させてくれました」という言葉が紹介されました。

ピースワンコトレーニングチーフの中田氏は、「受刑者と刑務所の方々のおかげでパクスは卒業することができ、とても嬉しく思いましたし、このプログラムの意義というのを改めて感じました」と振り返りました。また、尾道刑務支所の安田刑務官は、「お別れ会の後は、感極まった受刑者や、寂しいと漏らす受刑者が多かったのですが、また前を向いて新しくやってくる保護犬のトレーニングに意欲的に取り組もうとする姿が見られました」と受刑者の前向きな姿勢を伝えました。最後に津村刑務官は、「受刑者も刑期が終われば社会に戻ります。改善更生や再犯防止において、このプログラムは非常に効果的だと思います」と、プログラムが持つ社会的な意義を結びの言葉としました。
「第65回全国矯正展」開催概要
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催事名: 第65回全国矯正展(全国刑務所作業製品展示即売会)
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開催日時:
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令和7年12月6日(土) 10:00から17:30まで(テープカットは9:45から)
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令和7年12月7日(日) 9:30から15:30まで
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開催場所: 東京国際フォーラム ホールE(東京都千代田区丸の内三丁目5-1)
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開催情報: 法務省ウェブサイト
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンと「ピースワンコ・ジャパン」について
ピースウィンズ・ジャパンは、1996年に設立された国際協力NGOです。国内外で自然災害や紛争、貧困などによる人道危機に直面した人々を支援しており、これまで世界41の国と地域で活動してきました。また、緊急災害支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団」の運営や、犬猫の殺処分ゼロを目指す動物の保護・譲渡活動、地域活性化など、幅広い社会問題解決に取り組んでいます。
ピースウィンズ・ジャパンが運営する「ピースワンコ・ジャパン・プロジェクト」は、広島県を拠点に全国11か所のシェルター・譲渡センターで「日本の犬の殺処分ゼロ」を目指して活動しています。広島県では9年以上犬の殺処分機が稼働を停止しており、これまでに5,300頭以上の保護犬が譲渡・返還されています。



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